光ってみえるもの、あれは

著者 :
  • 中央公論新社
3.28
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本棚登録 : 498
感想 : 94
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120034428

作品紹介・あらすじ

ああ、やっぱり僕は早く大人になりたい-友がいて、恋人がいて「ふつう」からちょっぴりはみ出した家族がいて…生きることへの小さな違和感を抱えた江戸翠、16歳の夏。みずみずしい"家族小説"の誕生。

感想・レビュー・書評

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  • やっぱりこの人の書く文章の微妙な間が好き!
    「しみしみしてくる」とか独特の表現があったり、少し間のあく登場人物同士の会話や話のとび方などなど。
    読んでて癒される文章です。
    山に野宿して夜空を見上げたときに翠が言ったことばは胸にしんと響いた。
    「銀河だな、ほんとに」

  • これでよろしくて?の会話がおもしろくて川上弘美をしばらく読もうと思った。

    で、次に手にしたのがこの「光って見えるもの、あれは」という本。

    最初の章を読んだだけで違和感。「あ。これダメかも。私の趣味じゃない」と感じた。

    登場人物に感情移入できない。共感できない。親しみも沸かない。

    なのに、彼らの下(シモ)事情を読まされるのって、苦痛。

    どうでもいいし。君らに興味ないし。だからそんなに語らないでくれ。と思いながら、だらだら3章分読んだ。

    だいたい主人公が優柔不断な中学生(高校生?それにしては、幼い)。

    エヴァンゲリオンの主人公みたい(私が大っ嫌いなタイプ)。

    だめ、もう無理。挫折。

    ここまで2014-05-08

    でも、結局読了した。2014-05-13。

    他に読む適当な本が手元になかったので。


    評価は変わらず。私の趣味に合わないので、二度と読まないだろう。

    「舫う」という言葉が出てきて、違和感を感じた。これが高校生が使うことばだろうか。

    だいたいにおいて、この本の主人公は語彙が豊富で、鼻持ちならない。高校生らしくない。要は、嫌いだ、私は。

    この漢字の読みは「もやう」でいいのかな。図書館の本なのに、「舫」の横に傍線が引いてあった。215ページ。私の他にも、この字に違和感を感じた人がいたのかな。単に読めなかったからあとで調べようとしただけかな。


    花田がインポだと告白したあたりから、「お、これは私の好きなBL展開がくるか?」とちょっと期待したが、三浦しをんならあるかもしれないが、川上弘美でそれはなかった。あるわけがない。

    というわけで、川上弘美、もう読まない。詩は苦手なんだよ。おもしろくない。

  • 男子高校生の翠は、母と祖母と三人で暮らしている。
    時折ふらりと家にやって来る大鳥さんは、遺伝子上の父親らしい。
    彼女の平山水絵、友人の花田と関わりながら、翠は自分の在り方を見つけていく。

  • 副題「男子高校生・翠くんの成長記録」という感じ。

  • あー、川上弘美さん好き。
    ほろ苦いような、でも柔らかいような、そんなの。
    そして翠くんが好きだな。
    中性的な名前の子、好き。
    まわりに振り回されて、ああでもないこうでもないって様子が、可愛い。

  • あー、高校生だなーて、思った。

  • ☆3.8
    江戸翠、16歳男子。母と、おばあちゃんと、大鳥さん。突然セーラー服を着始めた男友達(女子の制服ですらない。翠の高校はブレザー派)。
    いつだって「ふつう」なのに、なんだか不自由なのはどうしてだろう。

    「なぜおんなのこはダイエットするのかな」
    「ダイエットしてる自分が好きだからよ」←納得した

  • 祖母の匡子さん。
    母の愛子さん。同居も籍も入れていない父、大鳥さん。
    恋人の平山水絵、親友の花田。
    僕、江戸翠。

    特にたいして何があるというわけでもない日常で、ふと思うことあり。

    前半はのっぺり。
    翠と花田が長崎に行く後半からゆらりと物語が展開。

    家族という一見堅苦しい枠にとらわれないけれど、絆は深い家族は、そうそういないのではないかな。
    翠みたいな男の子はきっといると思うw

    個人的には国語教師キタガーくんがいいかなあ。
    のんびりした長編)^o^(

  • 主人公の翠(みどり)くんと母、祖母の三人家族に、高校生の友人、遺伝子上の父親・大鳥さん、彼女の平山水絵が織り成す物語。ふわっとした感じの展開ながらも、登場人物の魅力に引き付けられて飽きさせない。

  • 「なんかこう、溶けこんじゃってる感じで」
    ラーメンの玉をほぐしながら大鍋に放りこんでいる店の主人の手元を眺めながら、花田は言った。
    「ラーメンの玉が?」
    「違うって。俺が」
    「花田が?ラーメンの汁に?」
    「違うって」
    「じゃ、何に」
    「だから、俺が、この世界、みたいなものに」
    花田はどうやらさきほどの話の続きをしているらしかった。



    「翠がそれほどわたしのこと好きじゃなくても、好きだよ」
    う、うん。
    「翠、もしかしてほかの女の子が好きなんじゃないの」
    なぜそんなふうに飛躍するんだ、と僕は頭をかかえた。
    僕はただ平山水絵が小さな魚みたいであることがうれいしのだ。理由など何もなく、平山水絵が好ましいのだ。でも、そのことを平山水絵に伝えようとしたとたんに、僕の気持ちはもやもやと灰色に漂いだす。
    天井を僕は見上げた。確かなことを言おうとするほど、確かなことが言えなくなる。それを平山水絵に伝えようとすると、ますます不確かな感じになってくる。



    「一個半個というのは、もともと禅かなにかの言葉らしいのだが、まあこの句の場合は、少数のもの、というくらいの意味だと、わたくしは思う」キタガーくんは、ゆっくりと続けた。
    冬の雲が、ほんのぽっちり、空に浮かんでいる。一個が、半分にちぎれて二個になったのかもしれない。一個ぶんあったものが縮み、半個ぶんの大きさになったのかも、しれない。さみしい風景だな。でも、きっぱりとした光景でもある。きっぱりとしたものは、なぜかみな、さみしい。
    キタガーくんは説明する。時おりは花田をじっと見つめ、あとはうしろの掲示板のあたりを、放心したように眺めながら。

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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