吉本ばなな自選選集〈1〉Occult オカルト

著者 : 吉本ばなな
  • 新潮社 (2000年11月発売)
3.51
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  • 14レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (644ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106463013

吉本ばなな自選選集〈1〉Occult オカルトの感想・レビュー・書評

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  • 「私は、その手の学習をして楽になった人も、悪化した人も知っている。でも何もなかったのは彼女だけだった。
    彼女は確かにとんちんかんな人だったが、いつも自分で決めた。自分で決める力が必要以上に強い人だった。服も、髪型も、友達も、会社も、自分の好きなことや嫌いなことも。どんなささいなことでも。
    それが積み重なって、後に真の『自信』というフィールドをかたちづくるような気がしてならない。
    その人がその人であることは、壊れて行く自由も含めてこんなにも美しい、人に決めてもらえることなんて何一つ本当じゃないんだな、としみじみ光るように生きる彼女を見ていて私はよく思った。」

    「竜一郎はどう思っているだろうか、と思って竜一郎を見た。
    観察と好奇心と、信じる気持ちと、疑ってみる精密さの入りまじった表情をしていた。
    そしてそこにはいつものように『でも何もかも本当はわかっている』という明るい感じがあった。それは彼特有の持ち味だった。
    私は竜一郎で確かめるのが好きだ。
    安心する。
    いつも近くに彼がいて、こんなふうに確かめられたら楽だな、と思う。
    この役割においては、私の中で彼は他の追随を許さないところにいる。」

    「俺なんか、頭使うのが職業だから、いつもその調整が大変なんだ。でも、考えちゃだめなんだ。極端な話、走るとか、泳ぐとか、そういうのでもいいくらいだ。今したいことにためらいなく足が動くように調整しとかないと、頭の筋肉が熱を持って、オーバーヒートしちゃう。休めなくなるんだ。君にも多分これから過酷な運命が待ってると思うけれども、何とかなるよ、こつさえつかめば。それにことによると、いろんな人にいろんなことを言われるかもしれないが、自分の体から声をだしてる奴以外の奴は、どんなにもっともらしいことをいっても、わかってくれても信じちゃだめだよ。そういう奴は過酷な運命を知らないから、うその言葉でいくらでもしゃべることができるんだ。誰が本当の声で話しているか、誰がきちんと体験の分量で話しているか、勘はそういうことにこそ使わないと、死活問題だから。ほかの人みたいに、遊びでいられない脳の使い方を、君はしてるんだから。」

    「きしめんは今日は髪の毛を二本のみつあみにして、肩に下げていた。黒いセーターに、緑のスカートをはいていた。そんなラフな様子なのにどこか固く、公式の場にでるようなきちんとした雰囲気をたたえていた。誰にも彼女の流れをくずすことはできない、そういう感じだった。人よりずっと長く生きているような感じ。そしてどこか、影の薄いような、哀しいような感じがした。そして、特別話しかけたり笑いかけたりしているわけではないのに、自分はすごくこのひとに愛されているというような気がした。」

    「何て宗教くさい手紙なの!」
    と私はあまりのあいかわらずさに感動すら覚えて言った。
    「いい手紙じゃない。」
    ビデオを見ながらこっちを見もせずに昭が言ったので、
    「読んだの?」
    と聞くと、
    「違う、読んでる君の顔を見てた。」
    と答えた。

  • 自選選集。全4巻。

    作者は「キッチン」のあとがきで「私はたった1つの事が言いたくて小説を書き、その事をもう言いたくなくなるまでは書き続けたい」というような事を書いていたけれど、この4冊は正にそのブレないテーマをタイトルにしているように思う。

    1.「Occult」
    2.「Love」
    3.「Death」
    4.「Life」

    の4つのテーマごとに分けられているが、個人的には比重に差があるだけで、それほど4冊共違いは無いように感じた。

    作者の作品が好きな人の場合は「オカルト」「デス」をおもしろく思うだろうし、そういったテーマが苦手な人の場合は「ラブ」「ライフ」が読みやすいのではないかな?と思う。

  • 私は吉本ばななの作品を読むと、物語と全く関係のない方に思考が飛び(というより潜り)ます。そして唐突に自分の中で結論が出たり整理がついたりするのです。登場人物たちの状況に全く関係のないところで。
    特にこの全集に収録されている「アムリタ」は顕著でした。勘の良すぎる人々が集まることで、何でもないことのように、非日常の、聖の領域の話がとんとんと展開されていく。そんな世界に浸っているからこそ、読者である私も勘が良くなったのかな、とふと考えました。
    読了に、そこそこ時間がかかります。ですが、一定の間隔で、焦らずに読み進めてほしい。
    occultというテーマですが、いたずらに怖かったり恐ろしかったりする作品集では断じてありません。人の日常を超えたところのお話。合う合わないあると思いますが、私にとっては間違いなく大切な一冊。

  • 久しぶりにばななを読みたくなって。

    アムリタはやっぱり良い。夏休みに読みたいと思ったらぴったりだった。
    (浮気についての箇所で泣きそうになって読後感もってかれるあたり、変わったなぁと思いつつ。)

    他もほぼ読んだ話だけど、ばななの、好きな所が出ている選集だった。改めて読めてよかった。こういう形で読み返せる幸せよ。
    1が「オカルト」なのが彼女らしくて好き。

    この、読んだ後すうっと残って浸らせてくれるかんじがたまらないんだよなぁ。

  • 分類 913/ヨ

  • 吉本さんの本、初めて読んだのは「アムリタ」でした。
    そこからどんどんハマっていき、今では新作を欠かさず読むほどのファンに。

    辛い気持ちを言えないような、ちょっと敏感なところがあるような方に特におすすめします。

    とにかくばなな作品は読みやすい!

  • 吉本ばななの不思議が
    たっぷり詰まっている一冊です。

    正直初めて読んだときは、どのお話も奇妙すぎて
    再読するまでの時間が他の自選選集と比べて
    長かったような・・・。

    実はこれを書いてるのが、
    最後に読んでからだいぶ経っているので
    一所懸命思い出しながら書いています (笑)

    個人的にはこの本の中では
    『血と水』が強く印象に残っていて
    読んだときの自分の感じ方がまだ息づいています。

  • キッチン含めて代表作が色々入っているのでおもろい

  • 右から左に流れるようだ。

  • 2001/9/22読了

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