隆慶一郎全集第一巻 吉原御免状

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106470011

作品紹介・あらすじ

育ての親、宮本武蔵の遺言に従い吉原を訪れた青年剣士・松永誠一郎。しかし、そこはただの色里ではなかった。迫りくる殺気、裏柳生の跳梁、吹き荒れる血腥い風。めくるめく官能の秘儀のなかで密書「神君御免状」の謎と吉原の真実が明らかになる…。小説好きの心を沸騰させたデビュー作。

感想・レビュー・書評

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  • 大好きな作家の一人。きっかけは「影武者徳川家康」この作品に仰天して以降、ほぼ全作品を読んだ。

    久しぶりに再読したくて、それならばということで全集を購入。またじっくり読んでいきたい。

    ただ、面白いだけでなく作者の歴史観や人間観にも深い共鳴を覚える。ことにこの作品に見られる女性への限りない優しさは、男としてかく有りたいと思える。

    なんでこの作家が直木賞を取れなかったのかが不思議でならない。

  • 全集の一巻、「吉原御免状」から読み始める。
    小説の内容は省くが、隆氏の描く主人公達は、誰もが格好良いのだ。
    男たる者、こうありたいと願う人物像ばかりなのである。
    ハードボイルドの時代物と言えば良いのだろうか。
    江戸の吉原の歴史や慣習、花柳界の起源、柳生一族との戦いなどが絡み、リアルな歴史的事実を基に、驚くべき程の質の高い物語が展開され、飽きることなくページをめくってしまう。
    この一冊のみならず、隆氏の小説総てが読む者を興奮させるのだ。

  • これがデビュー作とはすごいねえ。

    一気に読ませる。

    続編の「かくれさと苦界行」が早く読みたい。

  • 吉原とは、何だったのか。
    そして、その吉原はどのようにしてでき、守られてきたのかー。

    傀儡子一族を中心とした"道々の輩"をめぐる吉原の裏面史。
    それに、家康影武者、柳生一族、八百比丘尼など様々なものが絡んでくる。

    花魁について、傀儡子について、作中で詳しく語られていて、それがすごく面白い。例えば、太夫とは、この頃は売女ではなく、時代の最高教育を受けたスーパーレディだったということ。吉原の遊女たちは、格段の媚術をもっていたと信じられており、その気の使いようには食べ物や、毛の手入れまで、ものすごいものがあった。彼女たちは、気貴い。美醜、身分、貧富のいかんにかかわらず、ありとあらゆる素人女を「地女」の一言で蔑称するだけの誇りと自信があった。


    「汚濁の世に退屈な生を生きるより、何も彼も捨てて、一身を滅ぼす方がましだ…」
    と思っていた主人公が、勝山の死を経て、
    「こんな素晴しい獣たちのために、喜んで修羅へ落ちよう」
    と決意するシーンは圧巻だった。もう一度、読みたい小説。

  • 吉岡忍氏推薦

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