一汁一菜でよいと至るまで (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 463
感想 : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106109508

作品紹介・あらすじ

料理に失敗なんて、ない――レストランで食べるものと家で食べるものとを区別し、家庭では簡素なものを食べればよい、という「一汁一菜」のスタイルを築いた料理研究家・土井善晴。フランス料理、日本料理の頂点で修業を積んだ後、父と同じ家庭料理研究の道を歩む人生、テレビでおなじみの笑顔にこめられた「人を幸せにする」料理への思い、ベストセラー『一汁一菜でよいという提案』に至るまでの道のりを綴る。

感想・レビュー・書評

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  • いつも行く本屋さんで少し前に文庫ランキング2位になっていたので手にしてみました。

    土井善晴さんと言えば、私が思い浮かぶのは
    土井勝さんの息子さんで『おかずのクッキング』に出演されていた方。
    最近は『プレバト!』の審査員として。

    新潮新書と言えば装丁はお馴染みのアレだけど。
    そこに1枚目の写真のようなカバーが掛けられていて、出版社の”推し”具合がわかりますね(笑)

    この本は、土井善晴さんが料理人になる以前から、料理研究家になって活動し始め、
    今に至るまでの経験と時々の想いが書かれています。

    『一汁一菜でよいと至るまで』
    タイトルから想像していた内容とはちょっと違った…

  • 頭の中で土井先生の声が聞こえてきそうな語り口で綴られる一汁一菜までの軌跡。

    フランス料理から日本料理、家庭料理になど多くの道を通じてきた中での一汁一菜なんだということに繋がった。土井先生の中でどんな「気づき」があったのかが知れる。

  • 現在の一汁一菜という考えに至るまでの道のりが数々のエピソードとともに描かれる
    中でもロワイエット村のエピソードは秀逸

    家電の普及によって主婦の労働時間が減少し、手の込んだ料理をよいものとするバブル期の考えから、共働き時代の中で簡素な家庭料理への回帰を反映しているのかと思った
    最近自分でもよく実践しているが、慣れれば本当にこれでよいと感じられるし、むしろ素材の味がよく感じられて味覚が鋭くなっているとさえ感じられる

    また各国の料理の解説や名人のエピソードなども興味深く読め、外食に行きのも楽しみになる
    家庭料理も外食も一段と深く味わうための最良のスパイスのような本であった

  • ●料理に失敗なんてない。レストランが食べるものと家で食べるのと区別し、家庭では簡素ものを食べれば良い。と言う「一汁一菜」のスタイルを築いた料理研究家・土井善晴。フランス料理、日本料理の頂点で修行を積んだ後、父と同じ家庭料理研究の道を歩む。
    ●「食生活と身体の退化。未開人の食事と近代食・その影響の比較研究」を読む。
    ●イタリア料理はママの料理と言われるように、基本的には家の料理もレストランも料理も違いはありません。フランス料理も区別があります。きちんとサービスを整えた「レストラン」、居酒屋のブラスリー。店伝統的な料理ビストロ、大衆食堂のブション。
    ●西洋料理は素材よりもソースに重きを置いています。日本料理とは逆。
    ●コース料理と言う楽曲アルバム。その日の「自分のベストを食べてくれ」と言うシェフのメッセージ。
    ●味吉兆のご主人中谷文雄のさらに上、湯木貞一。吉兆の料理に影響受けていない料理人はいない。松花堂のお弁当。
    ●懐石料理は素材を生かすことが必須、素材の良さを引き出すことにつきます。雑味を徹底して取り除く歩です。味覚で感じる美味しさよりも「澄ませる」「きれいである」点を大切にします。
    ●家庭料理とは無償の愛です。
    ● 一汁一菜 とは「汁飯香」味噌汁とご飯と香の物(漬物)を言います。とりあえず、ご飯を炊いて、具のたくさん入った味噌汁さえ作れば、食事になるのです。
    ●味噌汁には何を入れてもいいのです。「味噌と食材にお任せ」まずくなりようがないのです。
    ●栄養学的には一汁三菜が奨励されている。

  • 土井先生の言葉が好きで、どんな人なのかを知りたくて読む。
    と、土井先生って意外にも変化に富んだというか、進化というか成熟というのか、昔と違う人みたいになってるんだなと驚く。思い切りの良さと感性に感服。

  • 一汁一菜でよいと至るまでの過程を綴っているので、たしかに小難しくはあったが、土井善晴さんご自身のお考えや思いを知ることができてよかった。

  •  「一汁一菜でよいと至るまで」が、まぁ長い長い(苦笑)
    著者の少年期から現在(いま)に至るまでの ”私の履歴書”だったよ。

     父土井勝がテレビ黎明期にスタートした『きょうの料理』。
    昭和を通じて、家庭料理に如何に影響を与えて来たか、また家庭における女性の立場、役割が昭和、平成を経て、如何に変わり、家庭料理がどのような変遷をたどってきたかも辿る興味深い内容だった。

     が、ご本人のフランスや、味吉兆での修業時代の話が延々と語られる中盤から後半、なかなか一汁一菜にたどり着かない。まぁ、そうか、「至るまで」だもんな。「まで」が長くて、後半、飽きた。

     前著『一汁一菜でよいという提案』を読むべきだったか。
    という点で、★の数は少なめ。
     ただ、著者の為人、料理や食、あるいは人生の楽しみ方を知るには良いかと。2000年代、マラソンにハマっていたとは知らなかった。3h40がPBかな? そこそこちゃんと走ってた市民ランナーだったもよう。
     それだけで、★ひとつプラスだな(笑)

  • 土井先生の優しさが沁みる。料理に失敗なんて、ない。私の作る料理にも失敗なんてない。だから今日もごはんを作る。味噌汁には何を入れてもいい。背中を押してもらいました。ズッキーニ入れたら変かな?とか気にしません。入れました。おいしかった。コーンもいい。何を入れてもおいしい。お味噌汁すごい。
    土井先生の修行時代のお話がおもしろかった。ドラ息子時代もいい。小布施での挑戦のところもよかった。そしてたくさん本を読んで、美術館や博物館にも行って、たくさん学んでこられたんだなあ。師匠がたくさんいて、皆さんを尊敬している。素敵だなあ。
    おかずのクッキングや、きょうの料理の話もあってなんだか嬉しい。後藤アナのこともちらっと出てきて。また土井先生と後藤アナのコンビでやってほしいな。

  • 父と同じく料理研究家の道に進んだ筆者、フランス、味吉兆での料理修行から父の作った料理教室の手伝いを通じて家庭料理の大切さに気づくまでを回想する。

    民藝と同様、家庭料理の重要性に気づくまでの過程、厳しい修行を経たからこそ回り道をして得た一汁一菜の思想。

    筆者の人生に、父親の暖かい見守りの視点が感じられる。堅苦しいことを考えず料理も食べることも楽しみたくなる。

  • 提案が売れたから作った本なのね。自叙伝的な。父が有名な人で同じ料理の道をやりここまで来れるってすごいな。

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著者プロフィール

土井善晴(どい よしはる)
料理研究家。「おいしいもの研究所」代表。
東京大学先端科学研究センター客員研究員、十文字学園女子大学招聘教授、甲子園大学客員教授、学習院女子大学講師。
1957年大阪府生まれ。芦屋大学卒業後、スイス・フランスでフランス料理、味

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