一汁一菜でよいと至るまで (新潮新書)

  • 新潮社 (2022年5月18日発売)
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本 ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784106109508

作品紹介・あらすじ

料理に失敗なんて、ない――レストランで食べるものと家で食べるものとを区別し、家庭では簡素なものを食べればよい、という「一汁一菜」のスタイルを築いた料理研究家・土井善晴。フランス料理、日本料理の頂点で修業を積んだ後、父と同じ家庭料理研究の道を歩む人生、テレビでおなじみの笑顔にこめられた「人を幸せにする」料理への思い、ベストセラー『一汁一菜でよいという提案』に至るまでの道のりを綴る。

感想・レビュー・書評

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  • 土井善晴先生の半生記のような作品。
    プロの料理人として修行されたからこそ、
    家庭料理に必要ないもの、必要なものを見いだされたのだな、と感じました。
    ここではレシピなどはないですが、
    改めて一汁一菜を基本として料理を作りたいと思います。
    副菜が冷奴だけじゃ貧相かな、とか思っていましたが、一汁一菜に足し算しているのだから豪華じゃないか!と実践として気楽になりました。

  • いつも行く本屋さんで少し前に文庫ランキング2位になっていたので手にしてみました。

    土井善晴さんと言えば、私が思い浮かぶのは
    土井勝さんの息子さんで『おかずのクッキング』に出演されていた方。
    最近は『プレバト!』の審査員として。

    新潮新書と言えば装丁はお馴染みのアレだけど。
    そこに1枚目の写真のようなカバーが掛けられていて、出版社の”推し”具合がわかりますね(笑)

    この本は、土井善晴さんが料理人になる以前から、料理研究家になって活動し始め、
    今に至るまでの経験と時々の想いが書かれています。

    『一汁一菜でよいと至るまで』
    タイトルから想像していた内容とはちょっと違った…

  • 土井さんがご自身の半生を振り返りつつ、なぜ「一汁一菜でよい」と提案するに至ったのかを記述されている。

    私は食べることに目がなく、外で美味しいご飯を食べることを楽しみに生きている人間である。
    そんな人間こそ、この土井先生のおっしゃる提案には耳を傾けるべきだと思う。
    そうすれば、より良い食生活を堪能することができると思う。

  • おいしいご飯は 人それぞれだから ニコニコして作ると絶対 失敗しない。なんか そんなこと 読み終わって 感じた。ズレた 感想かもしれないけど。

  • 興味深く読んだ。料理家の家に生まれた人で父は「土井勝」
    子供の頃からこの道に進みと決めていたようだ。
    父のことから始まり家庭環境、そして料理を通して出会った人々の逸話と著者が体験した料理の道が書かれている。
    とても真摯に料理に向き合っているのが文章から感じられまたフランス料理、そして日本料理の真髄(とまではいかないかもしれないけれど)とその意味とか、素人でもわかりやすく読み取ることがわかって色々と感じるものがある。

    著者の真面目でひたむきな性格、家庭料理のあり方に行き着くまでのことが書かれているように感じた。
    「一汁一菜」...納得ですね。
    料理のハードルを下げて家庭料理のあり方みたいなものを
    日本料理(懐石)とフレンチを紐解きながら書いた本...
    という感じかな〜と思う。
    読み応えありました。

  • 一汁一菜でよいと至るまでの過程を綴っているので、たしかに小難しくはあったが、土井善晴さんご自身のお考えや思いを知ることができてよかった。

  • 頭の中で土井先生の声が聞こえてきそうな語り口で綴られる一汁一菜までの軌跡。

    フランス料理から日本料理、家庭料理になど多くの道を通じてきた中での一汁一菜なんだということに繋がった。土井先生の中でどんな「気づき」があったのかが知れる。

  • 図書館のおみくじ企画で司書さんに選書していただいた本です。
    料理好きの私にこの本を充ててくれるなんでびっくり!(去年は雪山登山をする私に雪の結晶の本でした!この企画大好き♪)

