ギャンブル脳 (新潮新書)

  • 新潮社 (2025年1月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784106110740

作品紹介・あらすじ

「次こそ当たる! 一発逆転?」。いい加減な予想は、期待を通り越してやがて確信へと変わっていく。そんな時、ヒトの脳ではいったい何が起きているのか。脳内にあふれるドーパミン、二度ともとには戻らない思考回路、ついには薬物中毒よりも深刻な依存状態に……。ギャンブル依存症の患者とその家族の苦しみに、長年向き合ってきた作家にして精神科医が多くの臨床例と最新の知見から解き明かす、恐怖のスパイラル。

感想・レビュー・書評

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  • アルコールもギャンブルも、この国では身近ですよね。

    一度はまると、なかなか抜け出せない怖さ…
    人生が破壊されてもはまる威力があるものがいつでも出来ることを考えると頭が痛くなります。

  • このところオンラインカジノが大きな話題となり、その利用者は国内337万人に推計されると報道されました。
    私自身、一番くじや宝くじは時々楽しみますが、オンラインカジノの広告なんて目にしたことはありません。損するとわかっているのに、なぜ手を出してしまうのか?
    そんなことを考えていた矢先に書店で本書を見つけ、興味深く読みました。

    幸いといっていいでしょうが、私の周りに「ギャンブル脳」はいません。
    ですので、本書で赤裸々に語られる患者とその家族の地獄の様相には言葉も出ませんでした。
    特に、ギャンブルをやめられない息子に悩む母親から「『ギャンブルをやめて』と遺書を書いて私が首を吊ったらやめてくれますか」と質問され、「いいえ、お母様の香典を盗んでギャンブルに行くだけです」と答えたエピソードには背筋が寒くなりました。
    アルコールや薬物など体外の物質から依存症状が起きるのと異なり、ギャンブルの場合は行為そのものによって脳内の化学物質(セロトニンやドーパミンなど)のバランスが崩れるのが原因とのこと。なので、薬物療法がなく、「意思の力」でやめるなどもってのほか、というのが厄介なんだそうです。

    中でも興味深かったのが第二章「ギャンブル症になりやすい人、なった人」でした。
    遺伝や生育環境による影響もあるものの、どんな人がギャンブルにハマりやすいのか。
    かんしゃく持ち、興奮を求めやすい、褒められたことがない――。
    こうして列挙される特徴の数々から、ソシャゲのガチャ結果をsnsにアップする人々が浮かんでしまいました。
    ”ゲームへの課金”もすっかりハードルが低くなりましたが、お目当てのアイテムが買えるもの以外はギャンブルに他なりません。
    周囲との安定した関係が築けなかったり、自らの力で何かを達成したり作り出したことがなかったり。それらの人生を豊かにする経験が乏しい人々にとって、ギャンブルというのはお金の力で易易と成功体験を得られるもの。だからこそ抜け出すのが難しいのかもしれません。

    中盤から筆者の思い入れが強すぎて話の脱線が増え、実際の治療経過などがあまり描写されないのは残念ですが、「ギャンブルはうかつに手を出してはいけない」という認識がますます強くなりました。
    ギャンブル症は完治することがなく、生涯付き合っていくしかありません。またそのための特効薬もなく、有効だとされるのは自助グループとのこと。
    自助グループで自分をさらけ出し、他者を受け入れ、思いやりや寛容といった精神を育んでいくこと。そうした生活を送りながら、「今日もギャンブルをしなかった」日々を積み重ねていくしかないのでしょうね。

    未知の、そして知らなくていい世界を教えてくれる、興味深い一冊でした。

  • “カジノに税金” 維新ねじ込み/人命軽視・事業費増…万博なぜ夢洲に? | しんぶん赤旗2024年10月12日
    https://www.jcp.or.jp/akahata/aik24/2024-10-12/2024101203_01_0.html

    日本初のカジノ含む大阪IR実現は「ほぼ確実」、市が運営事業者に用地を引き渡し | 日経クロステック(xTECH)2024.10.09有料会員限定
    https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00154/02202/

    「ギャンブル脳」につけ込むポイ活…専門家が訴える「実態」と依存症に陥った人が語った「苦しみ」:東京新聞デジタル 2025年3月6日 会員限定記事
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/389843

    人口6万人→1万2000人まで減少、街の治安が悪化しただけじゃない…カジノ誘致に“甘い夢を見た”「韓国とシンガポール」の大失敗 | 文春オンライン 2025/02/03
    https://bunshun.jp/articles/-/76600

