嗤う伊右衛門

著者 : 京極夏彦
  • 中央公論社 (1997年6月発売)
3.82
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  • Amazon.co.jp ・本 (385ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120026898

作品紹介

幽晦との境界が-破れている内部の薄明が昏黒に洩れているならばそこから夜が染みて来る。鬼才が挑む悪の華「四谷怪談」。

嗤う伊右衛門の感想・レビュー・書評

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  • 京極夏彦による小説『嗤う伊右衛門』も恋愛小説なのかもしれない。
    しかし、巷間に流布する所謂恋愛の概念から逸脱した、生々しい愛の現実界を描いた作品だ。それは愛かもしれないが、恋ではありえない。それはもはや恋愛という言葉で表現することさえ不適切であるとも思える形態の男女関係であり、狂気といっても過言ではないものである。

    二人の関係は、一言では理解しがたいものだ。
    忠義なのか、愛情なのか、狂気なのか。
    わからない。

    だが、己の内奥に訴えかける何かが確かに感じられる。

    最後の最後まで、二人はお互いに、理解し合うことがなかった。
    お互いはお互いに幻想というフィルターを通して相手の虚像を見て、それとの関係で全てが完結してしまう。
    まるでラカンのあの言葉―「性的関係は存在しない」―を思い起こさせるようだ。

    二人は、死という虚無の中で漸く結ばれたようにも読める。
    然し、天国で結ばれただとかいう考えは斥けなければ成らない。
    これは、京極夏彦の作品なのだ。
    あの世は存在しない。
    最後の最後まで、二人の間には男女関係が存在しないのだ。

    故に、これは恋愛小説でありながら、恋愛小説ではない。
    成る程確かに愛の物語ではあるのだが、二人は決して結ばれず、気持ちさえも通じ合わない。むしろ、お互いはお互いに憎み合っているとさえ思っているのではないか。
    だから、これは最広義の意味では恋愛小説なのかもしれないが、些か歪な愛であり、俗に言う恋愛小説とは全く異なるものだ。
    しかし、それでもこれは愛のあり方や、人間の生について深く考えさせられるものがある。
    「恋って素晴らしいわ~~」とポワ~っとなるのではなく、人生の無常さや、人間の孤独さを考えさせれるのだ。

    兎も角も、傑作であることは確かで、もう一度読み返したいと思った作品である。

  • かの有名な四谷怪談の京極版。とにかく岩と伊右衛門の2人の気持ち、思いやり全てがすれ違ってしまうのが切ない。登場人物全てが少しずつボタンを掛け違い、最悪の方向へ転げて行く様がまた悲しい。完全な闇ではない、蚊帳の向こうのうすぼんやりした雰囲気が全てを包み込んでいる感じでした。

  • なかなかとっつきにくかったが、読み進むうちにツボに入る。切ない。途中、他の本を挟まず、ひと息に読むべきだった。

  • 京極夏彦が四谷怪談を書くとこうなるんだーと感心させられます。とても美しいお話になっていました。登場人物がそれぞれちょっとずつ不器用で、切ないです。最後はウルっとします。

  • お岩を薬害被害者として、四谷怪談を合理的に解釈している。お岩は究極のツンデレである。しかし、デレの部分をほとんど描いていないので、なぜ彼女を中心に世界が回るのか,若干分かりにくい。とは言え、蘊蓄を封印した京極夏彦の文章は、やはり素晴らしい。

  • 京極東海道四ツ谷怪談。人間のこわさにぞくり

  • 最高。

  • 出てくる登場人物が全員好きになれた。
    最後に謎だった部分が一気に開閉されるところが、ゾクゾクした。
    二人の最後のシーンが映像としてずっと心地よい記憶として残っている。

  • 京極夏彦が新たに創作した四谷怪談。もう怪談とは言えないないが、伊右衛門、お岩さんとも魅力的な存在に描かれた秀作。

  • おもしろかったが、なんかすっきりしなかった。

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