国家と教養 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
3.67
  • (20)
  • (45)
  • (23)
  • (9)
  • (4)
本棚登録 : 447
レビュー : 41
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106107931

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 「もっとしっかり勉強しなければならない」「もっとたくさんの本を読まなければならない」そう思わせてくれる本でした。
    そして何より日本人であることを誇りに思えるように、恥ずかしくないように、しなければならないと思いました。

  • 経済上の変化が、不思議といおうか、当然といおうか、人の優しさ、おだやかさ、思いやり、卑怯を憎む心、献身、他者への深い共感、と日本を日本たらしめてできた誇るべき情緒までをも蝕み始めたのです
    イギリス人には他人と違うことはかっこいいと言う文化があります
    読書を通じ、古今東西の賢人や哲人や文人の言葉に耳を傾けることができます

  • 藤原正彦 著「国家と教養」(2018.12)、私には難しかったです。最近は、冗談交じりで、教養とは「今日用事がある」(教育は「今日行くところがある」)なんて言ってる私ですw。教養はなぜ必要か、教養の衰退、教養と欧州、教養と日本、国家と教養・・・、難しかったです。著者の思いを推察すると、疑似体験の柱となる「読書」と教養の4本柱(人文教養、社会教養、科学教養、大衆文化教養)の重要性でしょうか。就中、大衆文化教養(情緒)の大切さに力点を置かれています。とにもかくにも難しかったですw。

  • 欧米諸国をまわってみてから、改めて日本を見たらちょっと将来が心配です、というご老人からの啓発本。
    これからの日本人に必要なのはこれだ、というものをいくつか挙げている。

    それは戦争を止められなかった旧制高校の教養主義とも違うし、その残滓として戦後も残っていた文化とも違うことを、自身の経験から語っているのだが、それらを通じて、逆説的に日本における教養とはどういうものだったのかが浮かび上がってくる仕掛けになっている。

    ドイツの教養主義を成り立ちから説き、それが大衆から乖離しナチズムの台頭を許したところまでを丹念に説明した上で、そういう教養じゃ駄目だと言うのも、
    論理バカじゃなくてイギリスのようにユーモアを持ち合わせないと、と言うのも、
    そして、そういった諸々を切って捨て、実利的なものを良しとするアメリカ的な価値観も嫌だと言うのも、すべて大掛かりな伏線で、
    日本で教養とされたものは、戦争に勝つ知恵も、避ける知恵も、バブル後の経済的な蹂躙を防ぐ手立てにもなりませんでした、との主張につながる。

    ただ、それらの「敗戦」が、その教養とされたものの性質の問題なのか、それを実践に移す者がいなかった、あるいは少なかったことが問題なのか、が議論として峻別されていない。
    無論、これからの日本人に必要なものを指し示すのが著者の目的なので、民主主義なのでみんなでこれらを学びましょう、で論は閉じるのだが、なんとなく消化不良の感はある。

    ただ、反省とか総括とかいうことをまったくしないか、言い過ぎるかで70年あるいは30年経ってしまい、今や元号も令和だし。
    そもそも数学者の著者にそこまで求めるのも酷な話か。

  • 年取ったなぁ。。。丁寧さに欠けた文章がもったいない。正論が老害に見えてしまう。すごい正しいこと言ってるのに。天才数学者が長年の知見で綴った名著であることは間違いない。賛否あっても、深く参考になる一冊。

  • 西洋史が大半を占めていますが、とても勉強になりました。また、教養=読書の重要性を改めて再認識しました。
    将来の日本を担う子供たちへ、今後も読書を強く勧めていきたいと思います。

  • 【感想】
    近代の世界史について、筆者の客観的な視点も相まって、読んでいて非常に勉強になった。
    どの国の歴史を見ていても、(当たり前だが)やはり自国の国益を最優先に考えて動いており、その中で社会主義や資本主義が発展しているのが読んでいて分かった。
    正直、「教養」というのは一文の得にもならないということを分かった上で、ただ欲望にまみれた本能を抑制する手段として身につけなければならない。
    ナチスドイツの発展やソ連の誕生なども、国民の教養不足の合間を縫って発展したのだから、その点は非常に頷ける。

    ただ、作中にもある通り、利害損失のみで動いている人間が多い今世において、果たして「教養」という剣が本当に役に立つかどうかについては、甚だ疑問とも思った。
    これから必要な教養として、「人文的教養(哲学や古典)」「社会的教養」「科学教養」「大衆文化教養」などが挙げられているが、この世で生き抜くにあたっては、メシのタネになる、あるいは自身を守る盾になる「実学」を身につけなければいけないのではないか。
    自身の仕事に直結するための勉強や、収入につながる勉強、誰かに騙されないよう見抜くための勉強など・・・
    多少軽薄なのかもしれないが、誰かに欺かれたり競争で勝ち抜くためには、そういった知識も身につけないといけない世の中なんだと個人的には思っている。
    「教養が大切だ!」という意見は勿論頷けるが、綺麗事だけではこの世の中で生きていくにあたってハズレを引き続けてしまう気もする・・・

