- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106107665
作品紹介・あらすじ
発達障害と犯罪に直接の関係はない。しかし……。負の連鎖を断ち切るには何が必要なのか。矯正施設、加害少年、更生の現場などを徹底取材。敢えてタブーに正面から切り込み、問題解決の方策を提示する。
感想・レビュー・書評
-
宮口さんのケーキの切れない非行少年で、この本のことに触れていたので続けて読んでみた。
こちらも面白かった。
タイトルから勘違いや不快をさせてしまわないように
最初に障害=犯罪では決してない、ということを
作者の田淵さんは書いています。
まあ、私もこの本のタイトルを
最初はびっくりしましたが笑
だいぶ、切り込んだ内容だなと。賛否覚悟で書かれたのかな、と感じました。
あとがきにて、作者自身もこの本を制作するのに取材を
するにあたって、自分自身の過去を辿ることでもあった。と書かれていました。
また、本の一文をそのまま書きますが、
P.233
ストーカー問題に長年取り組んでいる、
NPO法人「ヒューマニティ」の
小早川明子さんが、気遣いや人づき合いといった余計な
ことを考えなくてもよくなった脳の空き領域に、
優れた才能が搭載されたのが発達障害という特性でないか、というのである。
素敵な考え方だと私は思う。彼らの素晴らしい部分を伸ばしてあげる、そんな発送を持ちたいものだ。
私はケーキの切れないと、この本、2冊を
読んで五感の必要性、認知機能の重要性というのを
感じました。
他の国に比べて国の子どもにあてる予算が低いことなど
これからの未来を作るための
社会全体に対しての警告やメッセージを感じました。
パーセンテージや事例をあげて書かれていて読みやすかったし、少年とのやり取りは興味深かった。
犯罪者の気持ちなんて分かりたくも知りたくもない、て人は結構いるし、その気持ちも当然だと思うんです。
それでは増えていく一方で自分を守るという意味でも
決して人ごとではなく、共存社会の中でこれからの未来をつくっていく上で大切なことだと思いました。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
その保護者としては、とても切ないタイトルだけれど、
「よくぞ調べてくれました!」と喝采したい内容。
思春期~青年期に入り、不登校や若干の不安定な時期を、
これでもか、と経験していると、
ニュースで事件を起こした少年が、明日はわが家...と恐ろしくなる。
幼少期から手厚く療育三昧で育ててきた...はずが、
理解を超えた展開を迎え、家庭だけ、家族だけでは、
精神的にも、肉体的にも支えきれなくなる。
子どもを授かることの十字架に、改めて気づかされる。
わが家には、健常児もいるので、
発達の根本的な違い、なかなか通じ合えない、共感しずらい感覚へ
日々、向き合わざるを得ないことが、まるで修行のようです。
犯罪者を生み出さない、という社会貢献を、ひっそり実践中です(苦笑) -
少年犯罪と発達障害の関係を取り扱った作品。
発達障害を持つ子と親から適切な養育を受けていないと思われる発達障害を持つ子たちへのケアが大切になってくるなぁと感じた。 -
発達障害と犯罪に直接の関係はない。しかし、発達障害をもつ子どもの特性が、彼らを犯罪の世界に引き込んでしまう傾向があることは否めない。そんな負の連鎖を断ち切るためには何が必要なのか。矯正施設、加害者になってしまった少年たち、彼らを支援する精神科医、特別支援教育の現場など、関係者を徹底取材。敢えてタブーに切り込み、現実を正面から見据えて問題解決の方策を提示する。
発達障害が犯罪に直結するわけではないが、そうならないために、家庭は、学校は、地域社会はどうしたらよいのか。その一つは自己肯定感を下げないことだろうな。さまざまなことについて考えさせるきっかけになる一冊。「おわりに」は最後に読みましょう。 -
「発達障害にネグレクトや身体的虐待のような虐待が加われば非行や触法行為に結びつく可能性が高くなる」
「発達障害と少年犯罪を結ぶ正体は虐待といえる」
本書にも繰り返し描かれていますが発達障害イコール少年犯罪ではありません。
