「面白い」のつくりかた (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106108303

作品紹介・あらすじ

どうしたら人の心をつかむ企画が思いつけるのか。「安易な共感を狙うな」「アイデアは蓄積から生まれる」――「面白い」を追求してきた著者がそのノウハウ、発想法を披露した全く新しいアウトプット論。

感想・レビュー・書評

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  • 面白いとは、差異と共感の両輪である

    差異とは、相対的なものである

    作品のクオリティは情報量で決まる

    ボケ足映像を美しいと感じるワケ
    人間の網膜は中心部ほど視細胞の密度が高く、中心にあるものほどハッキリと見えて、周辺部はぼやけて見える
    =主観的な現実"により近い見え方だから

    作品のクオリティは、"観客が受け取る情報量"で決まる
    別な言い方をすれば、「いかに観客に多くの情報量を受け取ってもらうか」がカギ

  • 面白いに近道はない。全く同意見。

     人の心を動かし、「面白い」と感じさせる二つの要素”差異”と”共感”は、どちらか一つではなく、”両輪”として機能することが重要です。

     会議によってそれまで誰も思いつかなかった斬新なアイデアが生まれた、という例はほとんど記憶にありません。

     業界や職種の異なる人間が参加し、立場を越えて自由に意見を述べる。そうした組み合わせの中から革新的なアイデアが生まれるのかもしれません。

    「地道に調べ、よく学ぶという正攻法しか、いいアイデアを生む道はない」

  • 著者はテレビ番組制作会社のディレクターとして、これまで主にNHKの番組において綿密な取材に裏打ちされたドキュメンタリーを数多く手がけてきた。

    代表作として、実在の国語辞書編纂者の秘話に迫った「ケンボー先生と山田先生~辞書に人生を捧げた二人の男~」等、その守備範囲は実に広く、「言葉」「哲学」「医学」「気象学」「司法」と…多岐に及ぶ。

    また、肝心な表現方法も演劇的演出やアニメを使うなどユニークな手法を駆使し、視聴者を佐々木ワールドに引き込んでいく。昨今は手がけた作品の礎となった膨大な取材を元に執筆もこなし、現在ではノンフィクション作家としても活躍。

    本書は、これまでの番組制作に関わる上で常に思索、追求してきた「いかにして面白いコンテンツを創る」かを語った技術論。

    具体的には、発想・企画・取材・制作…それぞれのフェーズについての思索は深く、極めて実践的である。創作分野のみならず様々なビジネスシーンに置換できる普遍性に富んだ「仕事に対する哲学」を叙述。

    そんな敏腕ディレクターが説く「はたして面白いとは何なのか?」。

    「差異と共感」であると断言する。要するに、世間一般の常識や先入観とのズレ(差異)を視聴者に提示することで、新たな「気づき(発見)」を知る。その結果、モノの見方を広げ、これまで異質なものと見なしていたものを受け入れ、より深い共感へと導くことに至る。

    【本書の中で最も突き刺さった言葉】
    『妄執こそがクリエィティブの源泉』
    視聴者の「心に刺さる作品とは、結局のところ作り手側の人生や妄執が反映された作品が大半。つまり、作り手が「本当に作りたいと思って作った作品を観た際に視聴者は心を揺さぶられる」。

    ぶっちゃけて言えば「思い込み、思い入れ」が創作の牽引力となるということ。それに加え、著者は『アイデアとは「既存の要素の組み合わせ以外の何ものでもない』」とも語る。そのためには地道な取材や学びを徹底かつ執拗に行うことは不可欠で、古いものを知ってはじめて斬新なものが生まれる。型破りの第一歩は、まずは型を知ること。また、企画成立に立ちはだかる課題や悪条件が 「価値あるアイデア(打開策)」を生む。良いアイデアは「必然性」から生まれるんだと畳み込む。

    逆説的に言えば、できない理由を列挙するという行為は何としても成し遂げるんだという思い入れが希薄であることの表れであるということですな。

    企画、発想、アイデアはとかく「斬新さ」「ユニークさ」に目を奪われがちだけど、著者は世にはびこるそんな通念を一掃し、「ヒントはあなたの前にあるんだよ!」ってことを教示してくれる一冊でありました。

  • ・「見るつもりはなかったのに、偶然見たら面白かった」
    受動メディアとしてのテレビが生き残るには、
    逆説的に、コンテンツの質を上げること。
    そのために、事前の下調べをすること、制作主体を明らかにすること、
    チームのモチベーションをコントロールすること。

    ・面白さは、共感×差異

    ・インタビューで問われているのは自分自身である。
    自分が緊張していれば相手も緊張する。

    ・演出とは、状況設定である

    ・「ペタペタ」で構成を考える

    ・三幕構成。問題提起、問題の複雑化、問題の解決。

    ・作品のクオリティは、「観客が受け取る」情報量で決まる。ジブリなど。
    記憶を引き出すとか、そういうのも主観情報。

  • テレビ番組の現場から生まれた「面白いとは何か」という論考。「面白い」は”差異”と”共感”の両輪、アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ、良いアイデアは「制約」と「必然性」から生まれる、演出とは”状況設定”、作品の「質」の高さは情報量が支えている、”負荷”の少なさは(テレビの)強み等、納得のいく解説。政策をやっている現場でも応用可能な部分を感じる。紹介されているコンテンツなども見ながら読んだ。一読をお勧めしたい。

  • 下調べし尽して番組を作っているひとと、そうでない人がいる。調べつくす取材が甘い番組がなんと多いことか。

  • 『ケンボー先生と山田先生~辞書に人生を捧げた二人の男~』
    「Mr.トルネード」「えん罪弁護士」の『ブレイブ 勇敢なる者』シリーズ
    などのドキュメンタリー番組を企画・制作してきたNHKディレクターが明かす“画期的アウトプット術”

    《面白いとは“差異”と“共感”の両輪である》

    《世の中の新しいものは全て“組み合わせ”から生まれる》

    《取材なくして物事の“本質”はつかめない》

    すぐに役立つハウツーではなく、面白いコンテンツを創るための「プロとしての技術論」、「仕事に対する哲学」が書かれている骨太の新潮新書

    「日経トレンディネット」の隔週連載(2017年4月から2019年3月)「TVクリエイターのミカタ!」を再構成、大幅に加筆修正

  • 面白いとは?から始まり、ドキュメンタリーとは?取材とは?クリエイティブとは?と著者の「構成」者としてのこれまでの経験から語られる今の時代を生きていくために、忘れてはいけない大事な視点を示唆している。
    無からは何も生まれない。既存のものの組み合わせで新しいものが生まれるのだ。そのためには、過去を、そして、書物を読んでいかなくてはいけない。

    取材とは学ぶこと。その中からテーマが見えてきたり、問いが生まれてくるのだ。

    もう少し落ち着いて整理したい。

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著者プロフィール

佐々木健一

1943年,東京都生まれ.東京大学文学部卒業.同大学院人文科学研究科修了.東京大学文学部助手,埼玉大学助教授,東京大学文学部助教授,同大学大学院人文社会系研究科教授,日本大学文理学部教授を経て,現在,東京大学名誉教授.美学会会長,国際美学連盟会長,日本18世紀学会代表幹事を歴任.専攻,美学,フランス思想史.

「2019年 『美学への招待 増補版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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