「毒親」の正体 ――精神科医の診察室から ((新潮新書))

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106107566

作品紹介・あらすじ

「あなたのため」なんて大ウソ! 不適切な育児で、子どもに害をおよぼす「毒親」。彼らの抱える4つの精神医学的事情とは。豊富な臨床例から精神科医が示す「厄介な親」問題の画期的解毒剤!

感想・レビュー・書評

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  • スーザン・フォワードの「毒になる親」を読んだ20年前、親は子を慈しみ、子は親に孝行して恩を返すのが疑いもない時代だった。

    そして今巷には「毒親」「AC」という言葉が氾濫する。

    本著は精神科医水島広子氏が「毒親」を精神医学的に分析して、分かりやすく呈してくれる。

    総論・各論と、症状・考察が混在することなく、ジェンダーや社会学的な立場はできるだけ排しているので明瞭な印象を受けた。

    不適切な養育の原因は、親側にある。子は悪くない。そして本著の目的は、毒親診断や認定ではない。
    どんな事情で親が不適切な養育・言動を取ったのかを知れば、子どもが罪悪感から解放され(「私は悪くない」)、「厄介な親」とのより適切な関わり方の指針を考えやすくなるという方向性。

    【そうした親が抱える精神医学的事情】

    ①発達障害(自閉症スペクトラムASD,或いは注意欠如/多動性衝動ADHD,或いはそれらの混在)

    ②親自身が持つ不安定な愛着スタイル
     a不安型:養育する人が守ってくれる時もあれば、唐突に突き放す時もあり、見捨てられ不安に苦しむ。
     
     b回避型:養育する人がいない、いてもあまり気にかけてもらえず、情緒的やりとりなく生育する。助けを求めるという習慣がなく、困ったときに助けを求められない。

    ③うつ、依存症などの精神疾患

    ④DVや嫁姑問題など環境問題
     他に、子の1人が障害を抱えている、子どもより宗教など

    親なのになぜあんな言葉を発するのか。母なのになぜ子の気持ちが分からないのか。
    私も自分が子どもを持って初めて、自分の実家の関係が不適切だったと気が付いた。30年近く前のことだ。

    巷には毒親判定のサイトすらあるが、そもそも「毒親」も「アダルトチルドレン」も定義や指し示すものが漠然と広範囲に及ぶ主観的なものだ。
    言葉自体が独り歩きしている危惧もある。

    大事なことは、私が辛かったのは私の所為ではないとしっかり罪悪感や自責の念から自分を解き放つこと。

    そして心の底に澱んだ哀しみ、寂しさ、怒り等を発露としてちゃんと表にして、本当はどうしたかったのか、自分の心の声に耳を傾けてみることだと思う。

    怒りを抱いたまま、年齢を重ねるのは悲しすぎる。失うものの方が多い。被害者のままで自分の人生を終えたくない。

    事情を知って、親を許す、受け入れる等が目的でもない。封印してきた過去の気持ちを処理していくには、親を知り、何が起こっていたのかを頭で理解することが前進のカギとなるのは私も大いに賛成だ。

    子を養育することに必要なものの幾つかを「欠いた」人。それが自分の親だった。子は悪くない。そして私は私の人生を生きる。

  • 自分の親を毒親と認めるのがまず難しい。
    だけれど、やはり読み進めると当てはまる所も多くて納得したし、勉強になった。
    親が発達障害という場合も多いそう。そう思うだけで救われる方も多いと思う。
    まずは自分は悪くないという事。何か親に言われても、それは親の問題であって、それと自分とは関係がないという事を理解する。その上で自分の人生を選択していく事が大事。

  •  毒親育ちの人は呼吸を整えるために休み休み読んだほうがよいかもしれない。読了後動悸がして暫く何にも手が付けられなかった。読み終わったら寝てしまうのが良いかもしれないが興奮して眠れなかった。
     何冊か毒親関連の書籍を読んだが一番最初にこの本と出会えていればこの一冊で満足できたような気がする。これを読むだけで癒され救われる人達が沢山生まれると思う。癒されるためにたくさんお金を払って物を買ったり食べたりしてきたがこの700円と少しの書籍ともっと早く出会っていれば浪費することもなくもっと早く楽になれていたに違いない。   毒親から責められるのは自分の責任ではない、毒親との絶縁を否定しない距離感についてや辛さからの回復プロセスが書かれており大変参考になる。私達は支配された人生では無く自分の人生を生きていい。間を置いて繰り返し読みたい。
     スーザン・フォワードの毒親本も読もうとして目次をめくったが毒親の事情については触れられておらず読者自身が救われないような内容のように感じたので多分読まないだろう。
     それに比べこの書籍は悲しき子供、毒親双方向からの視点で考察が出来、医療的見地からも解説されていてより安心して納得できる内容となっている。私達の身近にいる不安定なあの人この人の境遇にも思いを馳せることが出来そうに思う。今まで大変だったね、と心の中でエールを送りたい。この書籍の中で紹介されている関連著書も読みたい。
     
