ナ・バ・テア

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120035418

感想・レビュー・書評

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  • 飛行機で空を飛ぶ。コンバットフライト。
    自分にできないことを疑似体験させてもらえた。
    虚無的で絶望した子たちのありようが、ただなんでもない大人の自分には少ししんどかった。

  • スカイクロラ シリーズを読むのは2作目。スカイクロラが最後の物語で、時間軸は逆に遡ります。ナ・バ・テアではクサナギスイトが散香のパイロットとして登場。クサナギとティーチャーの始まりの物語が展開されていく。

    短いセンテンスの連続で表現された飛行は、重力から解放され、紙面の中を右に左に旋回、フルスロットルで上昇、失速してストール、想像の空を飛びまわります。

    スカイクロラのクサナギと同じように、冷たく機械的に戦闘が進んでいく。パイロットを職業とし空を飛んでいるときだけが自分の全て。確実に生きて地上に戻って来たとき、心は次の飛行を求めている。

     体が軽いと感じる
     この軽さが、僕の全て
     愛するために生まれてきたのではない
     愛されるために生まれてきたのでもない
     ただ、軽く……
     飛ぶために、生まれてきたのだ

    不思議な感覚の残る作品です。

  • 面白い。最初は退屈でだらだらと読んでいたけど、ヒガサワが出てきたあたりからぐんと引き込まれて、最後の数十ページは一気に読んだ。スカイ・クロラよりも血が通っていて生々しい。視点が視点だからか背景にずっと青空が見えていた気がする。私は出版順で読んだけど、時系列順に読んでいったほうが楽しめるかもしれない。

  • 「この軽さが僕のすべて」
    草薙水素…。
    エピローグが美しかった

  • スカイクロラシリーズを刊行順に読んでいます。
    その中でも2作目となるこの作品。
    1作目のスカイ・クロラと同様に空と地上を行き来する心の動きが手に取るように分かるような表現が明瞭で戦闘シーンもついつい肩に力が入ってしまいます。

    また、その中で人生とは何か考えさせられる場面も多くて度々ハッとさせられました。

    刊行順に読むと謎解きのようで面白いですね。

    あー、また飛行機に乗りたーい

  • 『スカイ・クロラ』シリーズの刊行2作目。

    『スカイ・クロラ』で重要な役割を担っていた「草薙水素」が主人公。『スカイ・クロラ』の10年くらい前の物語でしょうか。主人公の一人称が「僕」なので、『スカイ・クロラ』のカンナミだと思ってよんでたんですが、あれ?女性?ということで、すっかり騙されました。

    相変わらずの透明感。踊るような戦闘シーン。余計な情報が極力入らないように構成された文章。淡々と流れる世界に、今回も引き込まれました。

  • 『スカイクロラ』はなんだかよくわからないまま読了したけど、これは読みやすかった。クサナギにはこんな過去があったのね…。突き放すような淡々とした冷たい文章が結構好き。『スカイクロラ』シリーズ全部読破しようと決心。2011/213

  • 身体が加速を覚えている。
    目が軌跡を辿っている。
    指が瞬間を知っている。
    腕は離反を待っている。
    愛するためでもなく、愛されるためでもなく。
    ただ空を飛ぶために、僕は生まれてきた。

    ──そこでなら、笑うこともできる。

    地上で生きていくものに変わってゆく予感を孕みながらも、空の底、雲の上を求め続ける永遠の子供は息を止める一瞬に何を見るのか──。


    『スカイ・クロラ』の前日談となるシリーズ第2弾。
    草薙水素がメイン。彼女には、ほんの少し濁りのある空がよく似合う。

  • 空を、飛ぶことを誰よりも愛したクサナギの物語。一人称は「僕」。スカイ・クロラよりも、時系列でいえば前に位置する物語。
    女性という性別の差異のためか、スカイ・クロラに描かれていたカンナミとは見える世界や認識、事象の捉え方はまるで違う。死について、パイロットとして、という点は同じなのだけれど、物事を深く考え、クールな外観とは裏腹に、自分という存在の意義や概念を理解しようとする思考の深さやその時々に表れてしまう情緒のようなものが、世の哀れや物悲しさの真理を描いている。自分の上をいく、尊敬する人間との間に、不本意ながらに生まれてしまった新しい命や、その存在によって翻弄される自分自身。そして何よりも、『僕は空を見た。まだ少しだけ赤い。もう、半分は夜の色だ。』という一節。ヒサガワが死んで、僕が空を見上げた210pのこの描写が、この表紙の空を現す要素の一つなんだなと思った。
    夕焼けの表紙は、綺麗だけれどとても物悲しい。主人公のクサナギスイト自身や、彼女の思考や感受したものを表しているのかしら、とわたしは感じた。スカイ・クロラとは、また違った素敵な魅力のある本。

  • 個人的にスカイクロラシリーズの中で一番好きな作品。

    キルドレである草薙と、大人であるティーチャ。
    二人の目には、互いの姿がどぅ映っていたのだろうか。
    大人になるとは何か。
    生とは、死とは何だろうか。

    「気づいているか?
    大人になる、という意味は、
    死を意識して、臆病になる、
    たった、それだけの価値。」(2頁)

    エピローグでの再会に、私も思わず「やったぁ」と声を出して嬉しくなった。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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