木洩れ日に泳ぐ魚

著者 :
  • 中央公論新社
3.22
  • (46)
  • (213)
  • (534)
  • (82)
  • (15)
本棚登録 : 1840
感想 : 312
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120038518

感想・レビュー・書評

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  • 同居生活を解消しようとする男女の、一夜の物語。
    始まりはある男の死だった。
    彼を死に追いやったのは彼だったのか。彼女だったのか。
    そして二人の間にあった愛とは何だったのか。

  • 心理戦で、感情の描写がメインだけれど、心に響くことがなかったです。主人公たちの関係が、共感しずらい境遇、というのもあるのかも。サスペンス的な要素もありますが、驚くような展開もなく、しずかに終わる物語…という印象です。

  •  男女が酒を飲みながら話しているだけなのに、ヒリヒリするような息苦しい緊張感が漂っている。高い塀の上を歩いている二人が落ちないか、ハラハラしながらみているような緊張感こそが本作の面白いところだろう。二人の会話だけでここまで物語を深められるのはさすが恩田陸と唸ってしまう。
     「執着」「酷薄」相反するような感情に囚われてしまいそうで常に恐れを胸に抱いている登場人物たち。物語は非現実的な設定であり展開であるが、緊張感にとらわれていて途中では気にならない。ただし、終盤、朝が明けてくるあたりから緊張感が狂気と倦怠に変わり、魔法が解けたように、非現実感が押し寄せてくる。最後の30ページくらいが残念なほど、つまらない。勿体ない・・・。最後が上手く書けていたら、☆4つだったのに。

  • 3.4
    心理戦です。
    内容の殆どがその描写につかわれてます。
    サスペンス風でもあり、ミステリーでもあり、
    読むのはちょっと疲れます。

  • 久しぶりに読んだ恩田陸。
    ドキドキしながら、たまに背筋がぞっとする場面もあり、一気に読んだ。
    やっぱり恩田陸はこのドキドキ感がたまらない魅力!
    だんだん明らかになっていく真相と2人の関係が、スリル満点に描かれている。

  • 恩田さん作品初読み図書館でぱっと手に取ったものを読んでみることにした…読み始めはどう言うこと?突然一人称がかわる?どう言うこと?とか思いながら読んだら2人が交互に1話づつ綴っていく物語。一晩の話なのにミステリー?生い立ちやいろいろ事がわかってくる何年も一緒に暮らしたはずなのに最後の日に自分の気持ちを一つづつ整理しながら…2人の関係

    読みやすい作品でした。

  • 重い別れ話かと思いきや、ん?あれ?と裏切られながら思わぬ方へテンポよく進んでいく
    2ページ読んで先が気になって、一気に読んでしまった

  • 破局をむかえた一組の男女がむかいあう部屋。彼らはある人物の死について互いを疑いあっており、緊張した空気が漂っている。さらに彼らはある秘密を抱えており・・・
    一組のカップル、一つの部屋、一晩のシンプルな舞台立てのなかで、キャベツの皮をむくように次々とあたらしい要素が現れつづけ、登場人物をはるか遠くにつれていくという仕掛け。舞台劇でも観ているようだ。
    凝ったしかけの現実味のうすい話だが、トリックが人間をふりまわすようなエキセントリックな方向には走らないので、安心して読める。最後に2人がおちつく先も、なんだか納得できるような気がする。

  • 運命的に再会した男女が別れる前夜の話。

    数時間の男女の会話だけで自分たちのルーツから父親の死因まで推測していく流れがすごい。男女交互に入れ替わる視点から心情変化が手に取るようにわかる。

    女性的な表現というか、多面的な感情表現がすごく上手。

  • 一組の男女が別れる一夜の話。
    率直に言うと読み始めは気持ち悪かった。うわーって気持ち悪さじゃなくて、まぁ単純に男性側の計算高さなんかが自分とダブって居心地悪い感じ。書き方が淡々としてるから、読み進める内に客観的になってどうでもよくなったんやけど。

    心理描写に特化してる分曖昧で、抽象的で、結局こういう事って明示出来る答えは無し。
    白黒はっきりさせるのが嫌いな俺にはある意味ぴったり。
    人を本当に愛するって、さてどういう事でしょうか。

著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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