- Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120038327
感想・レビュー・書評
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<FONT COLOR=#000066><B>ともに悲劇の兄を持つ弟として、ともに歌人として、ともに自らの歌を身をもって生きた者として、ともに海を詠った歌で。</B></FONT><BR><BR>
『安徳天皇漂海記』の姉妹編となる4篇は、大元帝国(ダイオンウルス)十一代最後の皇帝(カーン)トゴン・テムル順帝、明の成祖永楽帝と三宝太監鄭和、大明帝国第十七代最後の皇帝崇禎帝、隠岐に流された後鳥羽院、をそれぞれ主人公とした王朝滅亡にまつわる幻想綺譚。前作では堂に入った流麗な文体で、『吾妻鏡』原文や源実朝の歌から、このような妖しいながら説得力さえ感じさせる伝奇小説を展開させるとは!と呆気に取られて感嘆したが、今回は仕掛けが前作を踏襲しながらちょっとスケールが小さくなっている印象。前作を読んだ後ではちょっと驚きが足りない感じがする……が、これだけ読めばやっぱりなかなかのものかも。史実と幻想の緻密で絶妙な混ざり合い、王朝滅亡の悲哀、帝王の苦悩をあくまで華麗に描写する筆力……映像化はできないだろう小説・活字ならではの美と知の世界を堪能できる。歌合で貴人の歌の作者を「女房」と記す、というのは面白い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大元帝国最後の皇帝:順帝トゴン・テムル、大明帝国の永楽帝と宦官・鄭和、明最後の皇帝崇禎帝、そして隠岐に流された後鳥羽院をそれぞれ主人公とした四つの綺譚。
永楽帝と建文帝が争った靖難の役や、崇禎帝とその公主の最期については史実を知っている分、話の中では異なる解釈をされていて楽しめた。 -
読書完了日2007年12月11日。