TUGUMI(つぐみ)

著者 :
  • 中央公論新社
3.81
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本棚登録 : 1380
レビュー : 151
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120017759

感想・レビュー・書評

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  • 人物の描写や展開は少しやり過ぎな部分は感じるけど、個人的にちょうどいい明るさの本で面白かった。死があるから生があるということなのか・・・。でもちょっと前に「哀しい予感」を読んだと思ったら、もうそれも4年前・・・時間過ぎるの早っ!!(笑)

  • フランスに住んで、久しぶりに日本の小説が読みたくなって手にした1冊。吉本ばなな初めて読んだ。彼女の手から溢れてくる表現の豊かさに、日本語の美しさを改めて感じた1日だった。

  • これも映画化されている作品。つぐみという、めちゃくちゃな女の子の話。

  • ・「それはいやな奴というより、むしろ変な奴ね」
    私は言った。
    「そう、わけのわかんない奴。いつもまわりにどこかなじめないし、自分でも何だかわかんない自分をとめられず、どこへ行きつくのかもわかんない、それでもきっと正しいっていうのがいいな」
    つぐみは暗い海をまっすぐ見つめてさわやかに言った。

    ・時々、不思議な夜がある。
    少し空間がずれてしまったような、すべてのものがいっぺんに見えてしまいそうな夜だ。寝つかれずに聞き続ける柱時計のひびきと、天井に射してくる月光は、私がまだほんの小さかった頃と同じように闇を支配する。
    夜は永遠だ。そして、昔はもっとはるかに夜が永かったように思う。何かの匂いがかすかにする。それは多分、あまりかすかなので甘く感じる、別れの匂いなのだろう。

    ・あの夜、つぐみは浜で白い石ころをひろい、それを本棚のすみっこにずっと今も置いてあるのだ。つぐみがあの夜、どういう気持ちだったのかは知らない。どんな気持ちがその石ころにこもっているのかも、わからない。
    案外、いいかげんなことなのかもしれなかった。でも私は、あらゆる点で、つぐみが「生の人間であること」を忘れそうになる度にその石ころのことと、あの夜、はだしで外に出て、歩かずにはいられなかった幼いつぐみのことを思い出して、なんとなくもの哀しく、冷静になるのだった。

    ・「ねぇ、おまえ、恭一」とつぐみが飛び出しそうな大きい瞳を見開いて言った。「おまえにずっと会いたかったんだ。また、会えるか?」
    私はぎょっとしたが、相手はもっとぎょっとしたらしく、しばらく沈黙してから、
    「・・・うん。俺は夏中ここにいる。権五郎を連れていつもうろうろしているし、中浜屋ってとこに泊まってるんだ。場所、わかるか?」
    「わかる」
    「いつでも訪ねてきてくれ、姓は武内だからな」
    「わかった」つぐみは、うなずいた。

    ・「どんな時でも、こんなに何もかもに対して無関心になったことなんてない。本当に何かがあたしの中から出ていってしまったようだ。今までは、死ぬことなんて何とも思っていなかった。でも、今はこわいんだ。自分を駆りたてようとしても、いら立つばかりで何も出てこない。真夜中に、そういうことを考えているんだ。このまま調子が戻らなかったら、死ぬ、そういう気がする。今、あたしの中には激情が何ひとつない、こんなことは初めてだ。何に対する憎しみもない。自分がちっぽけな病床の少女になっちまったみたいだ。一枚ずつ葉が散っていくのが本気で怖ろしかった奴の気分がわかるんだ。そして、まわりの奴らがこれから、少しずつ今までより弱っちまったあたしのことをバカにしはじめて、少しずつ影が薄くなってゆくことを思うと気が狂いそうだ」

  • 破天荒で男勝りな口調の病弱な美少女・つぐみが主人公の話です。
    つぐみの自己中心的とも言える騒動に周りは巻き込まれるのですがいい人ばかりです。

    ストーリー全体も特別な何かがあるわけでもないんですが甘酸っぱいような切ないような不思議なものばかり。
    でも最後はつぐみは本当に死んじゃうのかと思って焦りました(笑)

    私も何もない海の町に旅行に行きたくなりました。

  • よしもとばななさんの著書の中では、好きです。

  • 西伊豆土肥が舞台と聞いて、一気読み。
    秋になった季節の描写が秀逸。
    映画は、同じ西伊豆の松崎町が舞台とのこと。
    映画も見てみたくなった。

  • 読んだのはもう随分と昔で、内容を覚えてないので、評価はなしで。また、読んでみたいと思います。

    確か、牧瀬里穂さんが主演で、映画になりましたよね?

  • 内容
    病弱で生意気な美少女つぐみ。彼女と育った海辺の小さな町へ帰省した夏、まだ淡い夜のはじまりに、つぐみと私まりあは、ふるさとの最後のひと夏をともにする少年恭一に出会った―。少女から大人へと移りゆく季節の、二度とかえらないきらめきを描く、切なく透明な物語。第2回山本周五郎賞受賞。

    96年のセンター入試にも使われた作品で、後の展開が気になった方もいたのでは…という文章を見かけたが、私自身問題は解いたはずなのに全く覚えていない…。何気によしもとばなな作品は初めてかもしれない…。『キッチン』すら読んだかなぁ?な記憶だし。
    つぐみの憎まれ口と万年反抗期な態度にはじめは面食らったが、読み進めるうちに「ああ、いまこんな憎まれ口を叩いているけど、つぐみはほんとはこんなことを考えているのかなぁ」と考えたり。
    なかなか言動と内申が一致しないつぐみと、少しばかり老成した考えの恭一のカップルは互いにしっくりきている感じが文面から伝わってきて、読んでいて楽しかった。

  •  「確かにつぐみは、いやな女の子だった。」

     この書き出し、いいなあ。そのいやな女の子で、これだけ切ないお話ができるとは、驚きです。

     私は男ですが、つぐみのシンの強さに憧れます。

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著者プロフィール

吉本ばなな(本名:吉本 真秀子 よしもと まほこ、旧筆名:よしもと ばなな)
1964年、東京都生まれの作家。日本大学芸術学部文芸学科卒業。卒業制作の「ムーンライト・シャドウ」が日大芸術学部長賞を受賞。また「キッチン」で第6回海燕新人文学賞を受賞、デビュー作となる。
1989年『TUGUMI』で山本周五郎賞を受賞。1996年イタリアのフェンディッシメ文学賞(35歳以下部門)、1999年イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門を受賞。2000年『不倫と南米』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。その他代表作に、映画化された『アルゼンチンババア』などがある。
海外での評価が高く、著作が多くの国で翻訳されてきた。

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