     

  • 自分の親に対して、ずっとモヤモヤしていました。
    年をとるにつれて、そのモヤモヤは大きくなる一方でした。

    自分の親が毒親かどうかは別にして、この本を読んで自分の父も母もASDタイプじゃないかと思い当たりました。

    父も母も真面目すぎるくらい真面目な人たちで、僕は虐待は受けていませんが、一方で親から褒められたり、認められたと感じた記憶はありません。

    母は言うことがその時でコロコロと変わり、いつも極端に僕から異性を遠ざけようとしていました。
    父は交友関係と呼べるものはほとんどなく、「恥」となることを極端に嫌うため、人の力を借りることを自分にも子供にも認めませんでした。

    まさか自分の親が発達障害だとは思いもよりませんでしたし、愕然とした気持ちになりましたが、ASDだと仮定すると今までの親に対するモヤモヤが腑に落ちます。

    本を一冊読んで、即座に他人の精神性を断定するのは愚の骨頂かもしれませんし、危険なことかとは思いますが、親から精神的な支えを受けられなかったこと、親に対する憎しみの執着を手放す一助になりそうです。

  • 書店で購入して読み始め、一つ一つ書いてあることを自分の中に落とし込みながら最後まで読み進めました。
    そして、読み進めることに「真っ当なことが書いてある」と、書いてあることが心から信頼出来る本だということを感じました。

    この本を手に取ってよかったと私は思っています。理由は、「問題の原点に戻れた」と感じたこと。
    加えて、精神科や心療内科といった第三者(治療者)とどう協力していったらいいのかの方向性も読みながら(何となくですが)見えてきたのも大きな収穫でした。

    「毒親」の正体は、発達障害や不安定な愛着スタイル、うつ病やアルコール依存症といった「精神医学的事情がある親」だ、というのがこの本の主張です。
    最初読んだときは目から鱗が落ちるような思いがしました。親の発達障害と毒親の関係を正面切って語っている本に出会わなかったということもあります。
    ただ、よくよく考えたら目新しいことは一つもないようにも思いました。「アダルトチルドレン」という言葉の生まれ故郷が「アルコール依存症」という「精神医学的事情がある親」を相手にした臨床現場だったことを思うと、単にそれをうつ病や発達障害等他の精神疾患や脳機能の障害との関連に敷衍して捉えたとも言えるわけで。そういう意味では「問題の原点に戻っている」とも言えるのではないでしょうか。

    毒親本は、それこそ『ゆがみちゃん』『母はしんどい』といった漫画から、信田さよ子の著作、スーザン・フォワードの『毒になる親』も読みました。読む中で自分にとって切実な悩みだということも感じてきましたし、読んで良かったとも心から思っています(ついでに言えば、私としては以上挙げた本を一通り読んで悩んでからこの本に出会うというのが最良の出会い方だとも思ってます)。
    ただ、実際の具体的なアクションとしては「関係を断つ」「家を出る」「住民票に閲覧制限をかける」といった絶縁を勧めるものだったり、自己啓発的なアプローチのものだったり……。要するに、「すぐにでもしたいけど現実問題ハードルが高い」ことばかり。そして読む程に頭をもたげてくる、
    「絶縁せなあかんのか」
    「自分を強く持たなあかんのか」
    という思い。
    それに比べたら、「親にも精神科・心療内科を受診してもらう」というのは、関係性を捉え直す上でも具体的なアクションとしても現実的に感じました。

    何より、ジェンダー論や家族論や世代論といった「社会学的要素」「社会的背景」に話のウェイトを置いていないことも好感を持てました。
    勿論、社会の状況と精神疾患が切っても切れない関係にあることは間違いありません。「日本社会のあり方が悪い」「現在常識とされている〈父〉〈母〉のロールモデルはおかしい」「あの世代にこういう話が通じないのは何故か?」とかの議論も、それはそれで必要だと思います。
    ただ一方で、まるで社会学者であるかのようにアダルトチルドレンや機能不全家族や毒親を語ってきた「専門家」が(精神科医含め)多くいたなというのも私の今までの印象だったわけで。そういうモヤモヤはこの本にはありませんでした。あくまで臨床現場に誠実に向き合った上で内容を絞っているように思いました。

    ともかく、私自身も医師に頼りながら、具体的に、一つ一つ、向き合っていこうと思います。

  • 毒親の正体のひとつに発達障害の可能性という本。
    うわーそうだったのか、というびっくり感。
    あるある大事典みたいだった。
    読後自分がすっきりするかというとそれは別で
    新しく知ることができた「あきらめ」も考えに入れつつ
    やっぱりこつこつ回復の道を辿らないといけない。

  • 毒親と決めつけただけでは解決できない。その先の解決方法、手段を紹介してくれる良書。
    反抗期が無かった子供は、親が反抗に耐えられないと感じていて、親が安定した場所を作ってくれなかったから、いつまでも親に親らしさを求めて心理的な自立ができない点、納得。親の状況を客観的に理解し、自分の過去の立場を悲しみ、あきらめることが大人になる一歩だと感じた。

  • 「毒親」関連書籍の中で一番斬新
    スーザン・フォワードや安冨歩さんの本を読んできて、この本でたくさん気づきがありました!