    帚木 蓬生 プロフィール | 文春オンライン
    https://bunshun.jp/list/author/6791c09fa53aef921a000000

    『ギャンブル脳』 帚木蓬生 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/611074/

  • 「いったんタクアンになった脳は、二度と大根には戻らない」
    ギャンブル症に効く薬はないと。
    だから他人に迷惑かけるし、最終的には犯罪を犯してしまう。おそろしいな。
    20歳の頃、パチンコにハマっていたことがあるけれど、
    2,3年で行かなくなった。結局、ハマってなかったということかな。よかった、よかった。

  • 著者は優れた小説家だが、精神科医でもあり、ギャンブル依存症(本書の表記は「ギャンブル症」)の治療にも35年以上関わってきた。

    その長い経験を踏まえ、ギャンブル依存症の恐ろしさを詳細に解説したのが本書である。

    タイトルは、『◯◯脳』というベストセラーが多いゆえのアイキャッチに過ぎない。ギャンブル依存症の脳科学的な解説は、本書のごく一部である。

    むしろメインとなるのは、ギャンブル依存症の具体的症例の紹介だ(患者のプライバシーには配慮されている)。それが生む悲劇、治療の過程、回復の喜びがドラマティックに綴られている。

    帚木蓬生がギャンブル依存症について書いた著作は、他にもある。
    私はそのうちの1つ『やめられない――ギャンブル地獄からの生還』を15年前に読んで、衝撃を受けた(下のリンクは同書の拙レビュー)。

    https://booklog.jp/users/gethigh316/archives/1/4087753956

    この15年でギャンブルのオンライン化が急速に進み、裾野が広がってしまったことが、本書を読むとよくわかる。

  • 日本ほどギャンブルが巷間にあふれている国はない。その中でどんどんギャンブル依存者が作られる。

    身近な問題だし、ギャンブルに陥った人間の気持ちもわからなくはない。
    なので本書は極めて面白い。人間観察の面白さと似てる。身につまされるところもあるし…

    読了60分

  • 我が国のギャンブル依存症治療の第一人者であり、著名な作家でもある著者の一般向けの本。2004年の新潮選書から出たg「ギャンブル依存とたたかう」でも勉強させていただいたが、20年経ち、コロナ禍も経て、ギャンブル依存症がパチンコからオンラインに代わってきた現在、またIR法ができさらにリスクが高まる情勢の中で、改めて書かれた書で、その新しい知見も含めて書かれており、わかりやすく勉強になる。早速、患者さん及び家族のためにどんどん進めている次第である。治療の工夫でSOGSで小結、大関、横綱と重症度判断をして伝える方などは感心した。最後に自助グループの意味合いについて懇切丁寧に書かれているのは同様の類書にみない良点と思った。

  • ギャンブル症は他のアルコールや薬物よりも重症で依存度が高いと書かれているが、そこは疑問が残る。アルコールや薬物依存は「外部からの化学物質の侵入を断てば脳は復元する(脳の奥底ではその物質を渇望しながらの復元)」とあるが、依存症はどれが軽いなどはなくほぼ全て同じ末路だと思う。
    ドーパミン過剰によって得た快楽を脳が忘れられず、それを得るためにはお金が必要で借金する、嘘をつく、犯罪に走る。意思の強さなど関係ない。
    パチンコ、競馬、宝くじなど、ギャンブルはなくなっても困らないと思うけど、それはあまりにも極端な意見かしら。
    依存症は自分には関係ないと他人事と思わないことが大事。自分のメンタル、環境によってはいつどこで落ちるか分からないのだから。

