「承認欲求」の呪縛 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
3.78
  • (10)
  • (14)
  • (15)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 262
レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106108006

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 承認欲求の功罪両面が書いてあってよかった。
    そしてSNSのいいねにとどまらず、組織内のいいねにしがみつく中年にまで話を振ることで「最近の若者は」の議論にとどめなかったのは素晴らしい。
    ぜひおじさんたちに読んでもらいたい。

  • 著書によれば、承認欲求は、「人間の意欲(やる気)の源泉として、また行動や成長の原動力としてとてつもなく大きな役割を果たして」おり、「人間の承認欲求なくして、組織も社会も成り立たないのが現実」であり、「人間にとって「最強」の欲求である」という。このように承認欲求は大きなプラスの効果を持つ一方で、マイナスに転化する。それが「承認欲求の呪縛」=周囲から寄せられる期待を強く意識することによるプレッシャーであり、「承認欲求の呪縛」の強さは、(認知された期待-自己効力感(やればできる自信))×問題の重要性で定式化できるという。そして、「とりわけ人間関係が濃密で、人々の共有する「空気」が濃い日本の組織・社会では、呪縛も一艘強くなる」という(「日本の風土病」とも言っている)。

    著者は、この呪縛を解く鍵として、「プレッシャーをかけないリーダーの配慮」(気配りの一言、プレッシャーを与えないユーモア等)、「後退するための階段をつける」(希望降格制度の導入など)、「お金でしがらみを断つ」(超過勤務手当の割増率を上げる、未消化の休暇の買い取る等)、一人ひとりの目標やキャリアが競合しないようにする(オンリーワンを目指す、あるいは組織として異質性を重視する)、効果的にほめる(具体的な根拠を示しながら潜在能力をほめる)、問題を相対化させる(目先の目標ではなく将来の大きな目標を意識するようにする)、失敗体験を積む、組織への依存度を下げるため「もう一つの世界」をもつ(許容する)、一人ひとりをプロ化させる(そのためには「能力の汎用性」を身に付けることが必要で、一つの組織に留まらない方がよい)、などを挙げている。

    決して上昇志向が強いわけではないが、著者のいう「獲得した評価や信頼、そして自分にかけられた期待を一気に失い、自尊心が傷ついたり、自己効力感が低下したりすることを恐れる」気持ちは、自分にも少なからずある。本書を読んで、承認欲求の呪縛について、自らの問題として深く考えさせられた。

    不祥事を起こした企業や役所が、不祥事→管理強化→さらなる不祥事という負のスパイラルに陥る仕組みについても考えさせられた。自主性を重んない単純な管理強化がいけないのか。それとも、著者が言うように、日本的なムラ社会的共同体組織それ自体が問題の根源なのだろうか。

  •  「承認欲求の搾取」という言葉が目についた。おそらく「やりがい搾取」と同種の言葉であろう。

     承認を受けたいが為に右往左往するのでは、振り回されて疲れ果ててしまう。それをどう中和するか、そして適度な距離を取りえるのか。

     

  • 「承認欲求」の呪縛。太田肇先生の著書。承認欲求は毒にも薬にもなる。適度な承認欲求をもって努力して、承認欲求が満たされる結果につながれば、それは承認欲求がもたらす素晴らしい循環になる。でも、過度な承認欲求をもったり、承認欲求が満たされなければ、それが自己否定や不平不満、怨恨や逆恨みにつながって、自暴自棄になったり人間関係悪化につながったりもする。承認欲求と上手に付き合うヒントがもらえる良書です。

  • 承認は効果的。でも劇薬。

    承認欲求の呪縛に注意。

    自己肯定感を上げる。期待を下げる。問題の重要度を下げる。

    問題の相対化。

  • 褒められたり、期待されたりしたいけど、一方で、次のハードルが上がって、ダメだったときに怒られたり、心理的ダメージを受けるから、褒められたり、期待されたりしたくないんだという心の葛藤があるのかな。
    単に褒める文化が良いと思っていたけど、そうではないということに気づけたのが良かった。受け止める人や時と場合にもよることに気をつけたい。

著者プロフィール

1954年兵庫県生まれ。同志社大学政策学部教授。神戸大学大学院経営学研究科修了。京都大学経済学博士。専門は個人を尊重する組織の研究。おもな著書に『公務員革命』『ホンネで動かす組織論』『ムダな仕事が多い職場』(以上、ちくま新書)、『がんばると迷惑な人』『個人を幸福にしない日本の組織』(ともに新潮新書)、『個人尊重の組織論』(中公新書)などがある。

「2018年 『「ネコ型」人間の時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

「承認欲求」の呪縛 (新潮新書)のその他の作品

太田肇の作品

ツイートする