さんてつ: 日本鉄道旅行地図帳 三陸鉄道 大震災の記録 (バンチコミックス)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784107716521

感想・レビュー・書評

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  • 三陸鉄道の大震災の記録

    これは…最初の方、津波の場面から当時の報道映像を思い出してグッと胸がつまってポロポロ涙が溢れてきた
    三陸鉄道で働いてる皆さんも、そして震災を経験した方達もみんながみんなそれぞれに復興を願って自分達にできる事を一生懸命にやっていた…その事に当事者ではない私が何か言える立場ではない
    けれど本当に「あの日」そしてその後のことも、日本国民は忘れられないし忘れてはならないと思う  その事がこの作品には描かれている 吉本先生も描いていて辛かった場面があったでしょう…

    色々な場面で泣いてしまって、苦しくなりながら休み休み読んだ…でも私はこの作品を読む事ができて良かったと心底思う
    是非、みなさんにも読んでもらいたい

  • フォローさせて頂いている方のこの漫画のレビューを見て、読まなくちゃと思って購入。漫画なので小学生の息子にも読ませられるかなと思って。

    震災の時、震災の後三陸鉄道がどんな努力で復興していったのかを吉本浩三さんが描いている。買って絵をみてから気づいたけどこの作者さんは「こづかい万歳」とか「日本をゆっくり走ってみたよ」を描いている方だった。いつも市井の人の感情の機微をとても上手に読み取って親しみやすい絵で描いてくれている。

    当時の状況が手にとるようにわかって、震災から12年も経って薄れてしまっているあの時のどうしようという焦燥感が思い出されて涙を何度も流しながら読んだ。鉄道員だけでなく収容されて遺体のケアをしてくれた人達など、自分の仕事に誇りをもって一生懸命働いている人は本当に素晴らしい。辛いことや大変なことがあったら逃げ出したくなるけれど、とにかく現場を調べて解決策を見つけて一生懸命目標に向かって頑張っていた三陸鉄道の職員さんたちには本当に頭が下がる。目につくところにおいてこれからも読み返そう。

  • 皆、自分の仕事にプロ意識を持たれていますよね。自分が、その立場にいて出来るだろうか?

  • 2013/9/27偶然書店で見つけた。国鉄線から第3セクターとなっても厳しい経営を強いられていた三陸鉄道が、大震災を受けて頑張っている姿を見聞きしており、購入は必然に思われた。発災から復興へ向けての努力の経過を読むにつけ、ほとんどを涙ぐみながら読んでいた。『遺体』を執筆した石井光太氏の話も出てきて、今まで自分が読んできた震災関連書籍が繋がったと感じた。

  • (2012.05.14読了)( 2012.05.09購入)
    【東日本大震災関連・その80】
    東日本大震災で津波によりずたずたにされた三陸鉄道。駅舎や鉄道があちこちで流されてしまいました。幸い列車は助かり、乗客や運転士に被害はなかったようです。
    大津波警報が解除された3月13日から、被災状況を見て回り、自衛隊の協力を得ながら、被害の少なかった北リアス線の久慈と陸中野田の間は、3月16日に開通し、復興支援のため無料運転とし、沿線住民に復興への希望を与えることができました。
    宮古と小本の間も3月29日に開通し運転を再開しています。
    南リアス線は、被害の規模が大きくて、復旧には時間がかかりますが、盛と吉浜の間を2013年4月までに、吉浜と釜石の間を2014年4月までにという計画で、復旧を進めています。
    この本は、三陸鉄道関係者に取材を行い、実際の現場にも足を運んで、まとめたドキュメンタリー漫画です。絵の細部にこだわらず、話の内容のほうに注目して読めば3月11日とそれ以後の三陸鉄道の様子や関わった人たちのことがよくわかります。
    僕の今住んでいるところは、大船渡線の終点である盛駅から歩いて15分のところです。盛駅は、南リアス線の始発駅にもなっています。南リアス線は、盛駅から釜石まで走っていました。今は、津波の被害で不通のままです。

    【目次】
    第1話 あの日、あの時間
    第2話 暗闇の中から…
    第3話 再開へ!!
    第4話 立ちはだかる壁
    最終話 春が来るまでは…
    さんてつ被害状況レポート
    三陸鉄道のなりたち
    さんてつ詳細地図
    特別対談 吉本浩二vs 石井光太
    特別編「さんてつ」ができるまで
    あとがき

    あの日僕は、故郷大船渡に所用があって、大船渡線終点盛駅に2時40分着の列車で到着しました。迎えに出たかみさんの運転する車で、自宅前に到着したときに地震に見舞われました。車から降りたった地面はふにゃふにゃと揺れて地面の頼りなさを感じました。
    幸い、海からは離れた場所だったので、津波の被害には合わなかったのですが、電気・水道・鉄道・通信、等のライフラインが寸断されたため、首都圏に戻ることができなくなったし、連絡もできなくなったので、首都圏の勤め先の上司は、僕が死亡したものと諦めていた、と後で聞きました。
    地震と津波の時間が10分以上前だったらどうなっていたのか、わかりません。また、所用がなくて、首都圏で暮らしていたとしたら、故郷の人たちがどうなっていたのかわかりません。故郷が大変な時に、家族と一緒に過ごせてよかったと思っています。
    すぐ近くの、三陸鉄道南リアス線でどんなことが起こっていたのかは、知らなかったので、この本で知ることができたし、励まされました。
    復旧したら、吉浜や釜石方面に行ってみようと思います。

