外国人が熱狂するクールな田舎の作り方 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106107481

作品紹介・あらすじ

小学生のランドセル姿も田んぼも立派な「コンテンツ」。「なにもない日本の田舎」の「なにげない日常」こそ宝の山になる! 地域の課題にインバウンド・ツーリズムで解決を図った「逆張りの戦略ストーリー」を大公開。

感想・レビュー・書評

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  • 岐阜県の飛騨地方に移住して、この場所にわざわざ海外の人が行きたいと思わせるような仕組みを作った山田拓さんの本。

    一流大学卒、海外でコンサルを学び、働こうと思えば上場企業に就職することもできた山田さんが飛騨に移住。
    いろいろなチャレンジやトライなどもしつつインバウンドを狙ったシステムを作ったドキュメント。

    田舎ならではの苦労やら、地域の人々とのかかわり方などもありながらここまで人を動かす力は本当にすごい!

    その土地に住んでいる人を心の底から賛同してもらって自らが自発的に動くことって本当に難しい。
    それを努力して動かす粘り強さやら自分がまず動くことで見てもらうこと…いうのは簡単だけど実際に動かすのは本当に難しいと思う。

    「観光」ではなく「ツーリズム」を…

    山田さんのような人が地方を動かしていくんだろうな…。いやいや…大きく動かして行ってほしい!

    私もいつか飛騨で山田さんの「ツーリズム」を体験したい!

  • コンサル会社での勤務経験を経て、夫婦で世界旅行を終えた後に飛騨古川へ移住。日本人にとっては当たり前である田舎の風景を、ツーリズムにおけるキラーコンテンツへと作りかえた全貌を、分かりやすく掻い摘んで説明している。

    作りかえたと書いたが、実際に風景を解体して観光向けに改造したというわけではない。むしろ、現存する田舎自体をその地域の強みであることを気づかせ、地元住民や作者の元で働く人の考えを変えたのだ。観光で食べていくためには、まずその土台となる地域の特徴や強みを知らなければいけない。そして作者が強調するように、地道に、そして継続的に運営を行っていかなければならない。また人材の育成も必然である。こうして考えてみると、手を付けなければいけないことはたくさんあり、一朝一夕で成功を手にすることが難しいのは明白である。
    また読んでいて一番大きい問題画やはり人手不足なのではないかと感じた。組織のマネジメントにマーケティング、人材育成や地域との連携。どの分野においても、一人以上のプロフェッショナルや指南役がいないまま組織運営を行っていくことは難しい。最後の章でも取り上げているが、プレイヤーの少なさに対して支援者の数が多すぎる。このままではまずいと危機感を持って事業を立ち上げる人がわずかでは、地方を活性化させようというプロジェクトがぼこぼこと生まれないのは当然だ。今までもなんとかやってこれたからこれからも大丈夫、という慣れ親しんだ考えが、皆の腰を重くするのだと思った。

  • 企業経営の手法を地方自治体に落とし込まなければいけないはずなのに専門用語が多く読みづらいのが残念。
    内容的には前書きで充分伝えたいことはわかる。
    また、この本が誰に向けて書かれているかがよくわからない。
    もし、新たに自分と同じようなプレーヤーを求めているのであれば、地方の実情を知って地方移住はやめて長期旅行程度にしておこうと思うくらいの人間関係の煩わしさを個人的には感じる。
    地方の実情を知るには良い本だけど、そこから踏み込ませるなにかがない。
    また、お金や観光客の増加数など定量的なデータの提示がないのも外資にいた人の書かれた本なのに残念。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/699542

  • ふむ

  • コンサル業界での海外駐在経験を持ちながら退職して世界を1年半旅し、飛騨に移住、サイクリングツアーなど里山の価値を体験できるプログラムを造成。インバウンドに特化したアプローチで現在では移住促進業務や各地のコンサルティング、講演にも取り組むなど成功を収めている。
    単なる体験談だけでなく、その中で必要なことを理論的に解説しており、さすがコンサル出身といったところである。観光業界で奮闘するビジネスパーソンはぜひ読んだ方が良い。

  • 新しいことを始める困難さ、継続の大切さを知ることができた。
    こういった本の多くは、成功体験の部分が多く記されていて、読んでいて、「成功したから、言えることやん」と不貞腐れてしまうことがあるが、しっかりと考え方、苦悩の部分が主として、書かれており、自分も頑張らなければなという気持ちになった。

