素顔の西郷隆盛 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106107603

作品紹介・あらすじ

人間像と維新史を、わし摑み! 今から百五十年前、この国のかたちを一変させた「大西郷」とは、いったい何者だったのか? 後代の神格化を離れて史実をひもとき、意外な素顔と波乱の生涯を活写する。

感想・レビュー・書評

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  • 史料に基づいた考察などは相変わらず読ませるが、タイトル通り人物像を浮き彫りにする内容なので、歴史の本というよりは大河ドラマのネタ本というべき。中世以前の様な陋習が残る一方、近代化を躊躇なく進める薩摩の複雑性は、時には英雄、謀略家、時には隠者といった多面性を持つ西郷隆盛その人とも通じていて興味深かった。

  • 磯田氏のこの本と司馬遼太郎氏の翔ぶが如く読んだ。もちろん磯田氏は古文書から日本歴史家として歴史を忠実にかかれている。それに対し司馬氏はあくまでも小説家であるため、史実は忠実に再現され、それに創作部分をくわえられている。両書に描かれている共通部分が史実として私は捉えている。
    この歳になって、古文書から読み通すのは極めて困難なため、複数の本を読んで自分なりの西郷隆盛像を作り上げることしかできません。ただし、真実と創作の部分の見極めが出来ないといけませんがね。
    そのためにも、歴史家の磯田氏のこのような本が大変貴重です。

  • 毀誉褒貶の多い(「毀」「貶」の割合が勝ってるかな?)今年の大河ドラマ『西郷どん』。その時代考証を担当している磯田道史氏による「大西郷とは何者か?」論。
    その生涯を軸とし、幕末の薩摩藩の状況、取り巻く人々、歴史の流れなど、史料を駆使してさまざまな視座から“西郷どん”の人となりを語り下ろす。

    【以下、ネタバレあり】





    やはり西郷さんは「純」そのものの人だったんだな。と言うのが率直な感想。ただ、「純」という言葉にもいろんな意味があるわけで、まさにつかみどころがない。文中にもあるとおり「面倒くさいヤツ」だったのだろう。
    けっこう躁うつ気質だったみたいだけど、そのあたりを中野信子先生にも解き明かしてもらいたいと思う。

    ところで、ドラマの時代考証では史実と脚本とのせめぎ合いがあるみたいで、時代考証担当者も妥協を強いられることが多いのだとか。(歴史が得意ではない)脚本家にまかせたツケは、当の脚本家や制作者、時代考証担当者だけではなく、視聴者含むすべての関係者にも回ってくるんだぞと戒めておきたい(何様?)。

  • はじめに
    第一部 青春と挫折
    第二部 復活と策動
    第三部 失意と天命
    おわりに
    主要参考文献

  • 東2法経図・6F開架:289.1A/Sa18i//K

  • 勉強熱心な長州藩では、とかく抽象的な議論がまかり通るため、しまいには成否に関係なく討ち死にしても良いと言う話になりがちでした
    斉彬の考え方は、大雑把に言えば、アジアは西洋から辱めを受けてはならない、日本は一つとなって西洋列強に立ち向かわなければならない、と言うものでした
    西郷はせっかちな人に多い、味の濃い、塩辛いものが好きでした
    西郷の目的は、最初から朝鮮を攻めとろうと言うのではなく、朝鮮も共に近代化しよう言うことにあったと思います
    古文書を読むとき、どういう目的でその資料が作られたか、きちんと見る必要があります
    要するに、結局は人であり、人間が世の中を動かしている。制度や法律の類ではなく、人間が物事を動かしていることに核がある

  • 西郷隆盛についてはいろいろな見方がある。この本はその理解しにくい西郷の人物像がわかりやすく書かれており読んでよかった。

  • ★★★2019年5月★★★


    『武士の家計簿』などの著作で知られる、磯田氏による西郷論。西郷こと吉之助少年は、周囲から「ややこしい奴」だと思われていたらしい。自らの高い志のため、妥協する事がなかったからだろうか。


    君主斉彬の死、自らの入水自殺未遂、弟吉二郎の死、多くの出来事が西郷に影響を与えた。命知らずの西郷はこうして形成されてゆく。


    西郷は征韓論者であったかという議論については、西郷は積極的な征韓論者ではなかったと筆者は述べる。


    岩倉らが欧州視察に赴いた際の留守政府が非常に優秀だったという考えは、井沢氏の意見と一致。そもそも「留守」政府という言い方自体がおかしいという考えには僕も賛成だ。


    なんだかまとまりの無い感想文になってしまった。
    西郷の生涯をダイジェストでたどるには格好の一冊だと思う。

  •  西郷隆盛という人がいなかったら、今のこの国のかたちはなかったかもしれない。

     しかしそのキャラクターは子供のように自然体すぎる。人にはない大きな愛と力を持ちながら、ときには全てをほりだして逃げ、脱力し、自然へと帰っていってしまう。

     子供みたいな純真な側面がありながら、策謀をはじめるといくらでも悪辣なことを思いつく頭脳、自分が思う世の中を創ると決めたら、それに必要な作業へと変換できる天才的な革命家、人を選ぶ時の抜群の上手さ(西南戦争時の桐野、篠原らは例外?)、そして理不尽な身分制や差別に対する怒り、いずれ人は死ぬのだという諦観。

     「人間、いかに大きな仕事をしても、後を残さないことこそ大事」と言った言葉通り、写真一枚残していない。知れば知るほど謎多き人物だ。

  • 2018年に放送されたNHK大河ドラマ「西郷どん」の時代考証をつとめた磯田道史氏の著作。
    昨年春に購入し、ドラマの補足資料として読んでいました。磯田氏は歴史番組でもわかりやすく、なるほど、と思わせる視点で歴史上の出来事を解説してくれますが、この本も、西郷が実はこういうことをしていて、こういう人物だったと、わかりやすく説明しています。
    たとえば、戊辰戦争直前、幕府を怒らせ戦争に持ち込ませるため、3人の工作員を使いますが、3人ともその後不審な死を遂げます。そこには西郷の裏の顔がありそうです。

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著者プロフィール

磯田道史(いそだ みちふみ)
1970年、岡山県生まれの研究者。茨城大学、静岡文化芸術大学などを経て、国際日本文化研究センター准教授。専攻は日本近世・近代史・日本社会経済史。
実家は備中鴨方藩重臣の家系で、古文書が豊富にあった。高校生のとき実家と岡山県立図書館の古文書を解読している。京都府立大学文学部史学科、慶應義塾大学文学部史学科を経て、慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。「近世大名家臣団の社会構造」で史学博士号取得。
2003年刊行の『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』が第2回新潮ドキュメント賞を受賞し、2010年森田芳光監督により『武士の家計簿』のタイトルで映画化し大ヒット。2015年には『天災から日本史を読みなおす』で第63回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。その他代表作に『日本史の内幕』などがあり、多くの新書がヒット作となっている。

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