クレィドゥ・ザ・スカイ

著者 :
  • 中央公論新社
3.71
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本棚登録 : 1728
感想 : 179
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120038402

感想・レビュー・書評

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  • 誰が誰でこれは誰で、ああその人はたしか、そうだね、あれこの人は、でも、誰…?になり、読みながら「僕」が感じる周りの認識のあやふやさを追体験している気持ちになった。
    読み物としてずっと間延びしないのがすごいな。

  • 読んでいく中で「僕」が誰なのかよくわからなくなります。幻想なのか、妄想なのか、それとも現実なのか。そしてカンナミなのか、クサナギなのか。

    それでも、このシリーズはどうしても読みたくなります。この理由も分かりません。

  • 「空」に憧れていつも手を伸ばしてた。
    あそこにはここにはない何かがあると信じてた。

    このシリーズにはそんな気持ちを優しくだけどせつなく包んでくれる。

    「空っぽ」で「空しい」・・・だけど
    彼の文章はなんともいえない感触のある空気を感じさせてくれる。

    このシリーズ以外の彼の作品をわたしは読むのだろうか・・・ちょっと今は余韻を楽しみたい。

  • 最後まで「誰」なのか、明確には分からなかった。
    クリタかなあと思って読んでいたが、途中から彼はクリタでありクサナギでありカンナミであり最早ティーチャなのでは…そんな訳ないか…
    記憶を上書きして復活しているように、考えちゃうような描写もある。そもそもキルドレがどうやって生まれるか、サガラさんの言う「理論」がどんなものなのか、等も謎。

    基本的に本は出版順に読みたいのだけど、このシリーズに関しては「スカイクロラ」を最後に取っておけばよかったなと少し後悔。でも知らなかったから仕方ない。短編集に期待。

    前半のフーコとの逃避行が好きでした。フーコ、シリーズを通して独特の切なさを漂わせている。キルドレと対照的に彼女が老いていくのが、なんとなく分かるからだろうか。ていうか何歳なんだ、ティーチャもお客さんだったよね。キルドレを可哀想とは思わないが、フーコはなんとなく可哀想で、喫茶店開いてほしいなあと思う。
    キルドレから「綺麗なものだけ見ていたい、そして綺麗なまま死にたい」という子供っぽさ?潔癖さ?を時々強烈に感じてなんやねんと感じる時があったが、でも自分も本当はそうだよなと。大人で地上にいる自分には出来ない故に見ないようにしている願望を彼らはシンプルに実践しようとするから、見ていて切なくなるのかもしれない。

    ふわふわしてポエムっぽく、読み終えると「そうそうこんな感じ。しばらくいいや」という気持ちになるのだが、時間が経つと「その感じ」を味わいたく、続きを手に取るシリーズだった。

  • シリーズは出版順に読んでます。だからこれが最後。僕が結局誰なのかってなりますよね。クリタかカンナミかって思ってたら、クサナギなのか?って。またスカイクロラに戻って読み返したくなるループ。というか、今作グレィドゥをもう一度、主人公はクサナギなのか?という見方で読むべきか?キルドレの仕組みもいまいち理解できてないから余計混乱。最後にして混乱。

  • 作中通して幻覚(のようなもの)や妄想(のようなもの)が多く、何が現実で「僕」が誰なのかわからない。外から見た出来事を語る者としてソマナカが存在するなら、彼の発言は物語を紐解くキーになるのかもしれない。
    時系列に追ってきたので、次は遂に『スカイ・クロラ』へ。

  • シリーズ5作目。
    本作の感想は流石にネタバレに設定せねばなるまいて。

    本作の主人公、私はクリタだと思っていた。
    明らかに叙述めいた記載がなされていたので、警戒はしたが、せいぜいカンナミが主人公ではないかと疑った程度だった。よもやクサナギ視点の話とは思わなかった。映画の影響か、クリタ→カンナミという視点を捨て切れなかったため、「サガラとクリタの関係=カンナミの夢」という図式にしがみ付いてしまった。そのせいで余計に気付けなかったのはあるかもしれない。

    私はクリタが好きだった。クリタの、淡白でありながらもクサナギに対してはある種の執着とも呼べるほどの感情を抱いている様をとても好ましく思っていた。なのでこの物語がクリタのものではないこと、つまりクリタの視点によって語られるべき物語が存在しなくなってしまったことが読了して、まず悲しいと思った。

    私はダウン・ツ・ヘヴン時点でのクサナギに対して人間味を覚え、それ故に好きになった。しかしながら、本作では薬の影響か淡白な思考をしていた印象だった…それこそクリタと見紛うほどに。人間味を感じたのはキルドレ→大人に変化していたから、本作で淡白だと感じたのは、薬の影響で再びキルドレへと戻ったから。そんな風に思えてなんだか悲しかった。

    理解の追いつかない点も多々あったが、総じて悲しい話だと思った。 

  • やっぱり森流のポエムだね、このシリーズは

  • カズオイシグロの私を離さないでが頭をよぎる

  • 「僕」とは一体誰なのか。読み返してもよくわからない。多重人格?クリタだと思っていたけど、やっぱりカンナミなのか、クサナギなのか。「僕」も自分が誰なのかわからない。記憶もどんどんあやふやになり、クリアなことは飛ぶことだけ。飛べたら満足。このよく分からない感じがすごく好き。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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