星野道夫著作集 3 旅をする木・アフリカ旅日記 他 (星野道夫著作集)

  • 新潮社 (2003年6月27日発売)
4.44
  • (6)
  • (1)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 53
感想 : 6
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (360ページ) / ISBN・EAN: 9784106468032

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ああ、星野さんのエッセイだったのか。
    長年、心のなかをコロコロと転がり続けていた小さな思慕のかけらが、やっとカチッとはまる場所を見つけた瞬間だった。

    もう25,6年前だろうか。
    何かの雑誌か文庫本か、小説かエッセイか、その辺りの記憶はあやふやなんだけれど、「トーテムポール」のことが書かれた文章があった。
    なぜだかとても心に残っていて、時おりその文章のことを思い出しては、また読みたいなぁと思っていた。けれど時の流れには逆らえず、その機会が訪れないまま、いつの間にか思い出すこともなくなっていた。
    そして今、この「星野道夫著作集 3」に収録されている『旅をする木』に、あの「トーテムポール」のことを綴った『トーテムポールを捜して』のエッセイを見つけたのだ。

    あらためて読んでみると、このエッセイ以外にも心に響く言葉や印象的なシーンが散りばめられた文章はたくさんあるのに、そのなかでなんでこの「トーテムポール」がわたしの心をつかんで離さなかったのかは、今はもうわからないことに気づいてしまう。
    それでも、こうやってまた「トーテムポール」の世界が目の前に現れると、やっぱり心に何処からか風が吹いてくるのだ。
    もしかしたら星野さんが描いた、「人々の夢、喜び、悲しみ、怒りを、時の流れの中に押し包んだまま、シーンとした浜辺に今なお立ち続けている」トーテムポールが存在するクイーンシャーロット島からの風なのかもしれない。

    星野さんのエッセイには、アラスカの歴史や言い伝えなど、なんでも知っている古老が登場する。ご老人たちの語るアラスカの物語には、子どもも大人も惹きつけられずにはいられない。
    誰もが決して忘れることが出来ない物語がひとつ、ふたつと増えていき、そうやってアラスカで暮らす人々の歴史が受け継がれていくのだろう。
    わたしも星野さんが紡ぐ言葉のまえでは、目を輝かせて真剣に物語を聴いている、そんなひとりとなっている。

    わたしのなかに星野さんの物語がひとつ、ふたつ、増えていく。
    きっとこれからも、増えていく。
    そして思ったのだ。
    この『トーテムポールを捜して』は、記憶のなかで時が満ちたことにより、わたしという歴史のなかへと居場所を移したのかもしれないと。
    これから先、また思い出すことがなくなったとしても、もうすでにわたしの一部分となっているのだから心配しなくていい。そう思った瞬間、心のなかをクイーンシャーロット島からの風が吹き抜けた気がした。

    「人間が消え去り、自然が少しずつ、そして確実にその場所を取り戻してゆく。悲しいというのではない。ただ、「ああ、そうなのか」という、ひれ伏すような感慨があった。」

    収録作品
    『旅をする木』
    『アフリカ旅日記』
    『講演録』

    • 地球っこさん
      strattonさん、こんばんは♪

      そのお気持ちよくわかります。
      この全集は、デザインはシンプルで、紙質の手触りも心地よく、手に持っ...
      strattonさん、こんばんは♪

      そのお気持ちよくわかります。
      この全集は、デザインはシンプルで、紙質の手触りも心地よく、手に持っているだけで心が落ち着きます。

      星野さんは写真家だけれど、文章がすごくいいんですよね(ちなみに全集には写真は1枚もありません)。
      ずっと大切にしたい本です。
      2021/07/19
    • hiromida2さん
      地球っこさん、こんばんは!
      皆さんのコメントにもあったように、
      星野道夫さん、本当にいいですよね(^o^)
      星野道夫さんの物語には…いつも胸...
      地球っこさん、こんばんは!
      皆さんのコメントにもあったように、
      星野道夫さん、本当にいいですよね(^o^)
      星野道夫さんの物語には…いつも胸を打つ

      地球っこさんの仰るように写真だけでなく文章…言葉の力に惹きつけられます。
      素敵なレビューありがとうございます。

      全集をお持ちのいるかさん羨ましい(^.^)

      以前、TVで父の軌跡を知るアラスカの旅をしていた ミスチルの桜井さん似の息子さんのドキュメントも良かったです、父の道夫さんと同じように優しい瞳の息子さんでした。

      自然が取り戻す場所のように、星野道夫さんが見つめる世界の物語りを見ると、それを静かに受け止める心の場所を見つけたような気分にさえなります。
      2021/08/09
    • 地球っこさん
      hiromida2さん、こんばんは♪

      遠くに放たれた心が、ふと帰りたくなったとき、いちばんに思い浮かぶのは星野道夫さんの描く世界です。...
      hiromida2さん、こんばんは♪

      遠くに放たれた心が、ふと帰りたくなったとき、いちばんに思い浮かぶのは星野道夫さんの描く世界です。
      hiromida2さんのおっしゃる「静かに受け止める心の場所を見つけたような気分」、本当にそう思います(*^^*)

      お父さんに似た息子さんの優しい瞳。そう聞くだけで、なぜだかぐっと込み上げてくるものがあります。

      ああ、星野さんの世界は、私たち人間が置き去りにして来た何かに気づかせてくれます……

      素敵なコメントありがとうございました!
      2021/08/09
  • ふむ

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/0000217882

  • 2011/11/12購入

  • 図書館で借りて半分くらい読んで期限が来たので返却した。寝る前に一話づつ読んでた。丁寧な文章。池澤夏樹と少しかぶった。アラスカではです、ます調なのに東京帰った後の文章はちょっと語尾がきつくなっていた。アラスカになれるとヨーロッパさえも、物足りなくなるらしい。アラスカは人生の最期に訪れるところらしい。

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

星野 道夫(ほしの・みちお):1952年千葉県生まれ。写真家。19歳の時に、古書店で出合った一冊の写真集をきっかけにアラスカに強く惹かれるようになる。慶應義塾大学経済学部卒業後、アラスカ大学野生動物管理学部に入学。以降、極北の自然とそこに生きる野生動物や人々の暮らしを写真と文章で記録し発表。1996年、カムチャツカ半島で取材中ヒグマに襲われ急逝。1986年アニマ賞、1990年木村伊兵衛写真賞受賞。写真集に『Alaska 風のような物語』『アークティック・オデッセイ』『悠久の時を旅する』、エッセイ集に『アラスカ光と風』『旅をする木』、写真絵本に『ナヌークの贈りもの』『森へ』などがある。

「2025年 『ゴンべの森へ アフリカ旅日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

星野道夫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×