母べえ

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (117ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120038952

感想・レビュー・書評

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  •  野上照代さん(1927.5.24~)「母べえ」、2007.12発行。1984年に読売女性ヒューマン・ドキュメンタリー大賞の優秀賞を受賞した「父へのレクイエム」を改題したもの。拘置所内の父と留守家族の往復書簡集。激動の時代に懸命に生きた「母べえ」。野上照代さんのお母さん。山田洋次監督の映画で吉永小百合さんが演じています。本書の中で野上さんが描かれたイラストがとてもいいです。

  • (2014.02.04読了)(2014.01.17購入)
    吉永小百合主演、山田洋次監督で映画化された映画の原作です。
    2008年1月に見たのですが、映画を見た後、原作を読もうな、と思っていたのですが、いつの間にか6年も経っていました。どんな映画だったかもうろ覚えでした。
    1940年、昭和15年、皇紀2600年の頃の話です。支那事変が泥沼化して、思想統制などがきびしくなってきたころです。思想犯で捕まった父親とその家族の物語です。
    多少フィクションが入っているようですが、大部分は、実際の話が元になっているようです。思想犯で捕まった留守家族を、友人、知人などが支えていたんですね。
    僕も戦後世代ですので、戦時下の話は、父母から時折聞かされた程度で、実態はなかなか想像できないので、このような本があると想像しやすくなるので、助かります。
    (2014年2月4日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    太平洋戦争前夜、治安維持法により検挙された父親と、留守を預かる母娘。深刻な状況のなか、「父べえ」「母べえ」「初べえ」「照べえ」と呼び合う一家が交わした手紙には、明るいユーモアと、互いを気遣う愛情があふれていた。長年、黒澤映画のスクリプターとして活躍した著者が、両親への鎮魂を込めて綴った幻の名作「父へのレクイエム」を改題。

  • 吉永小百合主演・山田洋次監督の映画の原作の原題は「父へのレクイエム」で,彼女が付けたのは「年下の父」~父が特高に検束された時,私は3年生だった。警察署をたらい回しにされた挙げ句,拘置所に入り,母は代用教員をしながら,九州の父の故郷の異母妹弟に仕送りをしていたから大変。母方の祖父は離婚を迫ってくる。差し入れをしながら獄中の父と文通を続けていたが,ある日警察病院から父急死の電報が届く。父の享年は39~野上さんは黒沢明の仕事を手伝い,山田洋次とも知り合った。フィリピンの山中で「ひょんと」死んだ天才詩人・竹内浩三の事を詳しく知ろうとして野上さんに行き着き,読売女性ヒューマン・ドキュメンタリー大賞の優秀賞をとった作品を読み,映画化を決意し,吉永小百合に話を通し,一気にシナリオを書いた。脚光を浴びて単行本化。あとがきで,父は54歳で亡くなり,照代さんは1984年当時57歳。あれ,辻褄が合わないと思っていたら,「多少のフィクションは許される」という応募規定があったそうな。実際の入獄は1940年4月で,出獄は1940年12月。「やや事実を変え,ドラマチックな」という良い訳に当たるかな?映画では更にドラマチックにしてあるはずだから心して観よう

  • <内容>太平洋戦争前夜、治安維持法により検挙された父親と、留守を預かる母娘。深刻な状況のなか、「父べえ」「母べえ」「初べえ」「照べえ」と呼び合う一家が交わした手紙には、明るいユーモアと、互いを気遣う愛情があふれていた。長年、黒澤映画のスクリプターとして活躍した著者が、両親への鎮魂を込めて綴った幻の名作「父へのレクイエム」を改題。

  • 今年をふりかえってみて、やはり今年2008年は、山田洋次監督の『母べえ』が公開された年として、記憶していくと思う。普通の人々にとっての戦争が描かれ、浅野忠信さん演じるやまちゃんが輸送船沈没で亡くなるという事が、いままでの日本映画には、無かった事だという。ブログにも書いたが、吉永小百合さんが泳ぐ!シーンは一見の価値ありだとも思う。映画を観てから関連の本を読みたくなって、図書館で調べると、この本と野上照代さんの『蜥蜴の尻っぽ』はいつも貸し出し中だった。結局、『蜥蜴の尻っぽ』から読んだのだが、それで読んでみると、映画『母べえ』が、いかに山田監督のマジックともいえるかがわかった。この『母べえ』の本も映画のあとで読むと、ここから、山田監督がイマジネーションをふくらませて、描いたのかとわかる。パンフレットで吉村英夫さんも書きかけておられた『竹内浩三』さんの『骨のうたう』とかの詩の世界も図書館で調べて読んでみた。しりとり的にいろいろな本にも手をだした。そんな年でした・・・

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著者プロフィール

野上 照代(のがみ・てるよ)
1927年、東京生まれ。黒澤明監督映画のスクリプター、のちに制作助手。戦後、出版社勤務ののち、伊丹万作監督の遺児(後の伊丹十三)の世話を頼まれ、京都へ。1949年、大映京都撮影所に記録見習いとして就職。1950年、黒澤明監督『羅生門』に初参加する。以後、東宝に移り、『生きる』以降の黒澤作品すべてに参加(他監督作品も多数)。またエッセイストとしても有名で、1984年、「父へのレクイエム」で第5回読売・女性ヒューマン・ドキュメンタリー大賞優秀賞を受賞。同作は2008年に山田洋次監督『母べえ』として映画化された。著書に、『完本 天気待ち』(草思社文庫)、『母べえ』(中央公論新社)、『黒澤明 樹海の迷宮―映画「デルス・ウザーラ」全記録1971-1975』(共著・小学館)、ほか多数の黒澤関係の出版物に編者としてかかわっている。現在、黒澤映画の「語り部」として様々なメディアで活躍中。

「2021年 『文庫 蜥蜴の尻っぽ とっておき映画の話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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