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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784106110481
作品紹介・あらすじ
手術患者の取り違え、投薬ミスによる死亡事故、手動遮断機の操作ミスで起きた踏切事故――あらゆる「ミス=間違い」は、人が関わることで生じている。しかし、生身の人間である以上、間違いを100%なくすことは不可能だ。なぜ、どのように間違いは起こるのか? そのミスを大惨事につなげないためにはどうしたらいいのか? 世の中にDXが浸透する現状もふまえ、最新の知見をもとに徹底分析。
感想・レビュー・書評
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日常の小さなミスから大きな事故まで、間違いがどのように発生し、どのように対処できるかを学ぶことができました。特に、ヒューマンエラーを防ぐためのシステム改善や、注意力の限界を認識する重要性についての考察が非常に興味深かったです。具体例が豊富で、読み進めるうちに「なるほど」と思う場面が多く、おもしろかったです
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良かった!
具体例が、やや医療事故に偏っているかなと思うけれど、どんな「間違い」があって、どこを「改善」すれば良かったかについては、いろいろな職種に当てはめることが出来る。
自分自身も、スマホを使ったショッピングで、「制止」「防護」された経験あるなぁ、とか。
今の仕事で、毎回のように挙げられている「間違い」があるのだけど、そこにアプローチするには、「何」を使えばいいのかな、とか。
自分自身のアイデアにも生かされた。 -
人が関わるところにヒューマンエラーが発生する。
システムや社会が複雑化するなかで、リスクを完全にゼロすることはできないからこそ、ヒューマンエラーへの理解は不可欠となる。
ヒューマンエラーの入門書としてとても読みやすいと思うが、事例がもう少し一般の方にも馴染むものだったら広く読まれるようになったと思う。 -
ヒューマンエラーの原因と、対策を検討する際に留意すべき点について、コンパクトにまとまっている。
新しい視点として、ITをアシスタントとして用いることが当たり前になった時代だが、それに伴い、今までなかったリスクもあることや、ゼロリスク・完璧な対策はあり得ないのという前提にたち、レジリエンス・ダメージコントロールの視点が重要であることを強調している。 -
医療や薬学におけるミスは確かに命に関わる、ただ多くの読者にとっては従事者側の立場では考えにくいので、自分に置き換えたり明日からの仕事に役立てられるイメージが湧かなかった。
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自分はミスをしやすい人間であり、ミスに対処法を学ぶために購入した。
仕事をしていると多くのミスに遭遇し、ミスに対する安全対策もずいぶんと経験してきた。
ミス防止に対する外的手がかりとして、対象、表示、文書、電子アシスタント、人があることが分かった。
有益な情報だったのは、ミスに対する考え方としてミスは起こり得るものであり、ミスをなくすことには限界があるとし、最終的にうまくいくようにすれば良いという考え方である。
そのために「うまくいっている事例」を学び、エラーを気づかせてくれる仕組みとして外的手がかりを利用する。そして、エラーが起きても大きな被害に至らないようにすることを心得たい。 -