  • ●日本の人口2.2%がギャンブル症。約200万人ほど。(男3.7女0.78割以上が男性)
    ●アルコール、覚醒剤と違い、外部からの侵入を経つことが出来ない。行為の反復によって形成された脳は簡単には治らない。
    ●セロトニン、ノルエピネフリン、ドーパミン、オピオイド。
    ●セロトニンの低下で、抑えが効かない。
    ●ドーパミンまみれ。長期より目先の報酬を選ぶ。
    ●ギャンブル症のADHD約25%。ASDの人も相手の立場など考える必要がないので、難なく打ち込める。アルコール依存症や鬱病も合併しやすい。
    ● ギャンブルには金と言う途方もない力が作用するから、普通ならゆっくりと形成される生活習慣病ですが、ギャンブルの場合は短期間に出来上がってしまいます。
    ●子供の時に癇癪持ちだった。自らの衝動を抑制する能力が静寂だったことを意味する。
    ●興奮を求めやすい人。スポーツや格闘技にはけ口を見つける。
    ●新奇なものに惹かれる人。
    ●負けず嫌いな人。
    ●内向きの性格の人。ギャンブルに他人は関与しません。相手は物だけです。 
    ●子供の頃に褒められたことがない人。ギャンブルでの勝ちは大きな褒め言葉になります。
    ●嘘と借金。この2つがない間は、趣味の範囲内でのギャンブルといえます。
    ●借金の金額を正直に言わない。少し少なめに言う。借金が0になると、次から借りにくくなると考えてしまう。
    ●自己破産をすると名前が公表されるので、そこを狙ってヤミ金業者からまた借金の案内が届く。破られないように丈夫なプラスチックか何かでできている葉書で!

  • ギャンブル症と脳の変化
    - 脳の変化: ギャンブルを繰り返すことにより、脳の回路が強化され、「ギャンブル脳」として知られる状態になる。この状態は簡単には元に戻らず、復元には困難が伴う。
    - 化学的要因: 脳内の化学伝達物質が反復行為によって変化し、ギャンブルを止められない恐怖が生じる。

    誰がギャンブル症になりやすいか
    - 発症年齢: ギャンブルが始まるのは20歳前後で、特に20代での発症が多い。未熟な脳が影響を受けやすい。
    - 性格の傾向:
    - 衝動性: 子供の頃から衝動を抑制できない性格が、成人後のギャンブル症につながる。
    - 興奮を求める傾向: 刺激を求める人は、ギャンブルに依存しやすい。
    - 過剰な期待: ギャンブルによって生活が良くなると過信し、依存が深まる。

    家族や社会への影響
    - 周囲への悪影響: ギャンブル症者の行動は、家族や友人に深刻な影響を及ぼす。経済的損失や信頼関係の崩壊が起こる。
    - 犯罪との関連: ギャンブルに関連する犯罪が増加し、社会問題としての側面が強調される。

    日本のギャンブルの現状
    - 有病率: 日本ではギャンブル症の有病率が高く、特に若者層での増加が懸念されている。過去には高い数値が記録されたが、最近は公営ギャンブルのオンライン化が影響を与えている。
    - 政府の対応: 戦後、日本政府はギャンブルを取り締まるどころか、促進している。特に公営ギャンブルの普及が進んでいる。

    ギャンブル症の治療と回復
    - 治療の可能性: ギャンブル症は治療によって回復可能で、回復事例が存在する。
    - 自助グループの効果: 自助グループへの参加が、患者の回復を促進する重要な要素である。

    まとめ
    - 本書は、ギャンブル症の恐怖とその影響を深く掘り下げており、個人、家族、社会への影響を強調している。また、治療の可能性と自助グループの重要性についても触れている。ギャンブル症が引き起こす問題は根深く、社会全体での理解と対策が求められる。

  • 僕がスマホゲームの株を買わない理由がコレ。子供の脳に過度な射幸心を刻む犯罪だと思っているから。病的なギャンブルの仕組みはこの一冊でよく分かる。お金、女、ギャンブル、この3つに問題のある人とは関わらないようにしてるけど、帚木先生はこれをフィールドワークにしていると知りホントに凄い人だなとおもう。

  • ふむ

  • ギャンブルする人の気持ちわかんなかったけど、
    これは意思の弱さのレベルの話じゃないとゆうことがよくわかった

  • 大阪のIRが2030年秋に開業する予定だが、ギャンブル依存は医師もお手上げな病気らしい。
    というのも、一旦ギャンブル症になった人の脳は元に戻らない。西洋では「いったんピクルスになったギャンブル脳は、二度と元のキュウリの脳には戻りません。」と表現するらしい。治療や自助グループ活動により、ギャンブルをしない期間を1年、また1年と積み上げていくのが現状。
    日本人のギャンブル症有病率は世界3位だというのに、いいのか?

