医学の勝利が国家を滅ぼす (新潮新書)

著者 : 里見清一
  • 新潮社 (2016年11月16日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106941

作品紹介

新聞、雑誌、テレビで大反響の論考がついに書籍化! 爆発的に膨張する医療費は財政の破綻を招き、次世代を巻き添えに国家を滅ぼすこと必至。「命の値段」をどう考えればいいのか。現役医師による衝撃の告発。

医学の勝利が国家を滅ぼす (新潮新書)の感想・レビュー・書評

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  • オプジーボ 免疫チェックポイント阻害剤
    高額療養費製度 
     自己負担分は最高でも最初の3か月が30万弱、それ以降は月額17万 年で200万ちょっと     普通の収入なら 年間70万 オプジーボの年間コストの2%

    CMLの分子標的治療薬 グリベック 使い始めると止まらない

    楢山節考 深澤七郎 、銀齢のはて 筒井康隆

    75歳以上には延命治療をやめる

    人は本当に大切な問題は考えようとしないのではないか。安保法案で盛り上がれるのは、あれがどうでもいいことだから

    目的のない団塊世代が大挙して老人となり、自然の成り行きとして病気になる。そして生きて何をするのかがないまま、病気とその治療だけが自己目的化する。いわば病気そのものが生きがいになるのである。これでは医療費削減なんでできるわけない

    人間は重大な問題を前にすると思考停止になって眼前のことに終始する 前半 わからない、どうにもならないことに対してまともに考えようとしない 後半 なにか関連した手近なことをやって済ませ、自分を安心させる

    苦労して戦っている相手は、新しきものは善きもの 善玉、制限することは悪しきもの 悪玉とういう、なんの根拠のない単なる思い込み

    もしほかの誰も動かないのなら、我々医療者が行動すべきである。我々の医療システムおよび癌医療の未来は、限りある資源をいかに賢明に使うかにかかっている

    医者に病院に利益につながるような行動をさせるためには、ご褒美よりも、あらかじめその報酬を与えておいて、そうしなかったらさっぴくほうが有効なのだそうだ

    モチベーションのクラウディングアウト

    自分が好きでやっているとか、これは大事だと思ってやろうとしている仕事が報酬の対象となってしまうと、まるで自分が金のたえにそれらをやっているような感じになって白けてしまい、やる気がそがれる

    現実的には、これからの日本は、「いかにうまく衰えていくか」を模索しなければならない

    第二次大戦後の英国が超大国の地位から滑り落ちた後、紆余曲折を経ながらも「老成した先進国」として幅を利かせている(ようにみえる)のはモデル

    個人のレベルで、「いい年のとりかたをした」と思える人と、「悲惨な老後」を迎えている年寄りとの総意は、傍目にもいやになるほど明らかである

    人間にとって、「目標」が不可欠なものだとすると、いかにうまくそれを設定するか、ということが課題になる

    師弟関係には上中下がある
     下は利につく、中は徳につく、上は恨みにつく このクソ親爺、いつか隙きを見てぶっ潰してやる、と思いながら後をついていくのが上

    堺屋太一 組織は、その構成員の満足を追求するための共同体と、外的目的達成のための機能体に分類される

    20歳の女性に造影剤を入れて腹部から骨盤のCTをとると250-470回の検査につき一例が癌になる
    Smith-Bindman R et al. Arch Intern Med 2009;169:2078

    田中角栄という人の功罪がどちらが上回るかについて私は口を出す資格はない。しかし、かつて他ならぬ文藝春秋が、立花隆、児玉隆也らの追求記事により、角さんを金権に目がくらんだ売国奴のごとく、また金庫番佐藤昭さんを淫売のごとく書きたて、失脚においこんだのではないか。今更「ロッキード裁判はアメリカの謀略」とか言うのであれば、あの時は間違っていましたすいませんとまず謝るのが先であろう。それを、世の中の角栄再評価の、これも尻尾に乗っかって、「あんな政治家はいなかった」もないものだと思う。

    高齢者が医療費を使い続けると、保険制度が破綻して、次の世代の人たちがまともな治療をうけられなくなります。

  • まぁ、そうは言っても破綻するまで止められないだろうな…。

  • オブジーボなどの高価な薬が発売されて、医療現場は自己負担のアメリカ型と、日本のようなお上による完全に保険で賄える中での問題を取り扱っている。

    オバマ・ケアも有名になったが、日本の保険医療制度では、高額医療控除のために本当に多くの税金が、90歳の人間を120歳までに延命するなどのために使われる可能性がある。

