iモード社会のわれとわれわれ: 情報倫理学の試み (中公叢書)

著者 :
  • 中央公論新社
3.17
  • (1)
  • (0)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 10
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120032578

作品紹介・あらすじ

ケータイで連絡するのが「われ」、ケータイ仲間が「われわれ」、それ以外のすべての人は「かれら」…。情報の氾濫に比例して、内的世界が狭窄化する現代、既存のアイデンティティとコミュニケーション、人と社会の関係はどう変わるのか。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • i-modeももはや歴史的遺産になってきたようだ。
    しかしi-modeが登場したことによって日本のモバイル、携帯は変わった。その文化は現在iPhone、スマホになって世界中に浸透している。感慨深い。

  • 情報社会の倫理的問題について論じた本です。

    著者は、自立した個人を「大文字のI」、自立した個人から成る公共性を「大文字のWe」と表現します。そこには、自立した個人が互いに相手を「なんじ」(Thou)として尊重するという倫理性が成り立っています。

    ところが、インターネットに象徴されるお手軽な人間関係は、IとWeのような成熟した関係ではなく、小さな自己主張に余念のない「小文字のi」と、なれあいでしかない「小文字のwe」の関係にすぎません。しかも、そうしたもたれあいの人間関係の外にいる老人や外国人は、「無関心な他人」(they)でしかなく、そこに倫理性は認められないと著者はいいます。

    「われ」と「われわれ」の関係は、I-We関係からi-we関係に、「われ」と「なんじ」の関係は、I-Thou関係からi-they関係に頽落してしまっているというのが、本書の基本的な主張となっています。

    この主張自体はそれなりに興味深いのですが、じっさいの考察は説教オヤジの繰り言めいていて、少し期待外れでした。

  •  なかなか示唆に富む一冊であった。現代人の抱えるメンタリティの脆弱性を見事に論じていると思う。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

1936年神戸生まれ。国際基督教大学教養学部、東京大学大学院を経て、Yale大学大学院修了。キルケゴール研究によりPh.D(哲学博士)取得。
青山学院大学名誉教授、専門分野:倫理学、情報倫理学、生命倫理学
著書:『情況倫理の可能性』中公叢書、『倫理思想:あたりまえの再定義』以文社、『ファンタジーの発想』新潮選書、『ビューティフル・デス:有終の倫理学』中公叢書、『iモード社会の〈われとわれわれ〉』中公叢書、『あかさたなⅠ:哲学的散文詩』以文社、等。

「2006年 『あなたはひとりではない あかさたなⅡ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小原信の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×