    ●無料で走らせる
    第三セクターですから、地元の人が緊急事態で困っている時は金を取るべきじゃないんです!!
    私ら走らせなければ存在意義はないんです
    ●鉄道はなくてはならない
    三陸沿岸のようなところでは鉄道はなくてはまらない交通手段なんですよ!!
    北海道を例にとっても鉄道からバスになって…地域は必ずダメになっていくんです
    鉄道は一度にお客さんを定時に運べ風景も楽しめるので観光客も多く乗りひいては地域の観光収入に繋がるのです
    (2012年5月20日・記)

  • 私は岩手県釜石市の生まれなのですが、三鉄には2回しかたぶん乗ったことがありません。震災後、三鉄の復活に100億以上のお金が必要との報道に、地元の人間ながら、冷ややかな気持ちで沈黙していました。
    3/10に釜石に戻り、リスタートした桑畑書店で1冊何か本を買おうと思って、店長さんにすすめられ、この本を買いました。
    帰りの新幹線の中、涙が止りませんでした。震災直後の対応のきめ細やかさ。何よりも、震災後5日で一部運転再開し、1週間無料で地元の人に希望の光をともした三鉄の企業としての品格にしびれました。
    「バスで良い」と思いがちだけど、バスなだめな理由を語る大学教授の言葉で、やっと三鉄を復旧させる意味が分かりました。
    北リアス線と南リアス線の間には、宮古から釜石間を走るJR山田線があります。ここはまだ、JR東日本から復旧計画が出ていません。というか、JR東日本的には、山田線どころではないのでしょう。この際、三鉄に入ってもらって三陸をカバーする鉄道になってほしいものだと、本を読み終えて思いました。
    がんばれ!三鉄!

  • 誰も予期していなかった災害の対応について、誰かがいつそれをやるかなど指示してくることはない。ほっとけばいつまでもそのままでいられるだろう。三陸鉄道が震災5日後に運転を再開できたのは明確な意志があったからだ。やはり人次第なのだ。

  • 東日本大震災で大きな被害を受けた第三セクター「三陸鉄道」の社員と、沿線に住む人達に取材したノンフィクションコミック。過酷な現実な資金難といった問題を抱えつつ、復興の為に地に足をつけて前を向く人達の描いた力作。
    作者の画風は決して垢ぬけたものではないが、その分震災の過酷さ、人々の力強さがコマから溢れだすかのようなリアリティを出している。
    JRと三鉄の復旧・復興に対する考え方の違いや、なぜ三陸に鉄道が必要なのかといった理由も描かれている。
    これまで「三陸鉄道」をあまり知らなかった作者が、徐々に「さんてつ」に惹かれていく様子が見てとれる。もちろん私も「さんてつ」を応援したくなりました。

  • 報道だとリアル過ぎてフト目を背けてしまう
    写真だけだと刺激はあるが感覚までは来ない
    映画だと演出が強くなりがちになるとツライ
    小説だと想像の個人差により理解範囲が狭い
    音楽だとメッセージが前面で風化してしまう

    伝え方って、色々とあっていい。
    何を知って欲しいか?
    それによって、いい伝え方もあるんだなーと。

    マンガで書かれたものは、いい具合に読めた。

    スゴク心に刺さるのに、しっかり続きを読める。
    見たくないシーンでも、本物でないため見れる。
    真実の出来事を、忖度なしでそのまま伝えれる。
    絵と言葉、文字や擬音などで記憶や心にも残る。

    3.11の後、知人3人で三陸を車で走った時を思い出す。
    衝撃的な風景が、海沿いをどこまでもいつまでも続く。
    被災地に行くことだけで、結局は何にも出来なかった。
    ただ行った事で人生にとって大事な体験になっている。

    人間、知ることが一番ですね。
    全ての出来事に関わることは出来なくても。
    大事なことだと感じました。

    それを思い起こさせられた、本書になりました。

  • 震災からわずか5日後に一部区間の運転を再開した三陸鉄道。生存した列車の中で起きていたこと、復旧にかける思い。絶望的な状況のなかでも、あきらめないで復興を目指す人々の姿に胸打たれる。田老の風景描写、空中写真を思い出して、思わず声にならないうめきが漏れた。

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著者プロフィール

73年、富山の港町に生まれる。高校卒業後、美大に行きたい思いを封じて、福祉系の大学へ進学。牧場バイトなどを経て、「一生の仕事にする」と、テレビ番組の制作会社に就職するが、1年で退職。制作会社で描いた絵コンテを褒められた経験を糧に漫画の持ち込みを続けて漫画家に。最新作『ルーザーズ~日本初の週刊漫画誌の誕生~』が『このマンガがすごい! 2019[オトコ編]』第7位にランクインした注目の漫画家。

「2022年 『定額制夫のこづかい万歳 月額2万千円の金欠ライフ(5)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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