    土井善晴先生のレシピでお料理を作ったことはあると思うけど、著書を読んだのははじめてです。

    フランスの有名店でフレンチの修行をし、その後帰国して名店「味吉兆」で更に修行。
    その後お父様(土井勝さん)の料理学校の経営を引き継ぎながら、レストランコンサル、TV出演などを経験し家庭料理の世界に入り食事というものを研究するようになり「一汁一菜」という提案に至るまでの、自伝的エッセイ本でした。

    フレンチの修行をされていたとは驚きでした。
    二世という恵まれた環境でしたが、それゆえの葛藤もあったでしょう。例えば「おふくろの味」というコトバは父である土井勝さんがはじめに使った言葉だそう。
    そういうある意味国民的スターを父に持ちながら、同じ道を歩むプレッシャーは並大抵なことではなかったでしょう。

    技術的なことはもちろん、感性の磨く努力も怠らず、しかしそれを楽しみながらやる姿に感銘を受けたし、料理以外にもマラソンに打ち込んだり(ウルトラマラソンに出場するほどの実力!)と多才だし、好奇心旺盛で人付き合いもよく、本当に万能な方。

    文章もウマくて、本書も、基本あの穏やかな雰囲気なんだけど、時々ハッとさせられる強い言葉もあり、それは努力と経験に裏打ちされた哲学があるからだなーと思いました。

    一汁一菜を提案するにあたり、家庭料理とは、懐石料理とは、を徹底して研究し、それをかみくだいで教えてもらったこともとてもよかったです。

    懐石料理として素材を生かすとは、素材の持つ情緒を際立てることなんですって。
    アク抜きを徹底して行うことで、味も栄養も失い、素材の持ち味も淡くなり、そこで損なわれた味を昆布や鰹節の旨味で補ったのが日本のだし文化です。
    アク抜きをする理由は、日常の親しみから離れた、非日常の清らかな世界に入るため。それが、ハレの日に食べるプロの料理。
    一方で家庭ではケの料理でよい。ハレの日のような面倒な料理を家庭に持ち込まず、みそ汁とご飯と香の物だけでよいのです。

    料理を負担と思わず、日常では素材のおいしさに助けられながら、食べる人のことを思って料理できればよい。
    作ってもらえなければ自分で作って自分を大切に思えばよいというメッセージは心に沁みました。
    読んでよかった!!

  • 毎日食べても飽きない持続可能な食事=日本では一汁一菜、汁飯香、フランスではパンにチーズに野菜スープ。
    出汁はなくていい。食材から出るもの。
    味付けはテーブルで。塩、故障、七味など。
    フランスでmenuは、コース料理のこと、リーズナブルな定食。

    味噌汁とご飯でいい。栄養学普及のために、一汁三菜とした。
    一汁一菜を基本として、10種類ほどできれば健やかに自炊できる。
    汁は、野菜、油揚げ、少しの肉。味噌汁にはなんでもいれていい。トマト、ピーマン、ソーセージなど。
    和食にはメインディッシュはない。肉が良いか魚がいいか、は不要。
    いいお味噌を使う=昔ながらの製法で醸されたもの。

  • 現在の一汁一菜という考えに至るまでの道のりが数々のエピソードとともに描かれる
    中でもロワイエット村のエピソードは秀逸

    家電の普及によって主婦の労働時間が減少し、手の込んだ料理をよいものとするバブル期の考えから、共働き時代の中で簡素な家庭料理への回帰を反映しているのかと思った
    最近自分でもよく実践しているが、慣れれば本当にこれでよいと感じられるし、むしろ素材の味がよく感じられて味覚が鋭くなっているとさえ感じられる

    また各国の料理の解説や名人のエピソードなども興味深く読め、外食に行きのも楽しみになる
    家庭料理も外食も一段と深く味わうための最良のスパイスのような本であった

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著者プロフィール

1957年大阪生まれ。料理研究家。十文字学園女子大学特別招聘教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、甲子園大学客員教授。スイス・フランスでフランス料理、味

土井善晴の作品

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