TUGUMI(つぐみ)

著者 :
  • 中央公論新社
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レビュー : 151
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120017759

作品紹介・あらすじ

二度とかえらない少女たちの輝かしい季節。光みちた夏の恋の物語。

感想・レビュー・書評

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  • ずっと、テレビドラマ「つぐみへ…〜小さな命を忘れない〜」の原作だと思いこんでた。数行読んで、違うじゃん、と。

  • まりあのいとこ、つぐみは体が弱くてわがまま。つぐみの家族は彼女をいたわるあまり、彼女の乱暴な言動にも寛容。まりあもつぐみを大切に想っている。みんな、つぐみのやさしさを知っている。
    東京の大学に進学したまりあは夏休みのあいだ、つぐみのいる海辺の町に帰ってきた。
    彼女たちの夏。つぐみの恋。想像を超えた行動力。

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    最初からまりあがつぐみの思い出を語る感じで始まったから、これはつぐみが亡くなっちゃうラストなのかなと思いながら読んだ。死ななくて本当によかった。
    病弱なのをいいことに暴言吐きまくりのつぐみが、時折見せるやさしさはあまりにも価値のあるものに思えたし、死を意識した彼女の人生観はとても卓越していて、神秘的な存在に感じた。

    恋人である恭一の愛犬、権五郎の仇を打つためにとんでもない深さの落とし穴を掘り、くだらないガキを殺そうとするつぐみの力強さは異常だった。その後、生死を彷徨ってしまう彼女は儚すぎて、なんていうかとても魅力的だった。こういうふうに自分の良い感情にもわるい感情にも正直に行動できたら、たとえ人生が短かったとしてもそれは素晴らしい人生なんじゃないかと思う。

    父親の外向きの顔を見て、人生は演技だと思えるまりあの素敵だった。感受性が強いからつぐみの暴言の裏側の感情も読み取れたのかな。いいなあ、そういう関係。

    死を受け入れたつぐみからの手紙で締めくくる終わり方がすごくよかった。死を超えたつぐみはやさしくなっていくような感じがした。
    旅館を畳んだりして変わることもあるけれど、毎日の生活はこれからも続いてく。明日からも自分の人生を生きていく、ということはポジティブなことなんだな。
    死を想わなければ、生活が続くことの大切には気づけない。

  • 「この夏は楽しくて、一瞬だったような、すごく長かったような、不思議な気がする」
    そんな夏がかつてあった。強烈に心に刻まれる、忘れられない夏が。

    学校へ行ったり就職したり、結婚したり子供を産んだり。
    人は変化の激しい社会の只中で、前へ前へと進んでいく。
    それでもふと立ち止まり、秘かに心の奥の引き出しに留めておいたものをそっと取り出しては眺めたい時もある。
    人には言わないけれど独り微笑む、そんな一瞬が。

    ひと夏の恋はやはり切ない。
    けれど、渇いた心を潤すエッセンスは大人になればなるほど必要。

    何十年ぶりに再読。
    読んでいると、ユーミンの「Hello, my friend」が何度も脳内で繰り返される。
    あー、今年の夏ももう終わっちゃう。

  • 久々に読んだ。初めて読んだ高校生の頃と変わらない輝きがある。

    海辺の町を舞台にして、夏に必要なものがすべてそろった最高の一冊だった。

    作者の文章が淡くキラキラしてて本当にこの物語にマッチしている気がする。
    妙に淡々としている展開も好ましい。

    これは自分の中でも特別な本。

  • 「キッチン」に続いて読んだけど感覚的にはこちらが好きかなぁ。若い頃にこんなホットな一頁を持つ人は幸いだよね♪ 語り部役のマリアをはじめ従姉妹の つぐみと陽子もなんて印象的な連中だろう。とりわけ つぐみの言動は魅力的過ぎる!吉本ばなな と言えば この2作に代表されるけど、今読んでも鮮度十分な刺激的な面白さです(^^)

  • [展示]平成のベストセラー本特集:1989(平成元)年ベストセラー1位(日本著者販促センター調べ)

  • つぐみは言葉遣いも良くないし、何でも思ったことをズケズケ言うし、周りをハラハラ心配させたりするけれど、どこか憎めないし、自分に正直に生きていて魅力的。最後につぐみがまりあ宛てに手紙を書いて送ったところがつぐみらしくて笑えました。よっぽど切羽詰まっていたんだなぁと…。

  • 面白かった。女子大学生が、育った地へ帰省して従姉妹と過ごす夏のお話。犬は死んでしまったけれど、特に何かが起きるわけではない。けど、何も起きない日常に、なんか涙が出そうになる。とても美しい小説です。

  • 誰しもが心に持っているだろう一夏のふわっとしたセンチメンタルな風景画。
    美しくも儚く、粗暴なツグミという矛盾。
    そして
    そっと主人公の心に刻み込まれるキラキラとした夏の情景。

    これを吉本ばなな特有のシャッターを通して見る。

    雪国とはまた違う、美しいと表現するのもまた違う、儚く淡くノスタルジックな小説であった。

    同じ景色をこう表現するのか。
    表現がみずみずしい。少し過度にも感じたが。
    言葉の表現の幅について今一度考えた。

    小説の終焉部の
    夜の海に立っていた恭一がどれほどつぐみを好きかということも、陽子ちゃんの涙の重さも、それは伝えられない大切な心の宝なのだから。
    そうやって、私の、夏は、終わりを告げた。

    に全部もってかれた。
    鳥肌が立つ。
    句読点の打ち方にじんわりとそっとしまう心の扉の音がきこえてくるようだ。

  • 海辺にある山本旅館の次女「つぐみ」は、幼い頃から病弱なためにわがままに育つ。つぐみと同い年で旅館の女将の姪にあたる「まりあ」は、小さい頃からつぐみと一緒に育ち、つぐみの壊れそうにみえて実は強烈に強い心を誰よりも知っている。▼物語そのものにはそれほど惹かれなかった。現実離れしているところが多い。しかしつぐみを中心に、二十歳前の女性たちの心情が生き生きと描かれている。病弱な傷んだ心をもつつぐみが、強く真っ直ぐ、弱みを見せずに生きるのも潔い。

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著者プロフィール

吉本ばなな(本名:吉本 真秀子 よしもと まほこ、旧筆名:よしもと ばなな)
1964年、東京都生まれの作家。日本大学芸術学部文芸学科卒業。卒業制作の「ムーンライト・シャドウ」が日大芸術学部長賞を受賞。また「キッチン」で第6回海燕新人文学賞を受賞、デビュー作となる。
1989年『TUGUMI』で山本周五郎賞を受賞。1996年イタリアのフェンディッシメ文学賞(35歳以下部門)、1999年イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門を受賞。2000年『不倫と南米』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。その他代表作に、映画化された『アルゼンチンババア』などがある。
海外での評価が高く、著作が多くの国で翻訳されてきた。

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