- Amazon.co.jp ・本 (171ページ)
- / ISBN・EAN: 9784118800158
感想・レビュー・書評
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音楽をロマン的に捉えるか、即物的に捉えるかを考え直すための本。音楽をどのように聴くかという音楽観の根本の繊細な部分に対し、冷酷に批評する毒の強い本。読む際は慎重になってほしいし、決して鵜呑みにしてはならないと思う。
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伊福部昭と言えば、映画「ゴジラ」のテーマ音楽作曲者として有名ですが、その伊福部さんが昭和二十六年に書いたのが本書「音楽入門-音楽鑑賞の立場」。その後昭和六十年に一部改定再刊。平成十五年に再再刊されたものの平成二十年の5刷版。「音楽の起源」から始まり、音楽の本質的な要素の解説を通して詩やテキストデータによって補完された鑑賞方法ではなく、音楽を音楽そのものとして鑑賞するべきでるとする立場からの「音楽入門」その後の伊福部さんの曲を知っていれば(と言っても私も「ゴジラ」以外は「交響譚詩」以外知らないのですが)その論ずる立場がよくわかる。60年の歳月を経ても刊行される訳が判る貴重な一冊。
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作曲家、伊福部昭氏による音楽鑑賞についての私見と音楽の発展について書かれた本です。音楽は権威ある者の評論を鵜呑みにせず、自分自身が感じたことを素直に受け入れるべき、と書かれていました。思わず首を勢い良く縦に振りたくなりました。音楽はもちろん、あらゆる物事は自分の肌感を大事にすべきだと思います。他者がどう言おうとも自分の心が揺り動かされたのであれば、その感動は自分にとって紛れも無い真実ですからね。氏は、音楽は想起させる物語性を評価するのではなく、知覚に近い印象によって感じ取ったものを評価するもの、という立場を示しています。後書きによれば、これはロマン主義を否定し、即物主義によって立つ見解だそうです。面白いなあ。
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借りたもの。
『ゴジラ』『ビルマの竪琴』のテーマ曲を手掛けた伊福部昭氏による、音楽鑑賞と音楽史の入門書。
西洋音楽史を主軸にしつつも、アジア音楽への言及が所々に見受けられる。
アイヌをはじめとする少数民族の音楽に影響を受けた、彼独自の音楽論。
原始的、原初的な音楽が持つ“律動”が、人の心に作用すると、西洋音楽、クラシックのみをインテリジェンスなものとして受け入れていた時代への反発のようなものも感じつつ……
ハリウッド映画音楽への難色を含めて…… -
やさしく音楽というものを教えてくれる。
例えで出されている曲を聞きながら読んだらもっと楽しめる本なんだろうなあ。 -
2003