新潮世界文学 48 カミュ 1 裏と表・結婚・夏・異邦人・ペスト・転落・追放と王国
- 新潮社 (1968年4月1日発売)
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感想 : 3件
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- Amazon.co.jp ・本 (730ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106601484
感想・レビュー・書評
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エッセイ『裏と表』『結婚』『夏』を読んだ。
幼い少年は貧乏以上に、家のある種の陰鬱さに耐えかねていたのだろうか。でも母親の沈黙は少年を通すととても清らかなものに感じられた。
カミュが愛した祖国の太陽と海、自然、世界が眩しい。原始的な大地との一体感に自分の存在をゆだねる幸福の瞬間に息を飲む。
個人的な反抗を出発点とし、他者との連帯を望み、また孤独を愛したカミュ。
社会とつながる自分と、そこから全く切り離された自分。また生と希望への情熱と絶望的な事柄への執着。それらの一方だけを選択しないカミュの生き方に激しく共鳴する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『異邦人』以前のカミュの著作を紹介 『異邦人』以前のカミュのさまざまな著作や手紙などが訳されて紹介されている。カミュの問題意識の成り立ちを感じることができる。卒業論文である「キリスト形而上学とネオプラトニズム」は多少、読みにくいところもあるが、理路整然としていて、彼の新しい側面を発見できた。『アストゥリアスの反乱』では、忘れ去られて行く小さな物語に焦点を当てていて、その後のカミュの作品にも感じられる問題意識の萌芽を感じることができた。『裏と表』『結婚』では、さまざまな小さな物語を通して、そこから紡ぎ出される、静寂の世界を感じることができた。カミュの心象風景を知るにはよい本かもしれない。
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