ただ発達障害のある子供が傷つきやすく繊細であるにもかかわらず
そのこだわりの強さや頑固さコミュニケーションの不自然さといった性格からイジメや虐待にあいやすく
結果として社会不適応状態が作られることで
犯罪行為に結びつくことが調査結果からわかってきている
ことが描かれています。
発達障害のある子供たちの支援だけでなく保護者支援が重要であることがわかります。
発達障害のある子供が虐待を受けている場合にその親も発達障害である場合も少なくなく虐待が連鎖していく恐れがあると描かれています。
最終的には虐待が起こらない社会にしていきたいという願いに通じるように思います。
読んでよかったです。 -
ケーキを切れない非行少年たち
にて、影響を受けた本として書かれてた -
■発達の障害凹凸だけでは触法とか問題行動になることは非常に少ない。そこに「プラスαの要因」がなければならない。それは何かというと迫害体験である。過剰な叱責、学校でのいじめなど。そういう子供虐待のような迫害体験が加算されたときに発達の凹凸を持った人は非常に調子がおかしくなる。
■虐待によって入院治療していた子供36人のうち注意欠陥・多動性障害や自閉症スペクトラム障害を持っている子供は53%にも上る。
■発達障害を持つ子供の特性は虐待の「リスク要因」になっている。つまり発達障害という先天的な脳の病気によって子供はいわれのない暴力や虐待を受ける可能性があるということ。
■「非行や触法行為を行っていない」ものに子供虐待がある割合が28%であるのに対し、「非行や触法行為を行った」ものの場合は56%と倍にも至る。つまり自閉症スペクトラム障害を持つ子供に虐待という要素が注ぎ込まれると非行に走る可能性が2倍になるということ。
■「犯罪などの不良行為をしたりするおそれがある」
子供が収容されている静岡県のある児童自立支援施設の入所者のうち、およそ95%が虐待経験を持ち、37%は性的虐待を受けていた。
■「困っている子供」の6つの特徴
①認知機能の弱さ
②感情理解の乏しさ
③融通の利かなさ
④不適切な自己評価
⑤対人スキルの乏しさ
⑥身体的不器用さ
■自己肯定感が低い原因
①周りから認められたり褒められたりしたことがない、若しくは少ない
②家族や近親者から過剰な叱責や肉体的な虐待を受けてきた
③能力や行動を一定期間、否定され続けてきた
④選択肢を与えられてこなかった、そのため自分で決められない
⑤周りが耳を傾けてくれない、若しくは無視をされ続けてきた
これらは広い意味での虐待に含まれる。
■発達障害と父親の年齢の相関
2012年、アイスランド、デンマーク、イギリスの共同チームは親の遺伝子にはないゲノム配列の変化を見つけるため、両親と子供の親子3人、計78組と対象群数百組のゲノム解析を行った。その結果遺伝子に起こる新生突然変異の発生率の増加は、要因の97.1%が受胎時の父親の年齢にある可能性が示された。一方、新生突然変異の発生率の増加と受胎時の母親の年齢には関連は見出されなかった。
現在の新生児は平均して約60の小規模な新生突然変異を持ってい生まれてくるとされている。父親が20歳の場合、新生突然変異の平均数は25だが、40歳の場合では65だった。新生突然変異が起こる確率は受胎時の父親の年齢が上がるほど上昇する。父親の年が16歳違うと発生率は倍になる。つまり20歳の父親に比べて36歳の父親の方が、子供に新生突然変異が起こる確率が2倍になるという結果が出た。
まだ研究途上の分野ではあるが、このデータからは女性ではなく男性の結婚が遅れることによって発達障害を持つ子供が多く生まれている可能性が高いということが言える。 -
途中、何だか読みにくいところがあり、発達障害と少年犯罪が本当に関係があるのか分からないところがあった。
発達障害に+α(虐待など)が加わると、犯罪に繋がる可能性が高くなる。脳の障害。
日本は子の虐待にかけるお金が少なすぎる。 -
発達障害と無差別殺傷の関わりが気になって拝読。
少年院でのインタビューが質問も的を射ってない感じがしたりそれの解釈が「ん?」って感じだったりした。
止められてみたが家族のことについて訊いてみることにした。じゃないよ!