  • ギャンブル依存症はお金も浪費するし人間関係も悪化するのはわかります。
    ですがドーパミンが原因というのは他の依存症と同じなので他の依存症の本と内容が重複している場所が多くあり、あまり目新しい内容は書いていないです。
    まぁ今までギャンブルをやったことはありませんが、絶対にこれからもやりたくないとは思いました。

  • ■ギャンブル症の脳内化学伝達物質
     脳内科学伝達物質には、大きく分けて四種類ある。セロトニン、ノルエピネフリン、ドーパミン、オピオイドである。
     セトロニンは衝動の制御。
     ノルエピネフリンは覚醒と興奮。
     ドーパミンは報酬系の制御と行動の維持。
     オピオイドは覚醒剤と同様に覚醒の維持に関与している。
     ギャンブルという特異な行為の反復によってギャンブル症者の脳内化学伝達物質は大きく均衡が崩れる。
     まず、セロトニンの低下が見られ衝動にブレーキがかかりにくくなる。反対にノルエピネフリンとオピオイドは増加する。覚醒と興奮の度合いが強くなり、脳がゆっくり休んでいられなくなる。このときノルエピネフリンは行為を維持する役目もしているので、一旦引き起こされた行為は止めにくくなり、行け行けドンドンになってしまう。さらに極め付きはドーパミンの過剰。
     ドーパミンの役割は大きく3つに分類される。第一に新規探求性、第二に意思決定、第三に脳内報酬系。この作用がドーパミンの過剰によりギャンブル症者の行動を著しく変化させる。
     ドーパミンは人が行動を起こす際の第一段階に深く関与している。人間の行動は三つの段階で成り立っている。第一が行動の種類の評価と選択、つまり行動の順位付け。第二は選択と実行。第三はセロトニンによる行動の結果の最終評価。このうち、第一段階の行動の選択でドーパミン過剰が判断を狂わせる。何か刺激のあるもの、脳が興奮しやすいような行動を最上位に選んでしまう。
     ドーパミンの第三の役割は報酬系の支配。何か行動を起こすとき、人の脳は何らかの報酬を期待する。報酬系の脳内回路の一つが衝動的神経回路。
    ■世の中には「一万時間の法則」というものがある。1週間に21時間、10年続けて学習すると、その学習分野で一流の人にいなれるという法則。1週間で21時間ということは1日に3時間。これは10年でおよそ1万時間になる。
    ■ドパミン岡城は二つの報酬系(短期報酬系、遠隔報酬系)の均衡を歪め、遠隔報酬系が近接報酬系によってハイジジャックされてしまい、今すぐの報酬が欲しくて行動するしかなくなってしまう。
    ■脳内の化学伝達物質の変化によりギャンブル症者の行動特徴は次の四つに絞られる。
    ①遠い将来の損失が見込まれても近い将来の利益を求める。
    ②刺激を追求してよりリスクのある選択肢を選ぶ。
    ③結果の重大性と実現性を適切に評価できない。
    ④予想と結果の誤差に関係なく、より刺激のある行動に固執する。

  • 選書番号:850

  • ・ギャンブルは危険。脳の仕組みが変わる
    ・一度脳の仕組みが変われば、復活は難しい
    ・アルコール依存症と構造は変わらない
    ・日本政府はやばい。ギャンブルとの癒着強すぎる。

  • やや過激とも言える表現や下手すれば陰謀論ともとれる内容もありますが、ギャンブル(ひいては依存症)の怖さがはっきりと分かる一冊となっています。ややお仕事の知識から外れるところもありますが、普通に読み物として面白く感じました。依存症は自分でなんとかしようとせず、すぐに病院へ繋ぐことが大事だと感じます。

  • 徹底したギャンブル批判が綴られているのは、当事者やその家族、治療者や自助グループ、対策組織など関係者の考えとして至極当然とも言えるが、その論調が続いたあとでの、回復に向けた取り組みへの距離感と視線という点ではこの書籍ならではという味があった。

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著者プロフィール

1947年、福岡県小郡市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。退職後、九州大学医学部に学び、精神科医に。’93年に『三たびの海峡』(新潮社)で第14回吉川英治文学新人賞、’95年『閉鎖病棟』(新潮社)で第8回山本周五郎賞、’97年『逃亡』(新潮社)で第10回柴田錬三郎賞、’10年『水神』(新潮社)で第29回新田次郎文学賞、’11年『ソルハ』(あかね書房)で第60回小学館児童出版文化賞、12年『蠅の帝国』『蛍の航跡』(ともに新潮社)で第1回日本医療小説大賞、13年『日御子』(講談社)で第2回歴史時代作家クラブ賞作品賞、2018年『守教』(新潮社)で第52回吉川英治文学賞および第24回中山義秀文学賞を受賞。近著に『天に星 地に花』(集英社)、『悲素』(新潮社)、『受難』(KADOKAWA)など。

「2020年 『襲来 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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