    リベラルアーツなど、知識として身に着けておく重要性も感じたが、それと同時に、いやそれ以上に、「VUCA」と称されるこの世の中を生き抜くためにも、別ジャンルで必要な知識やスキルを身に着けていく必要がある。
    「性善説」を貫いて生きるのは確かに素晴らしいが、それは疑う事を怠けてしまっているのと同義である。
    この世に悪意が潜んでいる限り、「清濁併せ吞む」覚悟で生きていく必要があるなと、最近になってとても感じる。

    とても面白い本だったし、勉強にもなったが、結局は筆者の主張とは大きく異なってしまった。
    結局、マジメな人間が損をしてしまうリスクが大いにあるこの世の中では、「功利性」や「金銭」の大切さから極端に目を背ける事が今の自分には到底できない。
    前記したが、「清濁併せ吞む」スタイル。
    また、「性善説」に依存しすぎないスタイル。
    「教養」をしっかりと身に着けつつ、決して貧乏くじを引かないためにも、打算的に狡猾に世の中を生きていくダークスキルも併せて今後は身に着けていこうと思った。


    【内容まとめ】
    1.「教養」とは、世の中に溢れるいくつもの正しい「論理」の中から最適なものを選び出す「直感力」、そして「大局観」を与えてくれる力。

    2.アメリカのトランプ大統領も、口ではウォール街を牽制しているが、実際は金融規制緩和などでウォール街を喜ばせ、国益を優先としている。
    アメリカに限らずどの国も、弱者や敗者への惻隠などはどうでもよいこと。
    世界中の99%の人々は、ほとんど利害得失だけで行動しており、そういった人々から成る国家がそのような浅ましい行動やさもしい行動に向かうのは、残念ながら仕方のないこと。
    そんな中で、「教養」は本能を制御する力として大きな意味を持つ。

    3.リベラルアーツの起源
    アリストテレスは数学中心主義から離れ、広く人文、社会、自然からなる3つの科学が体系的に教えられた。
    アリストテレスはリュケイオンで教えながら哲学・論理学・生物学・修辞学・倫理学・政治学をはじめ諸分野で膨大な業績を残し、「万学の祖」と呼ばれるようになった。

    4.※補足「リベラルアーツとは?」
    リベラル・アーツとは、 ギリシャ・ローマ時代に理念的な源流を持ち、ヨーロッパの大学制度において中世以降、19世紀後半や20世紀まで、「人が持つ必要がある技芸の基本」と見なされた自由七科のことである。
    具体的には文法学・修辞学・論理学の3学、および算術・幾何・天文学・音楽の4科のこと。
    (Wikipedia引用)

    5.これからの教養とは?
    書斎的の知識ではなく、現実対応型のものでなくてはならない。
    現実対応型の知識とは、屍のごとき知識ではなくて、生を吹き込まれた知識、情緒や形と一体となった知識。
    実体験は擬似体験により補完され、健全な知識と情緒と形、バランスのとれた教養を!



    【引用】
    「教養」とは、世の中に溢れるいくつもの正しい「論理」の中から最適なものを選び出す「直感力」、そして「大局観」を与えてくれる力だ。
    では、教養を身につけるためにはどうしたらいいのか?
    教養の歴史を概観し、その効用と限界を明らかにしつつ、数学者らしい独創的な視点で「現代に相応しい教養」のあり方を提言する。


    p25
    誰しも、有限の人生において、無価値の情報に関わっているヒマはありません。
    自分にとって価値のある情報だけを選択したい。それらがその人の判断力の基盤となるからです。

    ありとあらゆる情報から、どんな物差しにより自分にとって有意義で価値のある情報を選ぶのか?
    その嗅覚は何によって培われるのか?
    教養とは一体何か?


    p28
    紀元前三三一年、ギリシア人の国家マケドニアのアレクサンダー大王は、念願のペルシアとの戦争に勝利しました。
    その後10年も経たないうちに32歳の若さで病没してしまい、大帝国は将軍達により三分割されました。

    そのうちの一つが、アレクサンドリアを首都としてプトレマイオス一世の創立したプトレマイオス朝エジプトです。
    アレクサンダー大王は「父から生を受け、アリストテレスから高貴に生きることを学んだ」と言うほどアリストテレスを崇拝し、その下で教養を積んでいましたが、このプトレマイオスも同様に学問や文学を愛好していました。
    彼は首都アレクサンドリアに学術研究所「ムセイオン」を作り、文献学を中心に、数学、物理学、天文学など70万巻以上の蔵書数を持ち、大いに隆盛しました。

