架空の王国

著者 :
  • 中央公論社
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感想 : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120027253

感想・レビュー・書評

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  • トゥーリエ教授に師事するため,瑠花はフランスの近くにある
    ボーヴァル王国のサンルイ大学に着いたが,
    会う寸前にトゥーリエ教授が死んでしまう。
    教授の死の真相を調べるうちに,この特殊な小国の秘密にまで行きつく。

    やたら細かい設定で,前半は読むのが辛いが,ストーリーそのものは
    複雑ではなく,慣れてくると外国の難しい名作映画ぐらいには楽しめる。

  • ヨーロッパの小国ボーヴォルは、フランスの保護下にありながら、中世から独立の王国として、王政を続けてきた。
    後継ぎがいない場合、フランスの統治下にされるが、「フィリップ・オーギュストの特許状」により、聖別された者であれば、誰にでも王位を継承させることができ、そうしてボーヴォルは維持されてきた。

    トゥーリエ教授のもとで、17世紀の古文書戦争の研究をするため、ボーヴォル王国・王立サンルイ大学に入学した瑠花。
    しかし瑠花が研究室に訪れたその日、トゥーリエ教授は大学図書館の聖母像の前で、心臓発作により死亡する。

    瑠花は、助教授であり、ボーヴァル王国の王太子フランソワ・ルメイエールと、トゥーリエ教授が遺した謎の言葉の真意と、試験問題といっしょにトーゥリエ教授から託された「ゼッカーソン文書28番」をめぐる謎を追ううち、王国の秘密に近づいていく。

    ファンタジーかと思ったら、ミステリーだった。
    人間関係や歴史関係がややこしく、難しい。
    瑠花の心理が淡々とつづられていたからか、私としたことが(?)、二人のラブに気づかず、二人が手と手をとりあうのでびっくりした。

    架空の王国なのに、細部まで作りこまれていて、ボーヴォルのある世界観が確立されている。

    図書館の描写がすばらしく(これは実際にあるパリの国立図書館をモデルにしているとか。)、本の匂いがしてきそうな。

    またゆっくり読んでみたい本。

  • 過去に読んだ本。

    図書館が舞台だったりして、とても面白く読んだ。

    こういう物語、好きだ~。

  • 2008/3/23

  • フランス東部の小王国、ボーヴァル王国のサンルイ大学に留学した瑠花が入学試験問題を受け取るための初登校で直面したのは、指導教官となるはずだった教授の変死事件。
    教授が研究中だった謎の古文書を巡り、聖別式を控えた王太子や英国貴族、コシップ新聞の記者や宮内省の役人が繰り広げる争奪戦に、瑠花も巻き込まれていく。

    フランスに寄りかかるようにして微妙な勢力関係を保ち、王政を守りながら主権を維持してきたおとぎ話のような小さな王国。
    しかし、おとぎ話でなくこの現代に小国を維持していくには、夢や王さまの威光などといったお題目の裏に確たるものが必要だった・・・

    全体的にストイックな研究者風の主人公。どんな子なのかもうちょい掘り下げてほしかった。
    中世の建物そのまま利用の大学図書館萌え。

  • 小さな日本の女の子の瑠花。その実態は東京の超一流大学を一年で退学し、サンルイ大学へやって来たツワモノ。<br>
    史学の助教授で王位継承権を持ってしまったフランソワ・ルメイエール。<br>
    2人の会話が楽しい。そしてその後が気になる。

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著者プロフィール

1966年茨城県生まれ。茨城大学卒業。
お茶の水女子大学人文科学研究科修士課程修了。
1995年、第6回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作『ムジカ・マキーナ』でデビュー。著書に『アイオーン』、『赤い星』など。編書に『時間はだれも待ってくれない 21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集』(東京創元社)がある。2012年、『カラマーゾフの妹』で第58回江戸川乱歩賞を受賞。ほかの著書に『翼竜館の宝石商人』などがある。

「2022年 『大天使はミモザの香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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