- Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120035753
作品紹介・あらすじ
16世紀、繁栄を誇るオスマントルコ帝国に壮麗王スレイマン大帝のもと工兵から宮廷建築家へと昇りつめた男がいた-東西文明の混淆する地を舞台に描く渾身の歴史長篇。
感想・レビュー・書評
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オスマントルコとかオスマン帝国という言葉は世界史に出てきたので聞き覚えはあるものの、実はあまり良く知らないのでありました。分厚い愛蔵版で上下巻、でも夢枕獏さんの作品は会話が続くページは文字があるのはほぼ上半分くらいなのでサラッと読めてしまいました。史実に基づきながら、フィクションと著者の想像によって肉付けされた物語。要所要所で著者が時代背景や当時の常識などについて読み手を助ける解説を挟んでくれるところなど、まさに司馬遼太郎さんの歴史小説を読んでいるみたいでした。タイトルになっているシナン、というのは人物の名前で、もとはキリスト教徒だったけれどオスマンに徴用されるにあたりイスラムに改宗した建築家です。日本でいうところの室町から戦国時代に百歳の長寿を全うした人物。タイトルにもなっているしシナンの生涯を語った話なのですが、若いときから老成したような物静かで思慮深い人物で、ドラマはシナンに起こるというよりは周囲の人間たちに起こり、それをシナンは達観したようなところから冷静に見守っているような感じでした。スルタン・スレイマン、スレイマンの右腕のイブラヒム、イブラヒムの腹心でシナンの友人のハサン、スレイマンの愛妾から正妻になり生き残るためにイブラヒムの政敵となるロクセラーヌの人間くさい描かれ方とは一線を画しており、これは意図的にそうしたのかもしれません。半分くらいは人間ドラマなのですが、もう半分はそのドラマが起きている世界がどういう情勢でどことどこが対立していて、宗教地図としてはどうなっていて、イスラムから見たキリスト教世界と、キリスト教から見たイスラムの世界がどういう関係性なのか、という丁寧な解説になっていて、大変興味深かったです。ご本人によるあとがきも面白く、それによると完成に8年かかったという大作とのこと。期待通りに面白かったです。
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夢枕節の伝記。最初は伝記っぽいが最後の方は創作。それでいてノリは餓狼伝。建築の解説を期待していた私にはガッカリだった。
⚫️面白かった点
夢枕節。
⚫️気になった点
シナンの伝記なのに建築の解説が少ない。大きいのを立てたいだけって… -
トルコに行きたくなる。
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イスタンブールのモスクを建てた、シナンという男についての小説です。ミステリーあり、ロマンスありでとても面白いです。本の厚さはものすごいですが読み応えがあります。
【九州大学】ペンネーム:たまねぎ野郎 -
この間文庫を見かけて面白そうだったので
図書館で借りてみました。重宝しております、図書館様様。
トルコの青のモスクは行ったことがあります。
自分はイスラム教徒ではないので中に入れるは入れるのですが中心まではいけませんでした。モスクもしくはジャーミーと言うのかな?は本当に個人と神との対話する場所なので余分なものが一切ない。ただやっぱり観光客(自分も含む)や人が多くてシナンの言うところの完全の神は自分には悟れませんでした。
学問として宗教を学ぶのはとても好きです。色々とこの世の理を解明しようとしたひとつの理論として読み解いていくのも面白い。アメリカの大聖堂、パリのノートルダム寺院、日本の厳島神社。宗教の力ってすごいなあ、こんな立派な建物を建てさせてしまうんだ。そういう力につくづく感心するし、信仰心を利用した武力闘争なんてものはどうにかならんのかなあ、なんて思います。
まあ、宗教があるから対立している、と言う事もあるのでしょうけれども…
本に関して言えばとっとシナンの存在感が薄い気がします。建築や設計、数学をもう少し読みたかったなあ~ -
イスラムへの考えを変えさせて戴いた作品です。
読みやすくお勧めできます。 -
イタリア、ベネチアなどを舞台とした作品です。
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オスマントルコ最盛期の偉大な建築家シナンの物語。
夢枕獏がイスラムの歴史物っていうのが以外だった。
冒頭での神についての問答が面白い。 -
天才建築家の話しやから若くして系の筋立たろなと思ってたら本格始動し始めたのが五十歳以降からとのことで上巻は時代や人物背景で終わりそう
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001.初、並、カバスレ、帯なし
2011.1/22、白子BF -
ぶ厚いのに下巻は1日で読んだよ。そんくらい面白かったよ。
友人がコンスタンティノープル行ってブルーモスクは行ったけどアヤソフィアは行かなかった、と聞いて本気で叱りました。 -
オスマントルコの時代、キリスト教の教会を改造した聖ソフィア寺院を凌ぐドームを持つセミリエ・ジャーミーを建てた建築家シナンの物語。
キリスト教徒が建てた聖ソフィアを敬いつつもイスラムのオリジナルでは無い、と苦々しく思うスレイマン大帝が新鮮だった。
自分の読むオスマントルコの本はヨーロッパ側から見た場合が殆どなのでイスラム側から見るのは色々な再発見があって面白かった。 -
図書館で借りたものの、なかなか読む時間が取れず、
なかなか読む機会も作れず、2週間の貸し出し期間を1度延長したものの、またもやなかなか読み出せず、ついにあと3日しかないってところで重い腰を上げて必死で読み出した。
獏さんの本って読み出すのに時間がかかる。
読み出しちゃえばあっという間に読めるのに。。。
というわけで、シナンです。
ずっと気になってました。やっと読めました。楽しいです。
こう淡々とした神様問答、好きよ。面白いねぇ。 -
オスマン帝国スレイマン大帝の建築家だったミマール・シナンの生涯。日本語で読めるシナンの本なんてあまりないから読んでみたけれど夢枕獏ってこんな人だったんだー、という感想。
装丁は祖父江さんで面白いし、シナンの事も知れて良かったけど
こ夢枕獏って本当にプロの作家か?と思ってしまった。
ろくに文も書けない私が言うのも失礼ですが・・ -
シナンの一歩一歩ひとつの道を歩く嘘のない人生に、憧れます。
こういうふうに生きられたら幸せだろうなあ。
夢枕獏は高校生のころキマイラを読んだきり。
戦闘シーンの描写はあの頃から変わらず上手い。
スレイマンの最期にはホロリときました。
また読みたくなるような気がする。(09.02.05)
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図書館で下巻もいっしょに借りました。(09.01.25)
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ビザンティン建築の最高傑作と評価されるモスク、アヤソフィアを作った男の話。さすが夢枕獏です。飽きずにさっと読んでしまいました。
絶対トルコに行きたくなります。 -
●今回のポイント。 ?装丁が素晴らしい。見返しの唐草模様といい、大変美しい。
?ページが大変白い(笑) 改行の嵐&大きめ活字は、視力の衰え気味な私をいたわる功績きわめて大。
?以上。
夢枕獏は格闘小説や荒唐無稽で力技なうさんくさいアジア風味小説(←いやほめてるんです・笑)が中心路線だと思ってたので、こう言う歴史成分多めなヨーロッパ系物語を書くのが意外だったんですが、普通に面白かったです。
建築的にはいささか物足りなくもないけど、『沙門空海〜』よりは好み。
ハサンやザーティーと言ったよい脇役が出てくるのとイスタンブルの雰囲気描写も加点で。
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さすが獏さん。素晴らしいの一言。
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どうということもない。