    ある意味人とは何か、治療とは何か、できなかったことができるようになったからこそ、考えさせられる命題をつきつけられているように感じた。

  • そんなに高価な薬を使って、いったい何を治したいのだろうか?
    それに意味がないことに誰も声を出さない、そんな時代。

  • 90歳の老人が120歳まで生きるようになって、その三十年で何をするのか。

    オプジーボは偉大な薬ではあるが、年間数千万の薬をずっと続ける(開発者の本庶先生は腫瘍が治ったら中止してもよいと言っているらしいが、再発を恐れて延々と投与が続いているのが現状なんだそうだ)ようなことをしていては国が滅ぶ。

    まさにその通り、ではあるが、そんなことは皆、分かっているのだ。自分の家族だけは、、、という総論賛成各論反対の積み重ねが現状になっているんだと思う。

    文章は全体的に雑で、同じことの繰り返しも多い。特に後半は書きなぐった感が強い。

    ・世界的に見ても、こういう高価な薬がじゃぶじゃぶと使えるのは自費診療が多い米国と、高額医療費制度に守られている日本だけだという。日本の高額医療制度はそもそも、一生に一度の生きるか死ぬかという病気のための制度であったが、慢性的に治療を必要とする病気が幅を利かせるようになってきているのが問題

  • 馬鹿高いオプジーボのことは知っていたが,現役の医師がこのような問題意識を持っていたことに安堵した.p52にある提案「75歳以上の患者には,すべての延命治療を禁止する.対処療法はこれまでと同じようにきちんと行う」には大賛成だ.この時点で癌が発見されたとしても,急速に癌細胞が増えるわけでもないので,治療をしなくても寿命が数年縮まる位と思っている.また,至適投与法の検討を示唆されており,これも重要だ.人は必ず死ぬのだということを,改めて認識できた.

  • オプジーボを基点として、誰もみてこなかった問題に切り込んでいくスタイルの本。この先生は医学と国家の行き詰まりをなんとかするためには、1つの考え方しかないとしているんだけれども、僕はもっと、違う考え方、違うやり方があるんじゃないかと思った。
    けれども、これは実は未熟な生徒の考え方であり、最先端で戦ってきた先生から見ると、本当に現状はどうしようもないのだ、という事実もありえそうなので、なんとも言えない。

  • この著者の考え方は医療に関わるの人達の中でも決して大多数の意見とは言えないでしょう。

    だからこそこういった身内の警鐘は問題提起としてはとても重要なのものだと思います。

    医学の進歩により効果の高い薬も沢山できたが、薬の高騰もいまや青天井なみに上がり続けている。

    薬はあるけどそれを買える人は殆どいなければその薬はあってもないようなものなのかもしれない。

    一人ひとりが医療とどう向き合っていくかを改めて考えなおさなければならない時代ですね。

    面白かったです。

  • センセーショナルなタイトルである。ぼくはこのタイトルを見て、中味はほぼ予想できた。里見さんはガン治療の専門家であり、日本赤十字や国立ガンセンターなどの要職を勤めてきた人だ。その人が、75歳以上の延命治療はやめようと提唱しているのである。それは、医療費が無駄に使われているからである。今では誰でも知っていると思うが、どんなに高い治療を受けても、本人の負担額はたしか月5万円くらいに抑えられている。その残りはというと国家が負担しているのである。だから、高い治療、高い薬が開発されればされるだけ、国家負担が増加し、やがては(まもなくかもしれない)破綻するという警鐘である。実際、抗がん剤は効く人と効かない人の差が激しく、薬によってはそれがわかるものもあるそうだが、そうでないものの方が多い。効かないと分かった段階で医者が止めようと思っても、止めるわけにはいかない。だから、国の医療費はますます膨れあがるというわけである。里見さんの言うのは正論だ。本書が語っているのは、単に医療の技術問題ではない。その背後にあるのは、人間がいかに生きるか、いかに死を迎えるかという問題である。それにしても、里見さんは自分の思うところを好き放題書いている。これだけ書ければなんと気持ちがいいことだろう。

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