静かな爆弾

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 676
レビュー : 133
  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120039171

感想・レビュー・書評

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  • 響子という耳の聞こえない女性に出会ったことで新たに感じたことが多々あるって話でした。
    2人の出会いからの恋愛は勿論描かれているけれど、それがメインという感じではなかったです。

  • 同時に二つのことが可能な人間と、両手でも一つしか抱えられない人間がいるのを感じました。球場に広がる渦巻く観衆を、観たことない景色を光を、鼓動の高まりを、君にどう伝えればいい。声に出せるのに話せない、言葉に出来るのに伝えられない。恵まれた自分で在りながら、私達は人と人で言葉と言葉でぶつかり合い傷付け合っている。本当の想いは、書いては消して書いては直して、そんな綺麗なものではない。書き殴ってもみっともなくても心底から送信された想い、それは見える聞こえる形ではなくても、大事な人に受信されるものなのだと思います。

  • バーミヤンの大仏爆破について取材をするジャーナリストと、耳の不自由な女性との恋愛の話。

    他の著作にもれず、今回も読みやすかった。
    そして、吉田修一は余白が多い作家だとつくづく思った。
    文字数が少ないとかそういうことではなくて(この本は、実際ページ数も文字数も少なく、あっという間に読み終わったのは事実だが)、余分なことを書かないというか、読み手に委ねる部分が多いというか、そういうこと。
    だから、言葉は少ないのに、いろいろな思いが胸中に膨らんでくる。
    やはり、うまい作家なのだと思う。

    本作はあまり物語の起伏は多くなく、作中度々語られる、怖いような「静けさ」は妙に伝わってくる。
    そのあたりもあってのことだとは思うが、最後、彼女に起きたことについて具体的には全く触れられていないのが、ちょっと消化不良気味かな…。

  • はなさない
    ってことは
    よけないことが伝わらないってこと

  • 近いはずなのに世界が違う切なさ。
    近いはずなのに一番奥のものを飲み込んでさらけ出せないようなもどかしさ。
    空白が凛と響く小説でした。

  • やはり好きだわー、吉田修一

    音のない世界。音のある世界
    こんなに意識したことない。「当たり前と思ってる」

    響子に!

    本文よりー
    彼の実家に行った時
    始めて、響子を連れて行った。両親共
    優しく接してくれた。




    父親が怒鳴る「いい加減にしろよ。」
    蛇口を流しながら母親が泣いている

    「あなたは耳が聞こえるけど、それは気にしない」といわれたことある?

    「あなたは耳が不自由だけど、私たちは気にしません」
    といつも言われる」

    差別感って難しい。
    読了後、題名「静な爆弾」の意味を考えた。

  • 響子さん話すことはできるんじゃないかしら。

  • これはホントに好きだなぁ。
    まずこの感覚から抜けるまで、ゆっくり頭を整理させよう。

    始まり、響子の身体的特徴について言葉にしたタイミングが全てなような気がする。それは猫と偽善の話とリンクしている?
    自分と目の前にあるものだけの関係。傍から見たことから始まる現象。

  • 吉田さん、やっぱり上手い。よく練られているんだろうけどそうと感じさせないくらい、わかりやすく何気ない言葉で物事の芯を捉える。だから、さらっと読み飛ばしそうになりながら、ふと頁をめくる手を止めて、言葉を自分に引き寄せては反芻してしまう。
    さりげないエピソードがいちいち応える。自分では気が付かないでやり過ごしていたこと、なんとなくわかったつもりでいたこと、そんな日常のあれこれ。

    この作品、前半は無音の世界が広がる。テレビ局に勤める「俺」が耳の不自由な響子と出会い、魅かれていく過程がサイレントムービーを見ているかのように静かに目の前を流れていく。
    耳が聴こえない響子と付き合うことで、彼は、音声として発せられる言葉と文字として現れる言葉の圧倒的な違いを知る。
    それにより、言葉を伝えること、思いを伝えること、誰に、何を、どう伝えたいのかをジャーナリストとしての彼が自問していく物語。
    ただの恋愛小説のようでいてそれだけじゃない、なかなか読み応えのある作品でした。

  • 読了日2012/07
    主人公の俊平は、ある日偶然耳の不自由な響子と出会う。
    毎日、仕事に忙殺されている俊平は、静かな世界を生きる響子に惹かれる。
    俊平は自分勝手ですごく嫌な男だけど、もし自分が男だったら。。。こんな感じだったかも・・
    なんとなく、俊平の肩を持ちたくなるのは、そう思うからかな。
    題名通り、静かな恋愛小説。

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著者プロフィール

吉田 修一(よしだ しゅういち)
1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業後、スイミングスクールのインストラクターのアルバイトなどを経験。1997年「最後の息子」で第84回文學界新人賞を受賞しデビュー。同作は第117回芥川龍之介賞候補にもなった。2002年『パレード』で第15回山本周五郎賞を同年「パーク・ライフ」で第127回芥川龍之介賞、2007年『悪人』で第61回毎日出版文化賞及び第34回大佛次郎賞、2010年『横道世之介』で第23回柴田錬三郎賞、2019年『国宝』で第14回中央公論文芸賞をそれぞれ受賞。2016年には芥川龍之介賞選考委員に就任している。その他の代表作に、2014年刊行、本屋大賞ノミネート作の『怒り』。2016年に映画化され、数々の映画賞を受賞。

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