海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年〈下〉 (塩野七生ルネサンス著作集)

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  • Amazon.co.jp ・本 (453ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106465055

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  • 私の敬愛する竹田青嗣氏によれば、世の中の価値観は「真・善・美」に集約されるという。

    この考えが正しいのであれば、歴史の場合、「善・悪」の価値観で評価するのではなく「真・偽」の価値観で認識すべき「事象」のように思う。

    「情」と「理」の対立軸でいうならば、「情」で評価するのではなく、「理」で評価すべきなのではということ。

    塩野女史の著書を通読していると、彼女の歴史観というのは、、常に「善・悪」や「情」でなく、「真・偽」及び「理」の視点で認識しようとする姿勢があり、非常に気に入っている。

    しかしながら、塩野女史は、「善・悪」で評価はしないものの、「好き・嫌い」で評価しているところは読み手も共感できるところだ。本人も言及している「カエサル」好きはともかく、「ヴェネツィア」に対する彼女の愛情はこの著書を読みながらひしひしと読者に伝わってくる。

    あらゆる苦難を国民の団結と知恵で切り抜けてきたヴェネツィア。私はこの「第13話 ヴィヴァルディの世紀」の最後に記された文章を繰り返し読みながら、すっかりヴェネツィアの虜になってしまった。

  • 宿敵トルコとの激戦と大航海時代への対応、文化的な成熟とナポレオンによる
    征服、という感じかな。

    こう見てみると、やっぱり大航海時代によって地中海の相対的価値が
    低下してしまったのが衰退の遠因なんだなあ。
    交易から工業、農業へシフトすることで繁栄は維持したのだけど、
    それによって小国のデメリットが大きく出てしまうようになったか。

    語り口は例の塩野節。面白く読める。

  • 引き込まれるベネチアの歴史。最後は寂しいが都市は残り観光名所になった。ベネチアがこういう歴史だったと初めて知った。

  • 1000年に及ぶ繁栄を続けてきたヴェネツィアにも衰退の影が・・・。コロンブスの新大陸発見以上に脅威となったバスコダガマの喜望峰発見。それは経済大国ヴェネツィアの利益の源泉であった胡椒の独占が崩れる予兆だったとのこと。実際にはオランダの台頭・東インドの領有により完全に優位を失うまで時間は要するのですが、地中海中心から大西洋の時代になぜヴェネツィアが乗り遅れたのか。昔の聖地巡礼パックツアーがヴェネツィア商人の発明で、ライバル・マルセイユを圧倒した話、そして聖地への熱意が冷めるにつれ、ヴェネツィアそのものが観光の対象となってきた18世紀は既に爛熟、腐敗、衰退が始まっていたというのは当然だと思います。ゲーテなどが訪問したのもその頃です。ナポレオンの進出によるヴェネツィア共和国の滅亡は突然のようですが、売り物であった政治力が失われてきたということであり、爛熟売り物であった政治力が失われてきたということであり、爛熟した文明は終焉の予感を感じさせるものがあります。

  • ヴェネツィア共和国の経済体制、経済体制を維持するための合理主義に基づいた政治システムの運用と文化の変遷について。ヴェネツィアは、経済合理性を追求した各種制度の確立・運用によって東地中海の覇権を獲得し、中東との貿易を行うことで中世の西欧では最大の経済国となり、文化の中心地ともなった。東地中海世界にトルコが台頭した時期に、他のキリスト教国から非難される中でトルコに年貢を支払ってまで地中海交易路を維持したのも経済合理性のためである。近世にアメリカ大陸が発見されたたために、西欧世界にとって地中海貿易の重要性が低下するについて伴いヴェネツィア共和国は経済力を失い、ナポレオンの圧力のもと崩壊した。

  • ヴェネツィアに関する物語の下巻。

    この本を読み終わることにより、日本人がよく知っている
    現代の大陸型国家の有望なところの台頭の理由や
    中世・ルネサンスから近現代に至る過程が読み解けます。

    またイスラムとの関係も。。

    目から鱗が落ちましたね。
    視界がジーコレベルになりました。はい。

  • 圧巻、塩野歴史絵巻。
    ヴェネツィアの興亡を丹念に描いた傑作。
    実際に訪れた跡に読んだので、情景が目に浮かび、一気に下巻まで読み通した。
    なぜ、あのような特異な土地の小さな国家が、かくも長い期間、地中海の覇者として隆盛を保ってこれたのかがはっきりと分かる。

  • あのヴェネツィアですら、逆境というものはあったのだ。

  •  ながいっ! そりゃそうだ。ヴェネチア共和国1千年の歴史だもの。それを上下巻とはいえ、ここまでしっかりとまとめ、なおかつロマンチックに彩るのは、塩野七生だからこそできたことだと思う。
     蛮族から逃れるために、潟の中にくいを打って作られたヴァネチアが、その地理ゆえに、海の国家になり、その位置ゆえに常に大きな勢力と敵対していく。その在り方は、ロマンだよなと思ってしまう。
     塩野七生のミステリーでヴェネチア貴族を主人公にした3部作があるのだが、その3部作が魅力的だったのもヴェネチアという都市の魅力が反映していたからにさえ思う。
     またシェイクスピアの「ベニスの商人」がなぜ、ベニスなのか、ずーーっと謎だったのだが、これでようやく納得した。宗教も自由、言論も自由、人種的な差別もないに等しいというヴェネチアは、当時のほかの都市からしたら特異だったのだろう。で、特異なものはたいてい排除されるもんだ。
     とにかく面白かった。元々、ヴェネチアって好きだし死ぬまでには行きたいと切望しているのだが、ますます行きたくなった。

  • ルネッサンスの雄・ヴェネチア共和国に最後の幕を降ろしたのはあの男。

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