    プトレマイオス朝は300年ほど続きましたが、陰りの見えてきた紀元前30年、絶世の美女クレオパトラが即位し、美貌美声媚声を駆使してローマ帝国の英雄を籠絡したが、乳房をコブラに噛ませて自殺してしまい、その後プトレマイオス朝はローマに滅ぼされました。


    p41
    ・12世紀ルネサンス
    バグダッドを拠点としたイスラム国家アッバース朝が地中海沿岸を占領してから3世紀あまり、地中海貿易は停滞し、この海はいわば閉ざされた海となっていました。
    アッバース朝の勢いが衰えた12世紀になって、ジェノヴァやヴェネツィアなどの北イタリア都市国家が地中海貿易の主導権を握るようになりました。
    ヴェネツィアの貿易商人だったマルコポーロはジェノヴァとの戦争中に捕虜になりましたが、その時に著したものが「東方見聞録」です。
    日本をジパングとして初めてヨーロッパに紹介しました。

    ギリシア古典は千年間もビザンティン帝国やイスラム国家に保存されましたが、衰退する帝国に見切りをつけた幾多の学者たちがヨーロッパに里帰りしました。これがルネサンスです。
    知識人は新たな知識を求め、これら古典をむさぼり読みました。


    p49
    ・リベラルアーツの起源
    アリストテレスは数学中心主義から離れ、広く人文、社会、自然からなる3つの科学が体系的に教えられた。
    アリストテレスはリュケイオンで教えながら哲学・論理学・生物学・修辞学・倫理学・政治学をはじめ諸分野で膨大な業績を残し、「万学の祖」と呼ばれるようになった。


    ※補足
    リベラルアーツとは?
    リベラル・アーツとは、 ギリシャ・ローマ時代に理念的な源流を持ち、ヨーロッパの大学制度において中世以降、19世紀後半や20世紀まで、「人が持つ必要がある技芸の基本」と見なされた自由七科のことである。
    具体的には文法学・修辞学・論理学の3学、および算術・幾何・天文学・音楽の4科のこと。
    (Wikipedia引用)


    p52
    現代人は、科学技術や生産手段の進歩を人間性の進歩と勘違いしたまま、自惚れと傲慢に身を置くようになっている。
    このような現代人は、生存競争に勝つためにも、生活を豊かにするためにも役立ちそうにない教養などは、遺物であり暇人の時間潰しと見下すようになっている。

    功利性、改良や発明、金銭は確かに大切だが、教養が疎かになってしまうのは、、、


    p55
    アメリカのトランプ大統領も、口ではウォール街を牽制しているが、実際は金融規制緩和などでウォール街を喜ばせ、国益を優先としている。
    アメリカに限らずどの国も、弱者や敗者への惻隠などはどうでもよいことなのです。
    世界中の99%の人々は、ほとんど利害得失だけで行動しており、そういった人々から成る国家がそのような浅ましい行動やさもしい行動に向かうのは、残念ながら仕方のないことなのです。

    そんな中で、「教養」は本能を制御する力として大きな意味を持つのです。


    p60
    ヨーロッパでは「大戦争」と言えば第二次ではなく、より多くの死者を出した第一次世界大戦のことです。
    大戦勃発の引き金は「サラエボ事件」です。
    1914年6月に、オーストリア・ハンガリー帝国の皇太子夫妻が、サラエボでセルビア人に暗殺された。
    事件の発生とともにオーストリアでは新聞などが国民を煽り始め、それに反応した国民が激昂したため、政府は事件のひと月後にセルビアに対し宣戦布告をした。


    p67
    ・近代ドイツの振り返り
    長い中世を抜け出たものの、16世紀にはルターの宗教改革、17世紀には30年戦争と、プロテスタントとカトリックの抗争で人口は激減し、国土はすっかり荒廃していた。
    約300もの領邦に分かれ、それぞれが主権や外交権まで持っていたため、国としてのまとまりはなかった。
    1807年にナポレオンに国土を蹂躙された挙句に国土の7割あまりを奪われ、巨額の賠償金を課せられた。
    ナポレオン失脚後もドイツを弱体化させたままにしておくというコンセンサスがヨーロッパにはあった。

