「承認欲求」の呪縛 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
3.76
  • (11)
  • (14)
  • (18)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 276
レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106108006

作品紹介・あらすじ

「嫌われたくない」「認められたい」が破滅を招く! SNSでは「いいね!」を求め過ぎ、仕事では「がんばらねば」と力んで、心身を蝕む人がいる。その悪因と化す「承認欲求」を徹底解剖し、人間関係や成果を向上させる画期的提言。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 承認欲求と聞いた時点でSNSにドはまりしている人たちの事書いてあるのかな?と軽い気持ちで読みはじめましたが、誰でも承認欲求に振り回されていて、関わり合いにならないようにするなんて人と会わないで仙人にでもなるしかない状態だという事が分かりました。
    大企業の隠蔽や偽装も、得た信頼を失わないようにする為嘘をついてしまう事に端を発しています。すなわち承認欲求によって道を踏み外すわけであります。
    企業としてどうすべきかという事が色々書いてありましたが、我々は結局個人個人で何とかするしかないわけなので、この本で一番ピンと来たのは「もう一つの世界を作る」という事でありました。仕事だけを全てと生きているとどうしても一度の失敗で失う事が多すぎるので、趣味や副業で別の世界を構築していくという事が重要。一つが失われたり損なわれたりしても、全てが無くなるわけではないという風に自分自身を誘導していくことが必要と感じました。

  • 最近よく考えるテーマ。
    自分自身も、承認欲求から逃れられないしんどさを味わっているし、周りを見ても、認めて欲しい怨嗟の声を聞く。この時期は、特に。

    もっと認められたい、という積極的な承認欲求よりも、既得権益を奪われたくない、という消極的な承認欲求の方が強いと書かれていたこと。

    そして、認められる為に役割を演じている自分と、本来の自分との乖離に、潰れてしまうことがあるということ。

    読んで、この二つが印象に残った。
    割と自分は「こうでなくては」という思い込みが強い方で、だけどその思い込みは自分自身から来ているものではないな、と思うこともある。

    「自分が選手(相手)の感情や態度に依存してしまうことを恐れ、高圧的な態度をとり続ける人もいるようだ。命令ー服従の関係のなかには、はじめから尊敬も感謝も入る余地がないからである。」

    指導者の話だが、選手に敢えて(相手)と入れた。
    認められたいと思う人は、反面、相手によって左右される自分が気に入らないとか、隠したいと感じて、関係を遮断してしまうのかもしれない。

    日本が狭い共同体化していくことへの危惧を筆者は「あとがき」で述べているが、承認欲求の裏にはこうした遮断の感覚があるのかな、という点が興味深い。

    承認欲求の呪縛を解くカギとして、職場のダイバーシティやプロ化を挙げている。
    多くの価値観と関わりながら、自分自身の専門性を深めていく。なるほどなあ。

    認められることで苦しんでいくのではなく、楽観視出来ればいいなと思う。
    日本社会には根深い問題ではあるものの、「そういう自分」を知ることも楽になる一つなんだろう。

  • 評価されたいという気持ち、承認欲求は自分にもかなり思い当たった。海外だったら部下を褒めたらすぐに昇給を要求される、ある意味ドライで相手からの承認欲求だけで満足しない。ただ褒めて働かせるのは承認欲求の搾取。活躍した社員を表彰し報酬金を与えると、そのプレッシャーで表彰者が翌年には辞める会社。。子供が自殺するのは家庭では元気なお兄ちゃん、お姉ちゃんが学校でいじめられているという自分の評価が180度変わることに耐えられないから、など承認欲求というテーマでいろいろ考えるのが新発見で納得。しかし、高橋まつりさんの自殺まで承認欲求でくくるのはさすがに疑問。明らかに過労だったし、鬱状態だったので承認欲求のプレッシャーと結論づけるのは彼女の思考回路に問題があったかのようでおかしい。
    いじめについて改めて考えさせられた。いじめという言葉が自分を「いじめられっ子」と定義することになりそれが受け入れられず大人に相談できない。嫌がらせ、校内暴力など別な言葉はないだろうか。