ミス、ケアレスミス、ヒューマンエラーは、故意による過失とは異なる。しかし人はミスした人を責める傾向がある。私もその一人だ。実際ミスは叱責しても解決しない。むしろ次の失敗、同じ轍を踏むことを恐れることで、萎縮することも多々ある。そしてミスが隠蔽されることもあり得る。本書はそうしたミス、ヒューマンエラーの犯人探しは誤りだと解く。書かれていることはごもっともなことばかりなのだが、当たり前のことは以外とできないものである。ミスしない人に読んでもらいたい本である。
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●「ヒューマンエラーをなくすことはできない。とくにエラーを起こしたことに本人は気づけない。だからエラーであることに気づかせて、最終的にうまくいくようになればいい」が本書の主張。
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以下、引用。
●最初から完璧なシステムは存在しないし、AIによってすべてができるようになるわけではない。人間が何らかの形で関わらなければならない。その人間が関わるときに、モノや機器の設計が人間とのインターフェースでうまくできていないことがある。そこにヒューマンエラーが発生する。つまり、ヒューマンエラーの原因の多くは、むしろ、モノや機器の問題のほうの要因が大きい。そのため、その防止・解決で重要なのは、実は人間が関わるモノや機器の改善のほうなのである。
●ヒューマンエラーは、往々にして不完全なシステムを使うことを余儀なくされた人間が起こしてしまうものである。普段はなんとなくだましながら調整して行なっていたのだが、ちょっとしたひずみが生じたときに、うまくいかなくてエラーを起こしてしまうのである。現場の人間は、勤務体制や扱っているシステムからの要求、そのサービスを受ける人などからの要求も含め、さまざまな要求を迫られている。通行者からは早く遮断機を上げてくれと言われる。一方でロックを解除することはやってはいけないという圧力がある。人間の裁量でうまく調整するしかない。しかし、バランスが崩れるとどこかにヒビが入る。それがヒューマンエラーとなって表出した。
●もちろん、注意することが絶対にダメなわけではない。気をつけるにしても、何をどう気をつけるのかが大事である。ただ「気をつけなさい」ではなく、エラーが生じたときに、どのような場合にエラーが生じるのかを話し、リスク認知を高めることは意味がある。その上で、具体的な対策を提示することが大事だ。具体的な行動指示が伴わないといけない。また、リスクに対する正しい認識をもたせるために注意することは重要である。ただの注意喚起ではなく、過去にどのようなヒヤリハット(事故に至らずも「ひやり」としたり「はっ!」としたりするケース)や事故が生じているのかを認識させ、そのリスクが身近にあることを認識してもらう必要がある。
●ヒューマンエラーにおいては、当人は行為や行動の最中に間違っていることに気づいていない。そのため、どんなに注意しなさいと言われても自分では気づかない。そこで、どうするかというと、外から気づかせるようにしなければならない。それを「外的てがかり」という。外的てがかりについては、ここでは5つに分類している。文書、表示、対象、電子アシスト、人である。
●最近、電子決済を使う機会が増えたが、さまざまな種類があるため、カテゴリー名で表示されることも少なくない。たとえば、PayPayなどは、スマホでバーコードを表示してそれを読み込ませるため、バーコード決済と言われる。しかし、それを知らなければ、各種ウオレットアプリをまとめて指した「バーコード決済」の表示に、自分の持っているPayPayでいいのかどうかわからない。他の決済方法はモノと対応した名称になっている。現金、クレジットカード、交通系カードといった具合で、それぞれ現金やカードといったモノと対応しているのでわかる。利用者からすると、自分は「〇〇ペイ」「XXペイ」といった感覚であるため、「バーコード決済」ではピンとこないのだ。セルフレジなどで、支払方法の選択画面に各〇〇ペイのアイコンが表示されていればよいが、すべてを網羅するのは不可能だ。限られたスペースに的確にわかるように表示できる場合はよいが、それが難し場合は少なくない。