    そっか、親が発達障害だったなんて考えたこともなかった。

    -----
    読んでいた時にふと思い浮かんできたこと。
    そうか、学校や会社、組織、社会で成功できない。
    社会で成功すると、依存度が減り、コントロールできなくなってしまう。
    だから、誰も信じられないようにしてしまえば、都合よく使える。

    向こう側の裏側から考えればそういうトリックだ。
    だから、徹底的に褒めない、失敗だけ指摘していれば、成功体験もさせずに、自分よりも劣った人格にすれば、操作できる。

  • 借りたもの。
    毒親の原因に発達障害と愛着障害(スタイル)があることを指摘。
    前者が脳機能の偏向、後者が生育環境における親とのコミュニケーションの問題とされている。
    この2つはよく似た傾向を示すため、素人目には判断が難しそうだ。
    (脳自体がブラックボックスのため、発達障害もよくわからないことが多そうだし…)

    発達障害、愛着障害、精神障害によって何故、毒親が生まれるのか……
    様々なクライアントのケースを基に、「毒親」の定義と原因を紐解いてゆく。
    原因は1つだけではない。親の特質だけでなく、環境要因(貧困、カルト、嫁姑問題、DVなど)もあることを指摘。

    親に原因があったことを認めた上で、“自分が”どうするのか……それが問題だ。
    斎藤学『「毒親」の子どもたちへ』( https://booklog.jp/item/1/4895958744 )でも指摘があった。
    子供は“親に無償に愛されたい”というのは普遍だろう。必要な時期にそれを得られなかった「事実」と「原因」を認識し、それを癒す――克服する――ことが「毒親」問題の本質だろう。
    「毒親」認定をして親を断罪しても意味がない。むしろ「毒親」にその自覚は皆無であることが殆どだ。責めたところで「無かったこと(無視)」にされる。
    そのことを“受け入れる”必要がある。
    ……この本では、毒親と認識された親にその「非」を認めることを促しているが。

    この本は心に不安を抱える人に寄り添う姿勢で書かれている。だからと言って甘い言葉を論(あげつら)っているのではない。そこに好感が持てた。

    段階を踏んだ克服法についても言及。
    田房永子『母がしんどい』( https://booklog.jp/item/1/404602884X )にあるような、親と縁を切る以外の方法を提案。
    ……実際、私もカウンセラーと親子面談をして初めて親が私を育ててくれたが“見ていない”ことを認識した。

    毒親問題とは、当事者が受けた、その虐待の程度や家庭環境の優劣(中産家庭か貧困家庭か)など、境遇の度合いが問題ではなく、家庭環境に起因した苦しい考え方のクセ――生きづらさ――による苦しみだった。それを他人が「被害者意識強い」というのはお門違いだろう。

    【感想とはあまり関係ない備忘録】
    日本において「毒親」という言葉の認知を広めた田房永子氏も、ブログで“「しんどい母は発達障害ではないか?」という意見を頂いた”と言っていた。
    愛着障害は直近で読んだ『話を聞きたがらない夫 悩みを聞いてほしい妻』( https://booklog.jp/item/1/4040693841 )の著者・岡田尊司氏の専売特許ではないことが発見…

  • 自分が大人になって初めて「親が発達障害グレーゾーンである」と気がつき、カウンセラーさんに紹介していただいたこの本のおかげで、小さい頃からの教育や家庭の違和感の正体を知ることができた。

    毒親に関する本はたくさんあるが、発達障害を持った親に育てられた子どもに向けた本はなかなか見つけられず、この本が唯一の参考になり、心の病を治療中のわたしはとても助けられた。

    毒親の本を読んでもしっくりこない方がこの本に辿り着き、1人でも多くの方が違和感の正体を見つけることができますように。

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著者プロフィール

水島広子【みずしま ひろこ】

慶應義塾大学医学部卒業・同大学院修了(医学博士)。慶應義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、2000年6月~2005年8月、衆議院議員として児童虐待防止法の抜本的改正などに取り組む。1997年に共訳『うつ病の対人関係療法』を出版して以来、日本における対人関係療法の第一人者として臨床に応用するとともに、その普及啓発に努めている。現在は対人関係療法専門クリニック院長、慶應義塾大学医学部非常勤講師(精神神経科)、対人関係療法研究会代表世話人、アティテューディナル・ヒーリング・ジャパン代表。主著に『自分でできる対人関係療法』『トラウマの現実に向き合う』(創元社)、『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』(紀伊國屋書店)、『怖れを手放す』(星和書店)、『女子の人間関係』(サンクチュアリ出版)、『自己肯定感、持っていますか?』(大和出版)、『「毒親」の正体』(新潮新書)などがある。

「2022年 『心がスーッとラクになる 世界の美しい文様ぬり絵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

水島広子の作品

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