ミーナの行進

著者 :
制作 : 寺田 順三 
  • 中央公論新社
3.85
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  • (17)
  • (7)
本棚登録 : 1738
レビュー : 361
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120037214

感想・レビュー・書評

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  • 小川洋子さんの言葉で語られる芦屋の洋館の日々は、一つ一つが大切な宝物のよう。これと言った山場がないので上り詰める感覚はないけれどじんわりと余韻が残ります。

    特にマッチ箱の物語の美しさ。シーソーする象や、タツノオトシゴや星を集める少女のお話の完成度の高さ。

    他の作品同様、どこか陰がある儚い世界観なので病弱なミーナの身によからぬことが起きるのではないかとハラハラしながら読み進めたけど、危惧した展開にはならずホッとした。

    コビトカバの背に乗って登校していた痩せっぽちの少女は、自分の足でしっかりと踏み出していける大人になれたのだなぁ。

    • まろんさん
      小川洋子さんの作品の中で、いちばん好きな本です♪

      ほんとに、ミーナがいつ召されてしまうのかと、ハラハラドキドキしましたが
      溌剌と生きる女性...
      小川洋子さんの作品の中で、いちばん好きな本です♪

      ほんとに、ミーナがいつ召されてしまうのかと、ハラハラドキドキしましたが
      溌剌と生きる女性に成長しているラストに、ただただ感動でした!

      誤植探しを生き甲斐にしてるミーナの母とか
      マッチ箱のおはなしとか、けなげな動物たちとか
      お話にぴったり沿った挿絵とか
      細部までぎっしりと、私の好きなものが詰まった作品でした(*^_^*)

      2012/07/29
    • hetarebooksさん
      10年変わらなかったベスト3に割り込んだとレビューされていましたね。
      実はまろんさんのレビューに触発されて手に取った次第です。

      誤植...
      10年変わらなかったベスト3に割り込んだとレビューされていましたね。
      実はまろんさんのレビューに触発されて手に取った次第です。

      誤植の「フ」と「ヌ」、一文字違うだけで印象がずいぶん変わるなぁとくすりとしてしまいました。
      ローザさんと米田さん、ふたりのおばあさんのデュエットのシーンもいいですよね。

      それにしても「眠れる美女」についてのミーナの考察は自分とまったく違っていて焦りました(@_@;)
      2012/07/30
    • まろんさん
      私の拙いレビューを見て読んでくださったなんて、感激です!うれしいなぁ♪
      (ちなみに、ミーナと入れ替わりになった本は『夏への扉』でした。。。も...
      私の拙いレビューを見て読んでくださったなんて、感激です!うれしいなぁ♪
      (ちなみに、ミーナと入れ替わりになった本は『夏への扉』でした。。。もちろん今でも大好きな本ですが)

      そうそう、なんだかかわいいローザさんと、しっかりものの米田さん。
      性格は真逆ともいえるのに、心がしっかり寄り添っている、
      あのふたりのおばあさんもとても魅力的でした。

      「眠れる美女」についての、「死ぬことになじもうとしている」というミーナの感想は
      ずっと死と隣り合わせだったミーナならではの見方なのかもしれませんね。
      それにしても、中学生にあの本を勧めるとっくりさんって勇気があるというか、なんというか(笑)
      2012/07/31
  • 現実世界の形を保っている切なさ漂う寓話です。架空の飲料フレッシーから漂う昭和感。カバのぽち子が漂わせる童話感。そして過ぎ去ってしまった過去をさらいながら読む我らの寂寥感。心から血を流すような悲しみも、抜ける青空のような喜びも無い淡々とした物語はまさに小川洋子節だと思います。
    装丁が素晴らしく、読みながらその表紙、裏表紙、見返しなどを時々眺めながら、頭の中に2人の少女とカバのぽち子の姿を思い浮かべながら読むのがお勧めです。

  • 私も子供の頃の楽しかった思い出は、大人になってもずっとずっと記憶に残ってる。ふと思い出した時の記憶が人生の支柱になっているというのは、私もそうかもしれない。一時一時を大切にしながら歳を重ねたいと思った。ポチ子に乗って登校しているミーナの姿は一度見てみたいかな。

  • コビトカバ「ポチ子」
    世界三大珍獣
    絶滅危惧種

    マッチ箱の絵と物語が好き

  • 小川洋子本人が「芦屋で素敵な家を見て、ああいうお屋敷に住んでるのはどんな人だろうと想像してできた物語」というようなことを言ってたけど、内部は見てないのか、描写は少ない。だから、実際そんなお屋敷に住んでいた人が書いたような濃密さはない。
    小川洋子にしてはグロテスクなところが少ないので、一般受けしそうな感じもするが、細部がかなりグロテスクな『猫を抱いて象と泳ぐ』に熱烈なファンが多いからよくわからない。
    毒を抑えた愛らしい作品。挿絵もとてもいい。
    まあ『塩狩峠』か!みたいなところあったけどね。
    小川洋子の毒とグロが好きな人には物足りないかも。

  • 中学生の女の子が親元を離れて、親戚の家で1年間暮らす物語。
    ミーナは、主人公の従姉妹。

    ミーナの行進。
    あ、こういうことだったのかー(笑)って。
    ポチ子かわいい。

    芦屋とか、自分の知ってる地理が出てくると読んでて楽しいですね。
    オリンピックとか実話のネタが結構入っていたので、同世代(70年代?)の人が読むと、主人公と自分を重ね合わせて読む楽しさがあると思います。

  • マイノリティな幸せや切なさを表現することが多い小川洋子さんの小説の中では珍しい「可愛らしい」「幸せな」小説だと思う。
    小川洋子さんを読むときの癖で、突然何があっても大丈夫なように気持ちを身構えて読んでいたので、私には拍子抜けでもあった。

  • 小川洋子、初読書。

    序盤の幸せの描き方が、何か最後の変化(これは悲劇と予想してました)を予想させるもので、かなりよかった。

    しかし終わってみると、特に何もない話。
    いや、これは否定してませんし、余韻のある終わり方もよかったです。
    お互い、無事に成長できて子供の関係をそのままよい形で
    続けられるという暖かさもよかった。

    それゆえに、中盤になんかもっと面白い話がほしかった。
    正直、中盤はつまらなかったな

  • ところどころ、クスっとするところはあるが、読むのに時間がかかった。小川さんの作品としては、ものたりないからか。たんに鈍いからか。タイトルは、「ポチ子のふるさと」にしたかった。

  • 挿画が味があって好きでした。一家と過ごすのが1年と最初に言われていたので、どんな悲しい結末が、と身構えたらそんなことはなかった。ミーナの小学生らしからぬ聡明さ、小さな物語を作る創造性が素晴らしい。一家が朋子を自然に受け入れ、ホームシックなどかかる暇も与えずに愛して過ごし、朋子もそれに十分に答えた。淡い恋心や伯父さんの愛人問題なんかもあったけど、全体的にやさしくやわらかいお話。

著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

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