●とある処方薬局での話。患者さんがA病院からの処方箋を持って薬局を訪れた。ある漢方薬が処方されていた。パソコンで履歴をみると、2カ月前に別のB病院でも漢方薬が処方されていた。同じ薬だと思い、薬の準備をしようとした。しかし、処方箋の2次元コードを読み取ってみると、「初処方」と表示された。同じ薬なのに、なぜ初処方?よく見ると、今回A病院から処方されたのは「ツムラ苓姜朮甘湯エキス顆粒(医療用)」だった。2カ月前のB病院の処方は「ツムラ苓桂朮甘湯エキス顆粒(医療用)」。一見すると同じに見えるが、違う薬だった。患者さんに尋ねるとB病院で処方されていた薬と同じ薬をA病院でも処方してもらったはずだったそうだ。A病院が類似した名称の別の薬を間違って処方してしまったのだった。パソコンでチェックしたから気づいた事例である。人間は見過ごすが、機械は間違えない。この事例では、名称を変えたほうがいいかもしれない。名称が長い上に異なっているのは1文字、「桂」と「姜」だけである。漢方に詳しい人にはこの違いがわかるだろうが、そうでないと違いがわかりにくい。漢方薬は薬の名称も似ていて読み方も難しい上に、包装もほとんど同じ場合が多く区別がつきにくい。メーカーでは薬に番号を付し、包装を番号の数字によって色分けしているところが多い。患者さんも薬の名称ではなく番号で覚えている人もいる。
●ここまで外的手がかりを紹介してきたが、手がかりがあっても確認を怠ってしまえば、役に立たないのは確かである。対象や表示のように、何か行為をしようとすると、必ず目にしたり気づかされたりするものもあるが、文書、電子アシスト、人などの場合は、外的手がかりを能動的に利用しなければならない。利用しようという気持ちがないと、意味がない。実際に、せっかく外的てがかりが準備されていたにもかかわらず、それを利用しないことで問題が生じたケースがある。
●ヒューマンエラーを防ぐには、とにもかくにも人間に行動させないことである。極端な言い方のように思えるかもしれないが、重要な視点だ。機械化してしまったほうがよい場合もある。機械のほうが正確に速く処理してくれる。さらに、人間が行なっている作業を見直し、その作業が本当に必要なのかどうかを考える。無駄な作業を行なっていることもある。たとえば、ある作業を複数の人で行なうと、その作業に関わっている人同士でのコミュニケーションが必要になる。しかし、そのコミュニケーションでミスが起こってしまうこともある。そのような場合は、作業を1人で完結させるなどの工夫をすれば、コミュニケーションによるヒューマンエラーがなくなる。
●ヒューマンエラーの防止には表面的な対策だけではなく、ヒューマンエラーやリスクに対してどのような意識を持つのかが重要である。外的手がかりだけを設ければそれで解決する問題でもないし、組織での安全に対する意識が十分に醸成されていないと外的手がかりを工夫しようという意識も出てこないだろう。外的手がかりの動機づけの動員としてリスク認知の話をしたが、リスク認知を高めることが外的手がかりの利用につながる。それを個人だけの問題としてとらえるのではなく、組織的に取り組む必要がある。 -
オペミス防止策のまとめ入門的な本。
【目次】
はじめに
第1章 ヒューマンエラーがもたらす事故
手術で患者を取り違えた事故【事例1-1】/複数のエラーが生じて事故に至る/どうすべきだったか/リストバンドの装着ミス【事例1-2】/ITやDXは新たなヒューマンエラーを生み出す
第2章 ヒューマンエラーとは
キャッシュレス決済での失敗【事例2】/本来できたはずなのに/エラーとそうでない場合の違い/ヒューマンエラーの定義/モノや機器と関わるからエラーが生じる/AIも万能ではない
第3章 エラーをした人は悪いのか?