  • 承認欲求の功罪両面が書いてあってよかった。
    そしてSNSのいいねにとどまらず、組織内のいいねにしがみつく中年にまで話を振ることで「最近の若者は」の議論にとどめなかったのは素晴らしい。
    ぜひおじさんたちに読んでもらいたい。

  • なんともしんどい話。承認が欲しいから無理する、不祥事の自殺は、組織内での承認を失うから、というのは非常に説得力がある。相対化するのって難しいが、必要なんだな。

  • 著書によれば、承認欲求は、「人間の意欲(やる気)の源泉として、また行動や成長の原動力としてとてつもなく大きな役割を果たして」おり、「人間の承認欲求なくして、組織も社会も成り立たないのが現実」であり、「人間にとって「最強」の欲求である」という。このように承認欲求は大きなプラスの効果を持つ一方で、マイナスに転化する。それが「承認欲求の呪縛」=周囲から寄せられる期待を強く意識することによるプレッシャーであり、「承認欲求の呪縛」の強さは、(認知された期待-自己効力感(やればできる自信))×問題の重要性で定式化できるという。そして、「とりわけ人間関係が濃密で、人々の共有する「空気」が濃い日本の組織・社会では、呪縛も一艘強くなる」という(「日本の風土病」とも言っている)。

    著者は、この呪縛を解く鍵として、「プレッシャーをかけないリーダーの配慮」(気配りの一言、プレッシャーを与えないユーモア等)、「後退するための階段をつける」(希望降格制度の導入など)、「お金でしがらみを断つ」(超過勤務手当の割増率を上げる、未消化の休暇の買い取る等)、一人ひとりの目標やキャリアが競合しないようにする(オンリーワンを目指す、あるいは組織として異質性を重視する)、効果的にほめる(具体的な根拠を示しながら潜在能力をほめる)、問題を相対化させる(目先の目標ではなく将来の大きな目標を意識するようにする)、失敗体験を積む、組織への依存度を下げるため「もう一つの世界」をもつ(許容する)、一人ひとりをプロ化させる(そのためには「能力の汎用性」を身に付けることが必要で、一つの組織に留まらない方がよい)、などを挙げている。

    決して上昇志向が強いわけではないが、著者のいう「獲得した評価や信頼、そして自分にかけられた期待を一気に失い、自尊心が傷ついたり、自己効力感が低下したりすることを恐れる」気持ちは、自分にも少なからずある。本書を読んで、承認欲求の呪縛について、自らの問題として深く考えさせられた。

    不祥事を起こした企業や役所が、不祥事→管理強化→さらなる不祥事という負のスパイラルに陥る仕組みについても考えさせられた。自主性を重んない単純な管理強化がいけないのか。それとも、著者が言うように、日本的なムラ社会的共同体組織それ自体が問題の根源なのだろうか。

  • 2019年7月20日 74冊目(7-3)

  • 2019/07/05

  • そうなんだなぁと納得できるようなわかりやすい構成。承認するだけでは弊害も踏まれるということを学びました。今後、役立てようと思います。

  • 承認欲求高めの私が何に囚われているのかを客観的に教えてもらった気がする。
    褒めて伸ばせも大事だけど、褒められるとそれが本人の負担になりモチベーションを下げることにも繋がる。
    じゃあどうしたらいいの?と思いながらも、
    結局正解は存在しないのだから、人によって対応を変えるべきというのが妥当だろう。
    勝手な思い込みで褒めちぎることよりも、その人が何を求めていて、どうしたいのかを一緒に考えてあげられるようになれたら最高。
    かくいう私も承認欲求の呪縛に囚われないよう気をつけなければ。

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1954年兵庫県生まれ。同志社大学政策学部教授。神戸大学大学院経営学研究科修了。京都大学経済学博士。専門は個人を尊重する組織の研究。おもな著書に『公務員革命』『ホンネで動かす組織論』『ムダな仕事が多い職場』(以上、ちくま新書)、『がんばると迷惑な人』『個人を幸福にしない日本の組織』(ともに新潮新書)、『個人尊重の組織論』(中公新書)などがある。

「2018年 『「ネコ型」人間の時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

「承認欲求」の呪縛 (新潮新書)のその他の作品

太田肇の作品

「承認欲求」の呪縛 (新潮新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする