正義の味方が苦手です (新潮新書)

  • 新潮社 (2023年1月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784106109805

作品紹介・あらすじ

正しすぎる社会は息苦しい――。失言をくり返す政治家も、ポリコレを掲げて暴走する人も、自分は常識的だと思っている人たちも、誰もが自分の色眼鏡で世界を見ているものだ。それらがすれ違い、時にぶつかり合うのは当然だけども、他人の考え自体を受け入れられず、現実社会の歪みを許容できない「正義の味方」は何だか怖い。自分にも他人にも自由を認め、ままならない世界を柔軟に生きるための思考法。

みんなの感想まとめ

正しさや正義が息苦しさを生む現代社会において、多様な視点を持つことの重要性を説く内容が魅力的です。エッセイ集として、短い章ごとに著者の独特な視点が展開され、読者を引き込む力があります。著者は、相手の意...

感想・レビュー・書評

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  • エッセイ集なので、一編一編はページ2~3枚程度と短く、読みやすいが浅い。しかし、著者独特の本質を見抜くような視点が共感力高く、グイグイ引き込まれた。論説に対して絶対的な反証材料を持っている点、議論の両端を理解しながらも敢えてどちらも分かる、というスタンスを取る点は素晴らしい。「緩い」とも言えるのかもしれない。でも、心地よい「緩さ」だ。薄弱な論拠で興奮して議論をするより余程良い。古市氏の事を、ただの皮肉屋、捻くれ者にも見えていたが、見直した。

    ― 認知能力に優れた人は、情報を都合よく組み合わせて解釈する能力にも長けているため、陰謀論を信じやすい。

    これはあるのだろうな、と思う。更に良くないのは、「組み合わせる」事で、論理構築され、それが絶対的な牙城となり他者を飲み込もうとする事。我田引水、牽強付会程度ならばまだ良いが、「教科書を信じない」「日本政府を信じない(今は仕方ないか)」「家族よりも、別の組織を信じる」という事態に陥った相手を救い出すことは容易ではない。組織における印象論、そこからくる人間関係や評価制度も殆どがバイアスがかっている。集団のバイアスも難儀である。ある面では合理的な必要悪かも知れないが、集団バイアスは、共鳴し合って時に戦争にまでたどり着く。

    「蜘蛛、蛇嫌いの不合理」、既に蜘蛛や蛇で死に至る日本人は皆無に近い。自動車事故の方が多いが、車を見て震え上がる人はほぼいない。「1938年の学生狩りから、学徒動員時の若者礼賛」などなど。集団のバイアスによる危うさについて、警鐘できる人間は貴重である。価値観が合わなくても、誤りがあったとしても、正義の多様性とそれを表現するための自由は確保しておかねばならない。

  • 古市さんみたいな、やや斜に構えた視線の人がいないと、世の中は息苦しい。正義の味方ばっかりじゃあね。

  • 普段自分だったらキャッチしないであろう事柄を取り上げてくれて、かつ著者の考えも書かれていることが面白かった。私はいかに狭い範囲でしか世の中を捉えていないのだなぁと感じられた。

  • 古市さんのコメンテーターとしての脱力感に惹かれて購入しました。

    コロナ禍での行動制限が、正しかったかどうか。
    時代の渦中にいるものには、その判断は下せない。
    バブル景気も然り。
    数年後の未来に生きるものだけが、冷静に結果を判断できる。
    正論だけでは、問題は解決しない。立場やひとによって、正論は変化する。

    世の中を枠に当てはめて、少しでも枠をはみ出せば追い詰めようとする人。
    正義の定義なんて時代とともに変わると思えば、両義的に捉えることも大切だと思いました。

  • 一つひとつの話が短くて読みやすい。キレキレ。

  • いくら事実を重ねても、人は自分が信じたい情報を信じてしまう。(ファクトは感情に勝てない)



    根拠がなくても、結果が伴わなくても、力強く巧みな言葉に人々は動かされてしまう。(日本に呪文使いがいないことを喜ぶ)



    いちいちマナー違反に目くじらをたてないことによって、文化は国際化していく。(伝統を守る人が文化を破壊する)



    気ままで私的な感情の集積が「世論」である。(「10年後」から振り返ってみる視点を持つ」)



    民主制は既に「民」と認められた人にとって有利な決定ばかりがなされてしまう。「民」認定されていない人に対して冷淡だ。(「未来人の人権」は守らなくていいのか)



    いちいち文句をつけていると疲れてしまう。最近はサービスに不満がある時は「この国や地域ではそういう流儀なんだな」と思うようにしている。当事者意識も大事だが余所者として暮らしていた方がリラックスして日々を送れる。(余所者だと思って生きていく)



    歴史を学ぶことで僕たちは冷静になれる。似たような出来事を知ることで、客観的な視点を得られる。(世界は77年で一回りする)



    など、コロナ化に連載された古市氏による斜め上からのコラム集です。



    1テーマにつき3ページと紙幅が少ないため、1つか2つの事例だけをもとにして結論を出している点や、筆者の意見について、賛否があるでしょうが、私はこういう自分にない視点からの切り口を知れることは好きです。



    また、社会的な事例に対してこうやって自分なりの考えをまとめられることも凄いなぁと思いますし、読んでいると影響されて、自分も身の回りのこと、ニュースでのことについて考えるようになります。



    タイトルにもあるように「正義」というのはやっかいだなぁと思います。そして、「正義の味方が苦手です」というのは秀逸だなぁと思います。



    インターネットやテレビでは、一側面しか報道されていないのに(一部分しか知らないのに)、自分は当事者でもないのに、あたかも「こうである。」「こうすべき。」「こうしている人はダメだ。」と正義を振りかざすコメントをよく見ます。



    そんな辟易している自分の気持ちを代弁してくれているところも気に入っています。


  • テレビでよく見る筆者のエッセー集。

    筆者の考え自体の評価は別として、自由で柔軟な思考ができる人だということはわかった。

    ただ一つのトピックに対するページ数が少なく、内容も掘り下げられてはいない。これが彼のスタイルか?

    読了45分

  • 週刊新潮連載より

  • 誰の味方でもありませんの続編。語り口が変わった気がする。色んな事件が起こりすぎたな。

  • 共感することもちょくちょく。
    いつもコナン見て思うことなんだけど、言い回しがいいなぁ
    前にどっかで理論はすごいのに文章が壊滅的に下手な人には意味を汲み取ってわかりやすく書き換える人がついていた話を見たな
    多くの物事は結論って別に1人で出す必要ないんですよね、意見を聞いて考えが変わることだってそりゃあるし。ない方が頑なで怖い。進路の選択ですら過程でしかないから結論ではないし。
    竜宮城って蓬莱山だったんだ。
    能力がない人、誰かを傷つける能力に長けた人はヒロアカが描いてはいる。
    制度から社会の価値観変えるを地で行くのが元明石市長とかかも。
    コロナ有識者会議の議事録まじかよ……
    臥雲さんが松本市長になってたことも、行政と医療を繋いでコロナ禍で活躍していたことも知らなかったなぁ
    コロナが流行る前でも経済の専門家とか予測が当たらない姿は知っていた
    自分の生まれていない時代もまるでその時にいたかのような書き方があって不思議な感覚を覚えた。
    5 越える→超える

  • エッセイは星つけなし。面白いエッセイ。同年代なので、同じ時代を同じ年代で経てきた人の考えてること、というだけで読んでいて面白い。いろんな視点から物事をみられる人だし、広い知識を持っていて、話が面白い。
    テレビやvoicyとかのように即出しの意見ではなく、文章で、というのが私は好きだなと思った。

  • 著者が言いたいことを言っているというシンプルな書籍。共感する部分は多い。基本的に、新しいものを過度に批判する人たちの声が大きすぎることに苦言を呈し、警鐘をならしている。
    コロナ禍に関しては、尾見茂氏をはじめ専門家への不信感が露で、安倍元首相や菅元首相への共感が読み取れた。
    星は3つ。

  • 本書で指摘する「バイアス」は自分にも当てはまるところがあり、視点や視野を変えていく必要を感じた。
    相手を全否定するのではなく、部分的にでも評価するところは評価する著者の姿勢に好感が持てた。

  • 10年前のNHK番組『ニッポンのジレンマ』から気になっていた作者さん。とぼけた雰囲気、独特の発想・切り口で持論を述べる。自分の主観が入っているかもしれないという自覚に乏しく、正義を主張し、他人の考えを受け入れられない人は怖い…。独特の行動原理で、違う視点で話す彼の表現は面白い。

  • 2023.3rd
    古市さんらしいエッセイ集です!ちょっと世の中を斜めから見ている感じのする著者ですが、いくつか本当に参考になる部分もありました。
    コロナ禍で医療の専門家が「政治家」を気取っていた…という主張とかね。これは著者の想像ですが、今後有事の際には、世の中を支配する空気によって戦争や言論統制に至ることも十分考えられると。疫病と戦争を一緒にすることが果たして正しいのかは分かりませんが、一定の説得力はありそうな気はします。

  • 博識で、鋭い視点を持つ著者を尊敬する。雑誌の記事、ネットニュースに近い形で、ざっと読んで勉強させてもらった。

  • 共感できるなぁ……としみじみ思ったのがありのままの本音になる。正義をふりかざす人を好きになれないのは、全体主義のような排除の雰囲気が漂うからだ。

    あと、LGBTQが叫ばれる世の中で思うのは、どんな人もいていいと思う。それは、異性を好きな人がいてもいいということだし、健常や障害関係なくクソな人間もいていいということだと思ってる。自分を許してほしいのに他人を許さないのはよくわからない。なんてこんなこと書いてる私も矛盾してるけど笑。矛盾もひっくるめて、誰かの存在をゆるす。少なくとも害は与えない。そんな気持ちで生きていけばいいかな。

    でも、平和ボケで育ったから平和ボケは直さないと。旅に出ないといけないかな!

  • 65個の題材で、軽い皮肉を語っていた印象。
    読み流した感で、あまり記憶に残らず。

  • 恥ずかしながら古市さんについて時々メディアに出ている人、程度しか知らなかった。そもそもテレビ視聴があまりないので古市さんだけを知らないわ毛ではないが、本書を通じて素晴らしいと思った。コメント内容のすべてに同意とかそういう意味でない。普段、腑に落ちない、イラっとする、様々な事象がある。わかりやすく簡潔に、論理だてて、冷静にコメントする力量に大いに関心・敬服しました。評価は4.5があったらそうしたいのだが、自分の「意見」として同意できない部分が▲0.5なので5ではなく4としました。

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著者プロフィール

1985年東京都生まれ。社会学者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。2011年に若者の生態を的確に描いた『絶望の国の幸福な若者たち』で注目され、メディアでも活躍。18年に小説『平成くん、さようなら』で芥川賞候補となる。19年『百の夜は跳ねて』で再び芥川賞候補に。著書に『奈落』『アスク・ミー・ホワイ』『ヒノマル』など。

「2023年 『僕たちの月曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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