遮断機を上げざるをえなかった開かずの踏切の事故【事例3】/不完全なシステムを人が調整している/システムの問題がヒューマンエラーを生む/人を責めない対策/意味のない「気をつける」対策/注意すると改善されるという誤謬/後知恵バイアスによる指摘―後だしじゃんけん―
第4章 外的手がかりでヒューマンエラーに気づかせる
欠席者を合格にしてしまった入試ミス【事例4】/外的手がかりで防止策を検討/外的手がかりを考えてみることが大事
第5章 外的手がかりの枠組みでエラー防止を整理
インターホンの配線間違い【事例5】/文書で気づかされる/表示で気づかされる/対象で気づかされる/電子アシスタントで気づかされる/人(他者)から気づかされる/外的手がかりの効果と実現可能性/5つの枠組みで防止策を現場で考える
第6章 そのときの状況がエラーを招く
薬の処方ミスによる死亡事故【事例6】/さまざまな背景要因がエラーを誘発/医師のおかれた多忙な背景/モノやシステムの改善によるエラー防止策
第7章 外的手がかりは使いものになるのか
照合せずに輸血をしてしまった【事例7】/外的手がかりは使ってもらえるか?―動機づけ理論―/人の行動は誘因と動因で決まる/外的手がかりは何を防いでいるのか/行為をどうとらえるか――行為の制止、防護、修正/外的手がかりだけでヒューマンエラーは防ぐことができるのか
第8章 IT、DX、AIはヒューマンエラーを防止するのか
人は進化していない/人を介さないことでエラーがなくなる/電子アシスタントによるエラーに気づかせるしくみ/エラーに気づきやすいインタフェースが可能か/ネットワーク上の外的手がかり/人間をどう活かすか
第9章 ゼロリスクを求める危険性
新型コロナウイルスへの対処の異常さ/複雑なシステムには必ずリスクが/Safety-I, Safety-IIの考え方/感染者ゼロを目指すSafety-I、ウィズコロナのSafety-II/人間というシステムに合うのはSafety-II/レジリエンスという考え方/リスクとベネフィットを考える/人工知能がうまくいくのは/エラーに気づいてうまく対処できればよい
おわりに
参考文献
松尾太加志
1958(昭和33)年生まれ。九州大学大学院文学研究科心理学専攻、博士(心理学)。北九州市立大学特任教授(前学長)。著書に『コミュニケーションの心理学』(ナカニシヤ出版)など。 -
北九州市立大学の名誉教授である松尾氏の、「エラー」に関する著作。ヒューマンエラーやシステムエラーから生じる重大な失敗から本質を学び、人間の認知の誤解をいかにシステムとリンクさせてエラーを無くしていくかについて、分かりやすく記載した本。人間である以上ヒューマンエラーは避けられないために、多くのエラーから傾向を分析し失敗をなくしていくことが必要である。一個の重大事故の裏には、29個の軽微なエラーが潜んでいるということ(ハインリッヒの法則)を理解して、ヒヤリハットがあればそこに、重点的な改善を施すべきである。エラーはやむを得ないものではあるが、減らす努力は常日頃からしておくべきである。また、事故というのは単独で起こるものではなく、複数の要因、複数の人間が絡んで発生するのが常である。そのため、日頃から周囲とコミュニケーションを取りながら、認識の齟齬を無くしていくことも第一歩である。
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「失敗」の例示が豊富であり、イメージがわきやすかった。しかし、簡単に言えることを、わざわざ難しく表現しているように感じ、結局著者が何を主張したいのか分からなかった。
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<目次>
第1章 ヒューマンエラーがもたらす事故
第2章 ヒューマンエラーとは
第3章 エラーをした人は悪いのか?
第4章 外的手がかりでヒューマンエラーに気づかせる
第5章 外的手がかりの枠組みでエラー防止を整理
第6章 そのときの状況がエラーを招く
第7章 外的手がかりは使いものになるのか
第8章 IT、DX、AIはヒューマンエラーを防止するのか
第9章 ゼロリスクを求める危険性
<内容>
さまざまな事例(中には勤務先のものも)を元に、ヒューマンエラーの原因を明確化する共に、最後の章でコロナ禍の状況を実例に、「ゼロリスク」を求めてしまった結果、多くの問題が発生してしまったことを示す。そして「ゼロリスク」よりも「レジリエンス(回復力・弾力性)」が大事だと説く。つまり、起こってしまったこと、もしくは起こりそうになったときに、それを止めるのではなく、エラーが起こっても事態がうまく廻るように、制度やシステムを設計することなのだと。まさにその通りであろう。職場でもミスが出るが、なんか「ゼロリスク」を求めすぎているような気がする。 -
第1章 ヒューマンエラーがもたらす事故/第2章 ヒューマンエラーとは/第3章 エラーをした人は悪いのか?/第4章 外的手がかりでヒューマンエラーに気づかせる/第5章 外的手がかりの枠組みでエラー防止を整理/第6章 そのときの状況がエラーを招く/第7章 外的手がかりは使いものになるのか/第8章 IT、DX、AIはヒューマンエラーを防止するのか/第9章 ゼロリスクを求める危険性
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