    このような数重なる国家存亡の危機に立たされたところでドイツはやっと目を覚まし、国家主義の気運が一気に高まった。
    果敢な政治改革、軍制改革、そして教育改革が断行されてゆく。


    p81
    産業革命を経た19世紀末から、ドイツでは大衆の精神的空隙に、まずマルクス主義が、ついでフェルキッシュ運動(民族運動)、そしてついにナチズムが怒涛のように入り込んだのです。


    p114
    第一次大戦末期、ロシア革命(1917年)が起きてロマノフ王朝は滅び、1922年にソ連が誕生しました。
    その間にレーニンにより、世界革命を目指すコミンテルン(共産主義インターナショナル)が組織化されました。
    日本共産党は、その日本支部にあたる組織です。

    満州との国境を平穏に保つため、同じコミンテルンの出先である中国共産党を用い、日本軍を挑発し続けて中国と日本の戦争を泥沼化させました。

    またドイツ軍に追い詰められたソ連を救うため、アメリカを世界戦争に参加させます。
    そのためには日独伊同盟を結んでいる日本に、アメリカに対して最初の一発を撃たせることを行います。
    日米通商条約の一方的破棄、在米日本資産の凍結、鉄鉱石や石油の対日禁輸、日本を真っ向から侮辱するハル・ノートなど。


    p127
    ・独ソ不可侵条約の密約
    ソ連がバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)を併合し、独ソでポーランドを分割するというもの。
    結果、1937年9月にドイツがポーランドに突如侵攻して第二次世界大戦の引き金を引き、密約通り18日後にソ連が東からポーランドに侵攻、独ソに占領・分割統治されました。

    ポーランドは両国に対しいかなる敵対行動をとったわけでもなく、それどころか両国と不可侵条約を結んでいました。
    しかもこの密約の存在は独ソが明かさなかったため、ゴルバチョフが1989年に情報公開するまで、50年間も隠蔽されていた。


    p148
    ・これからの教養とは一体なに?
    書斎的の知識ではなく、現実対応型のものでなくてはなりません。
    現実対応型の知識とは、屍のごとき知識ではなくて、生を吹き込まれた知識、情緒や形と一体となった知識です。

    実体験は擬似体験により補完され、健全な知識と情緒と形、バランスのとれた教養を!


    p175
    ・これから必要な教養
    何かが突出しているだけでは、いくら論理的であっても間違った方向に行ってしまう。

    人文的教養(哲学や古典)
    →長い歴史をもつ文学や哲学など
    社会的教養
    →政治、経済、地政学
    科学教養
    →自然科学や統計学
    大衆文化教養
    →漫画やアニメも

  • 国家の品格に続いて。
    相変わらず筆者のイギリス贔屓とアメリカ嫌いが前面に出ている。
    たまに出てくる自慢風自虐も健在でクスッとなる。

    第一章
    グローバル化×新自由主義に対する批判。
    90年代以降の規制緩和や郵政改革などをアメリカに押し付けられた結果、日本は経済的に疲弊し、拝金主義や弱肉強食という日本の伝統とは離れた世相になっていると。

    第二章以降

  • 語りおろし的な、さーっと読める本だが、なかなかに本質をついていて、現代人必読の書。
    藤原氏の辿ってきた戦後の生育体験、アメリカでの学究生活からの知見、今までの日本の大学生に接してきた経験、豊富な読書体験などに裏打ちされた話はどの世代が読んでも有益だと思う。
    ドイツの教養主義の誕生を歴史的背景から考察し、エリート知識層の功罪と、それが輸入された日本の戦前高等学校文化の系譜は興味深い。今まであまり疑問視しなかったけれど、今から見ればかなり偏った文化的態度が日本の知識層カルチャーであるなと相対化できる。
    アメリカの知識層、支配層の内奥に接した藤原氏だけに、アメリカの日本支配の真相にも触れている。
    本物の教養を持った藤原氏だからこそ語れる日本の良さ、あるべき姿への提言は、どこにもおもねることはないが、その藤原氏をして大切と言わしめる日本の心は、どこか古き良き日本だ。
    例えば、見えないところにまで気を配る文化、他者を慮る文化、努力する文化など。四季を感じたり、先祖や自然の尊さを大切にする文化。強い者に巻かれず弱いものを助ける文化。年寄りの情緒的な傾斜もあるかもしれないが、逆説的だけれど、海外に行って帰ってきた人が改めて日本の良さを語る時、そういう場所に回帰していくように思う。
    それを、ガチガチの保守政治家が説く「美しい日本」みたいなものとは一緒にしたくはないが、日本の存在意義として大切にすることを提言している。

  • 教養は、政治や歴史もカバーしないと。でも、半分以上は歴史書。

    国家の品格よりはあきらかにつまらなかった

全41件中 11 - 20件を表示

国家と教養 (新潮新書)のその他の作品

国家と教養(新潮新書) Kindle版 国家と教養(新潮新書) 藤原正彦

藤原正彦の作品

ツイートする