  • 山田拓さん、すごい人だ。
    ・まちづくりという名の観光、結果観光。誘客に力を注ぐことも大事だが、住民の暮らしが何より大切。まちに暮らす人が活き活きしているなら、自ずと観光客が来る。
    ・人口減少著しい地方においては、新しいビジネスを起こすのに、人材確保が難しい。
    ・サイトをリリースしてOKでなく、想定しているゲストにサイトに来てもらう工夫、いわば導線づくりが大事。ウェブ広告やメディア露出など。
    ・多くの現役世代にとって、移住は所得を確保できる見込みがないと難しい。所得水準ではない。いくら移住に興味を持ってもらえたとしても、魅力的な仕事がない、仕事がそもそもない、仕事情報が集約されていないという状態では、なかなか実際の移住にはつながらない。
    ・地域側にはコトを起こす人がいない。新たな流れを作り出す人。人材確保が難しいのと同じ。
    ・今のDMOは、本来のあり方とは違う方向に行っている。
    ・形ある成果がなかなか出ない根本原因は、「今の豊かさ」。公的な支援メニューがたくさんあり、必死にやらなくても食っていける。必死になって動く理由もない。
    ・観光(従来型の1泊2日、2泊3日の団体旅行)でなくツーリズム(世界中の多種多様なニーズに合わせた多種多様なサービス)を目指す。
    ・単年度の行政事業で動き出したところ、予算が切れたので中断。始めたはいいが、「仕組み」を構築しないため持続性がなく終了。そんな例がたくさんある。

  • 東京でコンサルをし世界を一周し、飛騨で「里山サイクリング」事業を確立された山たくさんの創業ストーリー。「地方☓体験☓インバウンド」の施策は勉強になるとともに、地方で新しいことを始めるのって本当に大変だなと思います。

  • 「自分はそれまで置かれた環境の中で努力し、自分でさまざまな成果を勝ち得て来たつもりでしたが、ウガンダの地で産み落とされていたとしたら同じような軌跡をへることができただろうか」
    「ファーストランナーは先行者利益を得られると同時に、誰もが経験したことないさまざまな課題に直面する」

  • ・この地の価値を継承する「住民」を確保し続けること。
    ・滞在時間の長い欧米豪の個人旅行者マーケットを狙う。
    ・人口減少著しい地方部においては、可能性あふれる新たなビジネスを創る際に大きなネックとなるのが、人材の確保。
    ・日本政府観光局(JNTO)の現地イベントに出展
    ・地域全体における移住、定住政策を、一般企業における人事部機能として捉える。
    ・現場の試行錯誤から得られる知見は「リアル」であり、そのリアルさがコンサルティング事業にも反映されるという円環構造。
    ・少なすぎるプレーヤー、多すぎる支援者。

  • 飛騨といえば、高山も古川も下呂も、古い街並みやその街並みを構成する古民家が魅力的です。しかし、本書の唱える「クールな田舎」は、古い町並みや古民家に留まりません。「クールな田舎」の核心部分は、「水田」です。水田を巡るサイクリングツアーを含む飛騨古川の「SATOYAMA EXPERIENCE」は、トリップアドバイザーで93%の人が5段階評価の5をつけています。
    http://naokis.doorblog.jp/archives/satoyama_experience.html【書評】『外国人が熱狂するクールな田舎の作り方』 : なおきのブログ

    <目次>
    はじめに
    第一章 グローバルカンパニーと世界放浪を経て飛騨へ
    第二章 日本の田舎は世界に通じる
    第三章 タダの景色でお金を稼ごう
    第四章 大変だけど楽しい田舎暮らし
    第五章 企業経営の手法を地域経営に
    第六章 日本と世界の田舎をクールに
    あとがき


    2018.02.10 新書巡回にて
    2018.02.22 読書開始
    2018.02.25 読了

  • タイトルが良いです。実践と理論を踏まえた内容で、説得力があります。著者のようなスーパー人材でも、移住初期や立ち上げ時にはご苦労されており、ハードルの高さを再認識したのも正直な感想です。

  • 実践している人の凄さが分かった
    マーケティングは企業の花形部署一朝一夕には身に付かない
    外部から人材を得る事はなかなか難しい
    とりあえず育てるしかない
    日本で生まれたんだってね上底
    申し込むためのまでの4つのハードル
    ①そもそも情報が届いてないから選択肢に上がらない
    ②情報はあるが欲しい情報ではない
    ③情報は届いているが興味を打たれていない
    ④興味は持たれたが価格など制約条件に合わない

  • かなりリアルにヒントをもらえた。

    企業経営手法、マーケティング手法(スキーム、PDCAプロセス)→地域経営への適用

    企業人事部機能→地域全体における移住定住政策


    良さは、ヨソモノにより再評価されることで、あたりまえのもののありがたさやすばらしさが発見される。旅行者、なによりそこでその場に生きて暮らしている人を豊かにさせる。豊かはそこで暮らせて、仕事があって、その地に誇りを持てること。

    「地方部に移り住むということは、それまでの都市部でのキャリアを捨ててダウングレードするイメージがあるようにかんじられますが、個人的にはその逆で、地方部での新たなチャレンジはむしろキャリアアップを実現する機会のように思えます。」
    この発想、この本を読んで説得力持って響いた。


