最後のレストラン 9 (BUNCH COMICS)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 89
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784107719485

感想・レビュー・書評

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  • ほんと、芸と言うか、センスのない自覚はあるのだが、「藤栄先生、凄ぇ」って心からの賛辞しか出ねぇんだ。よくぞ、ここまで人間の本質を描けるな。藤田和日郎先生や、羽海野チカ先生に負けないくらい、人間力と漫画家力が高い
    シンプルに面白さだけでなく、深さと厚みで読み手を唸らせる食系の漫画だな、この『最後のレストラン』はさ
    マジに、もう一回、ドラマ化してくれないかな、今度はNHKじゃなくて民放局で。ここ最近、料理人が主役のドラマはないし、ぴったりだと思うんだ。でも、一回、NHKで連続ドラマになってると難しいのかな・・・
    だったら、せめて、NHKでアニメ化してほしい。ドラマじゃ難しかったかも知れないが、アニメだったら、原作に忠実に作れるだろう。私は、漫画の感想のタグに「アニメ化希望」、「ドラマ化希望」、「実写化希望」と付ける事にしているんだが、これは、あくまで、原作に忠実って前提がある。オリジナルストーリーも面白ければ大歓迎だが、クレームを貰わないように話の流れを変えたり、原作でファンの心を掴んだ回や展開を削るってのは、ホント、勘弁してほしい。さすがに、どの少年漫画を原作にしたアニメとは言わんけど
    次巻は無理にしても、(11)の帯にアニメ化決定、と書かれる事を楽しみにしていよう
    ともあれ、この(9)も感想を書きたい衝動を、私に与えてくれた
    ちょいちょい、ブラックユーモアを挟みつつも、ストーリーの軸はマジメなので、読み手は英雄の最期に思いを馳せ、なおかつ、現代に生きる園場らの受け止め方に「その通り」と思えたり、「ん?違うんじゃないかな」と自分なりに考えたりできる
    二ケタに乗る前の巻数なので、改めて、何故、惹かれるのか、と考えてみる
    理由は色々と浮かんだが、個人的にしっくり来るのは、園場凌の一周回って、ひねくれっぷりが真っ直ぐになってるネガティブ思考だった。世に対し穿った見方をしつつも、他人に理解されないのを承知である己の信念を料理って形で通し、お客を笑顔にする、ちゃんとした結果を出す。
    あまのじゃくな面に呆れながらも、何だかんだで、彼を仲間たちが見捨てたり、失望したりしないのは、人望があり、真実ではなく真理を皿の上に乗せるからだろう
    どの回も好印象だが、私が好きなのは、(8)から展開が気になっていた、GUEST.39「真田幸村様(夏の陣)」だ。天下人の座に落ちつくまで、多くの戦いを経験した徳川家康を、最もビビらせた猛将は、誰でもない、真田幸村だ、と思っている。最期の一瞬まで自分の生き様を貫いた幸村が、この夏の陣で家康を討ち、歴史を変えていた可能性は大いにある。しかし、生き残ったのは、徳川家康。これが、歴史の面白さであり、「天下人は天が決める」って格言に真実味を与えている
    この台詞を引用に選んだのは、この(9)の中で、園場が発している言葉の中でも、特に私の胸に響いたから。成功するかも知れないし、失敗するかも知れない。動く事が正解の時もあれば、逆に静観が正しい判断である事もある。ただ、勝ち目のない戦いに挑んでこそ、男の格は上がる。生きてこそ勝ち、それも確かだが、多くの人の心を打つ雄姿ってのは、挑戦者のそれだけだ。いつも、安全圏にいたがる園場ではあるけれど、彼も彼で、結構、無謀なチャレンジャーだよなあ、と私は感じる

著者プロフィール

■藤栄道彦・・・・・・

「2020年 『アンタゴニスト ④』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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