- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120037207
作品紹介・あらすじ
寄り添っているのに届かないのはなぜ。恋愛の現実に深く分け入る川上弘美の新たな世界。
感想・レビュー・書評
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「いやあな感じ」(川上弘美の言葉を借りると)ってこんな感じか。というのを、まさに体感できた小説。
ほんとうに、ずっと、いやあな感じが漂う小説。
でもでも。
いやあな感じが嫌というわけではない。
夢中になって読んでしまった。
リリと、春名の関係が、まるで私の友達と私みたいで。。。
不倫や年下との恋よりも、女二人の、絶妙な関係がたまらない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
隣に、男が寝ていて、
自分はもう早々と目が覚めてしまって。
その日は休日で、
ただし空模様はそれほど芳しくなく、
どんよりとした空だけれど、
その光さえ、部屋に入れることがはばかられて。
しかたなく、台所の明かりで、
立てひざを突いて読んでいた自分を思い出して、
その全てが、この本の感じなんだと、
今、思う。
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結局、自分の気持ちなんて、わからないものなのかもしれません。でも、まぁ、幸夫が悪いんだとおもうんですけどね!
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夫婦+夫愛人+妻愛人の話。
川上弘美さん好きなのに、この本はがっかりだった。
全く似たような話、江国香織さんの小説にもあった。
恋愛小説の主点(題材)を夫婦に持ってくると
両方に愛人を絡めるしかないのだろうか・・・。
そしてみんなかっこつけすぎ。そんな風にかっこつけて
生きていたら何にも見えないのにって腹立たしかった。
一人で強く生きれる事は大事だけど、
そういう生き方がかっこいい訳ではない。
せっかく人間同士絡まりあって生きているんだから
本当に大切な物は意地をはらずに、かっこつけず
に手に入れなくちゃ、手放さないようにしなくちゃ。
星2つにしたいけど、文章は綺麗なのでなんとか3つ。 -
淡々とした文章で進んでいく。なんだか誰も幸せにならなかった。
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読み終えて、平静な心持ちとなったが、モヤっとした強い気持ちも同時にいく筋か流れる。複雑なものを味わう。
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弱さや執着、傲慢さ、切なさなどは全て、1人の人間の中に持ち合わされているはずの感情だ。しかしこの作品では、それらの感情を5人の登場人物それぞれに選り分けてしまっているように感じた。それで登場人物の誰一人、本当のことを十全には言ってないように見えるのかもしれない。とりわけリリという人間を飄々としたしなやかな女性として描くために、他の4人にみっともない感情がより分けられた、という感じがする。書き手にとって、何かを守るために必要な作業だったのだろうと思う。けど、読んでいて心の拠り所がなく不安になる物語だった。