聖女の条件: 万能の聖母マリアと不可能の聖女リタ

著者 :
  • 中央公論新社
4.00
  • (1)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 30
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120035852

作品紹介・あらすじ

聖母マリアと弱者の救済者として信仰を集めるリタを基軸に、ジャンヌ・ダルク、マザー・テレサなど中世から近現代までの聖女の生涯と奇跡を分析、受容の変遷から人々の癒しの構造を解明する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  ジャンヌ・ダルクについての記載有りということで手に取った一冊。著者は別に「ジャンヌ・ダルク」を著している。
     本書では、聖母マリアの生涯と聖母あるいは聖処女としてのあり方を多面的に分析している。また、聖女リタ(こちらは初めて知った)の生涯と、彼女が聖女とされた過程を紹介し、両者の正確の違いを際立たせている。カトリックに於ける聖女のシステムや歴史、数々のカトリックにおける奇蹟(聖母の御出現、涙を流すマリア像)の紹介など、色々興味深く読んだ。ジャンヌを桜型の聖女(処女性、短期間で自分の信念を貫いた女性)と分類し、薔薇型(長い苦難の人生の果てに、尊敬される)の聖女と類型を別けて説明されているのも面白い。
     最後の第三章は、ルルドをはじめとする、奇蹟が今も続く、現代の聖地巡礼記。カトリックのテーマパーク化した側面とか、それが逆に信仰に関わらず、老若男女を自然に受け入れ、また、弱者こそが巡礼地では敬われるなど、また、カトリックの方々の信仰のあり方なども参考になった。学生を引率しての巡礼の旅行記であり、カトリック信者ではない筆者の冷静な筆致が気軽に読め、そしてなかなか洞察に富んでいると思われた。

  • とちう

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

比較文化史家・バロック音楽奏者。東京大学大学院比較文学比較文化修士課程修了。同博士課程、パリ大学比較文学博士課程を経て、高等研究所でカトリック史、エゾテリズム史を修める。フランス在住。著書に『ヨーロッパの死者の書』『キリスト教の真実』『女のキリスト教史』(以上、ちくま新書)、『ジャンヌ・ダルク』(講談社学術文庫)、『ローマ法王』(角川ソフィア文庫)他多数。著者のホームページhttp://www.setukotakeshita.com/

「2021年 『疫病の精神史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

竹下節子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×