犬の人生

  • 中央公論新社
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本棚登録 : 109
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120028441

作品紹介・あらすじ

村上春樹が新たに見出した、アメリカ現代詩界を代表する詩人の異色の処女短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 村上春樹の翻訳は読みやすい。難解な訳本は、
    嫌になるけど、、、、。
    やはり、ファンタジーだけど、彼女の作品の
    中にスーッと入り込めた。
    村上春樹いわく、インテリジェントで、優しく、そして夜の闇のように深い、奇妙な味の短編集。

  • 村上春樹があとがきにも書いているように、内容がよく分からないながらも詩的なイメージが立ち上がってくる面白さはある。
    とはいえ、分からなすぎるものよりもほどほどに分かる話の方が良かった。「更なる人生を」、「水の底で」、「ザダール」、「ケパロス」、「殺人詩人」あたり。

    ## 更なる人生を
    うだつの上がらなかった父親に対する温かい視線が感じられた。彼女の中にまで父親の魂が入っていると考えるのは流石に異常かと思ったが、それに対する彼女の反応もやさしくてよい。不思議な設定なのに心が温まるというギャップがよかった。

    ## 真実の愛
    自意識過剰で誰にも相手にされない男の空虚な一人語り。本人は「真実の愛」と言っているが、内実は真逆に見える。

    ## 小さな赤ん坊
    何だこれは。tiny babyとは何かの暗喩なのか?歌っている歌の中の情景を描いているようなラストが特に分からない。

    ## 大統領の辞任
    気象マニアの大統領がいたら辞任の演説はこんな感じになるのかなという話。訳がわからないし、困るよね。

    ## 水の底で
    死にゆく人の途切れがちな意識の中の断片的な回想かな。ラストの一文から、もしかしたら昏睡状態から覚醒するところかもしれない。悲しくも温かいイメージ。

    ## 犬の人生
    本当に犬であった訳はないので、妻は夫の心のなにがしかの状態の露呈と捉えるのかな。それが何なのかよく分からないが、妻の心が広そうでよかった。

    ## 二つの物語
    女が飼っている馬が男の車に撥ねられる物話と、ビルの屋上から飛び降りようとしている女を男が思いとどまらせようとするが結局飛び降りてしまう物語。郊外では馬が死に、男と女と車が残る。都会では女が死に、男とビルが残る。まったく分からない。

    ## 将軍
    戦果を上げたいがまともに戦わせてくれない国のために、将軍はやけになっているようだ。

    ## ベイビー夫妻
    何のことやら分からなすぎて辛い。

    ## ウーリー
    ウーリーという男の話だが、実質的にまったく何も書かれていないように見える。

    ## ザダール
    このぐらいプロットがはっきりしてるとほっとする。一人ぼっちの旅でパニックになり、女のしぐさを勘違いして抜き差しならない状況になってしまった。これが最後の旅となった。

    ## ケパロス
    ケパロスとって辛いことばかりだが、彼は何も悪いことはしていないし、神々のいたずらとしか思えない。ギリシア悲劇風なのにエアコンとか出てくるのが不思議。

    ## ドロゴ
    ドロゴって何なんだ。人のようだけど、人っぽさが感じられない。

    ## 殺人詩人
    恍惚とした殺人シーンが恐ろしくも美しい。
    「つまり私は自分が犯すどのような罪に対しても既に対価を払っていると感じさせられていたわけだから、そういう意味では父は自らの死に関してはいわば共謀者であるのだと。」という文章は怖い。これが世の中に報復するタイプの犯罪者の心理状態なのかな。

  • 「おはなし」として読むにはあまりにとりとめがなさすぎて、最初の2〜3話は戸惑った…けど。
    あまりによくわからんかったから、「ああこれはひとまず頭をからっぽにして、イメージを楽しんでみよう」と読み方を定めてからは、楽しく読めた。生き生きした(時には悪ふざけとも思える)ことばが紡ぐものは、訳者のことばを借りれば〈きわめて自発的なイメージの羅列〉、Amazonレビューのことばを借りれば〈ふわふわした透明な夢〉…うん、まあ、よくわかんないけど、そんな感じの一冊でした。
    表題作『犬の人生』と『二つの物語』が印象的でした。

  • 消化不良のまま読了。最後の「殺人詩人」は良かったけど、後の作品はぼんやり輝きが見えそうで、でも理解不能。シュールと言うよりも異質。

  • 詩人として有名な著者による、繊細にしてとりとめのないイメージの処女短編集。

    何が書いてあるのかさっぱり、というのが正直な印象だった。ナイーブすぎて、私にはついていけない。
    文庫で手に取ったなら、表紙裏のあらすじで読む前に自分向きではないと気づいたのかもしれないが、単行本のほうで手に取ってしまったので、「おかしいな?」と思いつつ、いつまでも「いつかわかる話があるかも」と期待したまま読んだので、大変辛かった。

    大体この本を手に取ったきっかけというのが、大学の図書新聞で「あなたは犬派? それとも猫派?」という特集を書いた直後だったから、なのである。
    要するにタイミングのなした偶然で、読んですぐの私の感想というのが、「犬に全然関係なかった」であった。うーん。これまた運の悪いことに、私は小山清の「犬の生活」という短編が大好きで、なんとなくこの本とタイトルが似てたから、それに似たものをこの本にも期待して読み始めてしまったんだよな。完全な勘違いだったわけだけど。

    というわけで、たぶんこれは、私が読む本ではなかったのだろう。一度読み始めたら最後まで読む主義なので、全然好みじゃないのに全部読んでしまい、全体の評価を下げてしまったことが、ちょっと申し訳ない。

  • 読み終わって「わけわからん」と呟きつつも、あとがきを読んだら色んな人が同じようなこと言ってるので、これはこれで良いらしい(笑)

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