海泡

著者 :
  • 中央公論新社
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120031526

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  • 大学生の木村洋介は夏休みに父の住む小笠原の父島に帰ってくる。
     そこには中学、高校をともに過ごした仲間と、その仲間のひとり、丸山翔子がいる。洋介から一年遅れて、この島に来た彼女は、誰もが一目おく美人だった。その彼女が病に侵されて、死に掛けている。
     元村長の娘で、同級生の一宮和希が崖から落ちて死ぬという事件がおこり、その犯人とみられ、彼女を追って島に来たストーカーと見られている男が彼女の墓場で殺される。そして、そのあとに翔子も命を尽きる。
     翔子は、和希の事件をベッドのなかから、丸山一族の財力と権力を使って追っていた。

     地元民である島の同級生、漁師の浩司、旅館の娘、旬子との友情、東京で精神をきたし、丸山を救う「グリーンペペ」という新薬を作るという藤井、この島に住みついている画家である父親、そのモデルの雪子、飲み屋「トムズハウス」のマスター、バイトの可保里、和希の妹の夏希、など、それぞれが絡み合い、洋介の夏休みが過ぎていく。

     実は洋介が島に戻ってきたのは、洋介の恋人が自殺未遂をしていることが、翔子の調査で明らかにされている。
     和希は妊娠していたので、この胎児の死も合わせると、洋介は短時間に多くの死と向き合っている。
     それでなのか、とにかく20歳にしてはとても老獪で不思議な感じがする。

     が、その不思議な洋介と父島の風土と仲間の話は、もっと読みたいと思った。リズム感がいい。

  • タイトルが秀逸。
    人口二千人の小笠原諸島・父島。
    人の生き死には海の泡。

  • 図書館の本

    内容(「BOOK」データベースより)
    小笠原諸島・父島―人口二千人の洋上の楽園に、殺人事件は似合わない。「亜熱帯の東京」で連続殺人!?書き下ろし長篇ミステリー。

    小笠原 というより地方の村の中の不思議さがとってもよく書かれていたミステリー。
    人間関係が読めてしまうというのは一種の才能か?
    気がつくと眠っているような亜熱帯の風を感じられたミステリーでした。

  • 2009/04/26

    再読

  • 小笠原 という 東京都でありながら 船で二十六時間も隔てられている いわば閉ざされた空間。
    いつも通りののんびりとした亜熱帯の風景、代わり映えのしない日常、不自由さ。
    その中に外から持ち込まれた厄介事。
    言ってしまえばそんな話なのだが それだけではない。

    閉ざされた世界には 閉ざされているが故に抱える 憂鬱さがあり 諦めがある。
    島の風景描写が語る 長閑さと倦怠と退廃、そして たくましさは 魅力に富んでいる。

    目新しくはない事件が この島ならではのスパイスで 一風変わった風味になっている。

    樋口有介氏には 一作読むごとに 惹かれてきている。

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著者プロフィール

一九五〇年、群馬県前橋市生まれ。八八年に『ぼくと、ぼくらの夏』で第六回サントリーミステリー大賞読者賞を受賞。次作『風少女』が直木賞候補となる。主な著書に『彼女はたぶん魔法を使う』にはじまる〈柚木草平シリーズ〉、『猿の悲しみ』『遠い国からきた少年』の〈風町サエシリーズ〉、時代小説『船宿たき川捕物暦』のほか、『ピース』『金魚鉢の夏』『風景を見る犬』『あなたの隣にいる孤独』『平凡な革命家の食卓』などがある。

「2018年 『亀と観覧車』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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