能 650年続いた仕掛けとは (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 217
レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106107320

作品紹介・あらすじ

その真髄をわし摑み。類書なき最強入門書! 能は長寿企業!? 世阿弥の数多の巧妙な「仕掛け」や、偉人に「必要とされた」理由を知れば、現代を生き抜く知恵が身につくはず。現役能楽師が、エッセンスを縦横に語る!

感想・レビュー・書評

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  • 能楽を初めて観たとき(最近の話です)、舞台の緊張感がすごく気持ちよくて、なんだかハマりそうな予感がしました。
    主役(シテ)と脇役(ワキ)と各種囃子方はそれぞれ違う流儀の人で、演劇のような事前のリハーサルや練習はないと書いてあるのを読んで、ほんとうにびっくりしました。囃子方は伴奏ではないので、謡の間は聞こえるように音を小さくしたりもしない、というくだりもびっくり!
    日本の古典芸能なのに(というのもへんですが)、忖度とか全然ないんですね!
    あの潔いまでの緊張感の意味がわかった気がしました。

  • 最近、音楽や文学で重要なキーワード「幽霊」
    3・11後の世界、あまりにも簡単に死者を利用してはいないか。

    能は連綿と続いた歴史の上に成り立ち、再び静かに現在注目されている。

  • 世阿弥の風姿花伝で能に触れた後、能のことをより勉強したいと思い購入。
    面白いなと思ったのは世阿弥の「初心忘るべからず」という言葉の解釈である。本来は物事を始めたときの気持ちをずっと忘れるなととらえられがちだが、本来世阿弥が意味した意味というのは「折あるごとに古い自己を断ち切り、新たな自己として生まれ変わらなければならない」ということである。これは知らなかったため、「はぁ~」と勉強になった。実際、室町時代の能と幕府に保護され式楽となった江戸時代、明治時代以降、戦後と4つのフェーズで能は大きく変化しており、形を変えながら生き残ってきたのはまさにその「初心忘るべからず」を体現してるなと感じた。

    また、江戸の武士の中で能は教養として身につけなければならないものであり、「候文」が武士間で使われていたのは、それが標準語となっていたからというのも面白かった。能を知っていることが前提で、方言同士では話し合えないため、候文が使われていたとか。

    さらに、現代で通ずる話では、現在の2.5次元との相関性(能は妄想を映し出すスクリーンとなるとか)がある。
    人気になる芸能は妄想を喚起させる力が強く、そこでは歌の力が強い。現代に通ずるなと納得。
    また、聖地巡り(能で演じられた舞台を実際に旅するとか)も当時からあったと書いてあり、昔も今も人間の本質って変わっていないんだなと実感した。

    温故知新ではないけど、過去の歴史のことも勉強して抽象化して、現代で起こりうることを予想することにもっと役立てたい、そう実感させてくれた。

  • 著者自身がワキ方の能楽師でいらっしゃるため、「能というのはこういうものだよ」とレクチャーしてもらえる内容ですが、観劇を始めたばかりの現時点では「そうか、そういうものか」と知識として受け入れる状態です。
    しかし、観劇の回数が増え、能の謡を習ってある程度年数が経った後にこの本をもう一度読めばより腹落ちするのではないかと思える、自分の能楽の経験値を測れる本のような気がしました。

    内容として特に興味をそそられたのが、主人公の武士が修羅道や地獄に堕ちるストーリーの多い能を江戸幕府が庇護した主目的は「敗者の鎮魂」であった、そして幕府から与えられた鎮魂、それも「源義経の魂を鎮める」というミッションが芭蕉のおくのほそ道にはあった、というのは話 。
    後半のミッションの話は著者の仮説ですが、読んでいるとあながち間違っていない気がしてかなり興味深い内容です。

    芭蕉以外に能を習っていた文人は近代にも多くいたようです。特に漱石の作品には能の影響が色濃く出ているものがあり、中でも主人公が旅に出る『草枕』は「能を通して世の中を見る」という『おくのほそ道』と似通った設定(芭蕉は自身を能のシテ方と設定して旅をした)で物語が進みます。
    かねてから太宰や漱石などの近代文学作品を読んでみたいと思いつつ、どうも食指が動かなかったんですが、これを機に『おくのほそ道』と合わせて『草枕』『夢十夜』から読んでみようと思います。そしてこの本同様、年を経て能の経験値が増えた時にもう一度読み返したいと思います。

  • 世襲
    幽玄
    芸能

  • 【能 650年続いた仕掛けとは】
    安田登著、新潮社、2017年

    新書は当たりハズレが大きいのであまり読まないが、
    尊敬する方がフェイスブックに紹介されていた本。

    本を選ぶ時に参考にしているのは、古くて遠くの本か、または、尊敬する人でかつ読書家の方が薦められている本を選ぶようにしているが、やはり、とても面白かった。(あと、出版社も一応チェックする)

