「承認欲求」の呪縛 (新潮新書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106108006

感想・レビュー・書評

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  • 最近よく考えるテーマ。
    自分自身も、承認欲求から逃れられないしんどさを味わっているし、周りを見ても、認めて欲しい怨嗟の声を聞く。この時期は、特に。

    もっと認められたい、という積極的な承認欲求よりも、既得権益を奪われたくない、という消極的な承認欲求の方が強いと書かれていたこと。

    そして、認められる為に役割を演じている自分と、本来の自分との乖離に、潰れてしまうことがあるということ。

    読んで、この二つが印象に残った。
    割と自分は「こうでなくては」という思い込みが強い方で、だけどその思い込みは自分自身から来ているものではないな、と思うこともある。

    「自分が選手(相手)の感情や態度に依存してしまうことを恐れ、高圧的な態度をとり続ける人もいるようだ。命令ー服従の関係のなかには、はじめから尊敬も感謝も入る余地がないからである。」

    指導者の話だが、選手に敢えて(相手)と入れた。
    認められたいと思う人は、反面、相手によって左右される自分が気に入らないとか、隠したいと感じて、関係を遮断してしまうのかもしれない。

    日本が狭い共同体化していくことへの危惧を筆者は「あとがき」で述べているが、承認欲求の裏にはこうした遮断の感覚があるのかな、という点が興味深い。

    承認欲求の呪縛を解くカギとして、職場のダイバーシティやプロ化を挙げている。
    多くの価値観と関わりながら、自分自身の専門性を深めていく。なるほどなあ。

    認められることで苦しんでいくのではなく、楽観視出来ればいいなと思う。
    日本社会には根深い問題ではあるものの、「そういう自分」を知ることも楽になる一つなんだろう。

  • なんともしんどい話。承認が欲しいから無理する、不祥事の自殺は、組織内での承認を失うから、というのは非常に説得力がある。相対化するのって難しいが、必要なんだな。

  • これまでの著書の方が面白かった。


     モチベーションは大きく分けて二種類ある。一つはお金やモノ、役職ポストなど、外から与えられる報酬によって引き出されるものであり、「外発的モチベーション」という。もう一つは仕事そのものが楽しいとか挑戦心をかき立てるとかいうように、仕事の内側からわいてくるものであり、「内発的モチベーション」と呼ばれる。

     名著『夜と霧』の著者であり、精神科医、哲学者でもあるV・E・フランクルは、人間存在の意味を追求する「ロゴセラピー」を説き、関連してこう述べている。「恐怖症と強迫神経症の病因が、少なくともその一部は、患者がそれから逃れようとしたり、それと戦おうとすることによって起こるふ不安や強迫観念の増大にあるという事実に基づいている」
     このような現象を「精神交互作用」と名付けたのが、「森田療法」で知られる医学者森田正馬である。森田によると、そもそも神経症の不安や葛藤は正常な人にも生じる心理状態であり、自分にとって不都合な弱点を取り除こうと努力するほど、その意に反して自分に不都合な神経症の症状を引き出してしまう。

     したがって「認知された期待」「自己効力感」「問題の重要性」を呪縛の三要素と呼ぶことができる。定式化すると、(認知された期待‐自己効力感)×問題の重要性=プレッシャーの大きさ、すなわち「承認欲求の呪縛」の強さである。

     それでは結論として、どこを、どのようにほめたらよいのか?
     その答えは、具体的な根拠を示しながら潜在能力をほめることである。潜在能力をほめることは、「やればできる」という自信をつける。すなわち自己効力感に直接働きかけることを意味する。すでに述べたように自己効力感が高まれば挑戦意欲がわく。かりに成果があがらなくても、潜在能力に自信があれば、成果があがらないのは努力の質か量に問題があるからだと受け止められる。そして、改善への努力を促すことができる。
     第一に、友人や顧客からの声など第三者の評価を伝えることによって、受け取る側からすると信憑性が高くなる。…
     第二に、何が賞賛に値するかをできるだけ文章にして具体的に示す。たとえば表彰する場合も、賞状には通り一遍の文言ではなく、理由を詳細に記述したほうがよい。またカードやスマートフォンのアプリを使って、ほめ言葉や感謝の言葉を伝える仕組みを取り入れている会社もある。口に出すのが照れくさい場合に使えるといったメリットもあるようだ。
     第三に、「昨年はできなかった○○が今年はできるようになった」というように、進歩の度合を客観的に理解できる指標を示す。他人と比較するより、過去の自分と比較するほうが成長の実感が得られやすい場合がある。
     第四に、ふだんはできないことがたまたまできたときなど、例外的な事象に注目する。とくにほめるところを見つけにくい場合に使える方法である。

  • (自信-期待)×事柄の重要性が問題。
    承認欲求の呪縛から逃れるためには、自信を高めるか、期待を下げるか、事柄の重要性を下げるかすればよい。

著者プロフィール

1954年兵庫県生まれ。同志社大学政策学部教授。神戸大学大学院経営学研究科修了。京都大学経済学博士。専門は個人を尊重する組織の研究。おもな著書に『公務員革命』『ホンネで動かす組織論』『ムダな仕事が多い職場』(以上、ちくま新書)、『がんばると迷惑な人』『個人を幸福にしない日本の組織』(ともに新潮新書)、『個人尊重の組織論』(中公新書)などがある。

「2018年 『「ネコ型」人間の時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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