    もひとつ。
    ゴール描いてそこに向かって愚直にやりつづけること。

    このやりつづるために、必要なことは?
    意志の総和。
    足した大きさ。
    か。

  • 飛騨地域の特色や,地方田舎が抱えている問題・将来的に起こるピンチを、とても具体的かつ現実的な厳しさを交えて明文化されていらっしゃいます。
    私も高山に移住した身で,田舎地域の,住んでいるからこそ知り得る長短に悩む事が多々あります。著者の山田さんのように詳細分析し、言語化するには至っていなかったので,頭の整理にひじょ〜〜に参考になりました。

    山田さんが飛騨地域に移住し,行動を起こされたのが34歳。2年後,僕も同じようにスタートを切っていたい。
    飛騨高山に住む方々は是非とも1度読んで欲しい。

  • 飛騨古川で外国人向け観光ツアーをしている筆者。
    インバウンドの需要掘り起こしの時から取り組み、今に至るが、まだまだ担い手が少ないと述べている。
    高山から帰ってきた人たちの前に車で待っていて、その場で営業という地道な活動からスタートし、今でも続けている。

  • 内容を理解しがたいなと思うのが、現状、本書の舞台である飛騨古川が「君の名は。」によって、海外からの観光客を呼び込むのに最適な“聖地“になっているという事実である。
    結局は、棚ぼた話なのかなというのが現時点での感想。

  • 東2法経図・開架 689A/Y19g//K

  • 一気に読んだ。今の山田拓さんや美ら地球のことはおよそ知っていても、今に至る思いやプロセス(とくに苦労話)はあまり知らず、本書で感じられてよかった。

    ひとつひとつの思い(課題認識)が素朴であり、実直だとも発見したし、常に謙虚さもあるし、マーケティングの基本的なフレームワーク(3Cとか)も踏まえているのである。ウェブサイトのPV分析の意義の話も印象的。「パッション」に加えて、無視できない、そうした「基本に忠実」な姿勢はコンサル勤務でも培われたと思われる。

    一方、はじめから思いと手法のみで突き進めることができたわけではなく、スタート時は政策(自治体の施策、要は補助金とか)に頼った部分も多分にあるようだし、あるいはファーストカスタマー獲得のため高山の歴史的町並みまでハイエースでいったというのも大事な言及。
    手法に関していえば「クール」さだけでない、「あの手この手」が付き物なのだ。

    こんなふうに「両面性」というのがあふれている本書。田舎暮らしの魅力と大変さ、を語る章にも象徴的に表れている。

    まさに「作り方」的なノウハウ、大事なことが多く語られていて、それなのに軽快に読み進められて、さらになんだか元気になれる一冊。良書!

  • 移住してきた頃については、物事の捉え方は同じ事でも立場とか視点とかで変わってしまう物なんやなということを感じ、ちょっと残念な感じがした。
    著者が言うように走りながらやってきたことなんやろうけど、考えとること、予測すること、計画することなど、著者の内面が垣間見えて、走りながらとはいえ、しっかりと考えとるんやなぁと感心した。
    振り返って、自分の仕事ぶりはというと、そこまで考えてやってきたのか、もっと深く予測して戦略的に考えんならんのやな、と感じさせられた…

  • <目次>
    はじめに
    第1章  グローバルカンパニーと世界放浪を経て飛騨へ
    第2章  日本の田舎は世界に通じる
    第3章  タダの景色でお金を稼ごう
    第4章  大変だけど楽しい田舎暮らし
    第5章  企業経営に手法を地域経営に
    第6章  日本と世界の田舎をクールに
    あとがき

    <内容>
    タイトルは強すぎる感じがするが、地域活性化について自分の経験を基に紹介している。日本人には何でもない「里山(田舎)」は実は欧米系外国人には「クール」で「素晴らしい」観光スポットである。世界放浪でそこに気づいた著者は、飛騨市でツアー会社を作る。さらにグローバルコンサルティング企業で働いた経験から、地域に食い込み(家族ごと飛騨市に住んで)、うまく結びつけた。最後に著者が言うには、人材がいない。多くの日本人にはこうした発想がない。「気づき」から「行動」。あとは人のネットワーク。日本の将来の指針の一つだろう。

  • 山田拓さんの講演を聞いたことがあったため読みやすかった。
    やはり、こういった観光事例は背景までしっかり理解しないといけないと感じた。そのためもっと理解するためには飛騨に行ってみる必要がある。

    P.31
    日本というアゲ底
    P.187
    マーケティングの難しさ
    本当に求められるDMO
    P.192
    「観光」から「ツーリズム」へ遷移させる必要がある
    P.195
    その地域の望ましい将来像を得ようとする「意思の総和」が大事

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