    バンド好きな千葉県の高校教師が、24歳の時にたまたま「能」を観て、惚れ込み、プロになったという能楽師が書いた本。

    冒頭から、副題の「能が650年続いている理由」として、創業者でもある観阿弥・世阿弥親子が「初心」という言葉を使ってきたからだとするが、その説明が心をつかむ。

    ーー
    初心の「初」という漢字は「衣」偏と「刀」からできており、もとの意味は「衣(布地)を刀(鋏)で裁つ」。すなわち「初」とは、まっさらな生地に、はじめて刀(鋏)を入れることを示し、「初心忘るべからず」とは「折あるごとに古い自己を裁ち切り、新たな自己として生まれ変わらなければならない、そのことを忘れるな」という意味なのです。
    (p.14)
    ーー

    世阿弥が2次元(書物)だった古典を3次元(能)にしたことや、簡素な舞台装置だからこそ、見えない景色を頭のなかで観ることができるなど、最近、考えていることとどれもドンピシャリとはまっていて、びっくりした。

    真理は古典の中にあるし、目に見えるものではなく頭のなかで描くことを信じることこそが自分自身と真理とをチューニングすることなのではないかと思っている。

    巻末には能の楽しみ方のリストが載っていて、どこからどうやって始めればいいかが書いてある。

    とてもわかり易い本。
    素晴らしい高校の先生だったろうなと思う。

    #優読書

  • http://naokis.doorblog.jp/archives/noh.html【書評】『 能 650年続いた仕掛けとは』 : なおきのブログ

    <目次>
    はじめに
    第一章 能はこうして生き残った
    第二章 能はこんなに変わってきた
    第三章 能はこんなふうに愛された
    第四章 能にはこんな仕掛けが隠されていた
    第五章 世阿弥はこんなにすごかった
    第六章 能は漱石と芭蕉をこんなに変えた
    第七章 能は妄想力をつくってきた
    第八章 能を知るとっこんなにいいことがある
    <付録>「能を観たい、習ってみたい、知りたい」方へ

    2017.11.03 新書巡回 歌舞伎と双璧をなす日本の古典芸能。
    2017.12.04 SERENDIPより
    2018.02.18 読書開始
    2018.02.21 読了

  • 歌舞伎と違って能は血縁に関係なくプロになれる。そんなバックグラウンドを持つ著者だけに、敷居が高そうな能の世界を(健康に良い等、若干無理矢理感も散見されたにせよ)一般人の感覚に合わせて紹介する工夫が見て取れた。これも歌舞伎と異なり、室町以来権力者と密接に繋がってきた点、両者の芸術性の対比が興味深い。世阿弥のイメージが先立つ能だが、派手好きの秀吉の影響を強く受けていたり、ゆったりとしたスタイルは江戸期からで、元来今より動きが多かったなど、歌舞伎や落語より古い伝統芸能も、時代によって変遷してきたからこそ存立してるのだなと感じた。

  • 能の世界を非常に身近に感じることができる本だと思う。

    能の「舞台芸術」としての仕掛けだけでなく、謡いのような教養が一般庶民の中で比較的最近まで息づいていたことや、能が俳句などの他の芸術の背景になっていたことなど、分かり易く教えてくれている。

    また、能の観賞や、能を習うためのガイダンスもあり、入口として非常に良い本だと思う。

  • 熱量は感じる。でも何?というイメージは消えない

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著者プロフィール

【著者】安田 登(やすだ・のぼる)
1956年生まれ。下掛宝生流ワキ方能楽師。国内外で能楽師として活躍しながら、能のメソッドを使った作品の創作・演出・出演などに精力的に取り組んでいる。日本と中国の古典を《身体感覚》で読むことをテーマに、東京・京都・熊本での社会人向け寺子屋を主宰。執筆・講演のほかに、理化学研究所のAIと文化の研究チームにも携わるなど、多方面の活躍で注目されている。著書に、『役に立つ古典(学びのきほん)』(NHK出版)、『すごい論語』『あわいの力』(以上、ミシマ社)、『能――650年続いた仕掛けとは』(新潮新書)、『身体感覚で『論語』を読みなおす。』『身体感覚で「芭蕉」を読みなおす。』(以上、春秋社)、『日本人の身体』(ちくま新書)、『身体能力を高める「和の所作」(ちくま文庫)、『体と心がラクになる「和」のウォーキング』(祥伝社黄金文庫)ほか多数。

「2020年 『野の古典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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