もうひとつの日本への旅―モノとワザの原点を探る

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120039232

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  •  西南日本の太平洋側を中心とする、イネ、タケ、茶、そして木綿などの「照葉樹林」文化を基盤とした日本の文化は、これまで大和朝廷が中核となって日本の歴史を主導してきた。一方で、常に「蝦夷」として討伐の対象とされてきた東北から北海道にかけての「ナラ林地帯」に対応する文化がある。著者は、豊かでソフトな前者ではなく、野生に満ちた強い手触りの後者を再発見することで、日本文化の「もうひとつの」可能性を模索できないかと思い立つ。
     著者は各章で、遺伝や外見、生活様式などで区別される中心部の日本人と辺境の日本人を、彼らが使っていたモノ(道具)とワザ(身体技法:文化によって条件づけられたからだの使い方)とで比較対照するのだが、後者がいずれも「消滅寸前である」ことを示し、「多様性がある方が全体として安定し、未来への可能性も大きいことは、生物一般だけでなく人間の文化にもいえる」と、諦念をにじませ訴える。
     人類学者である著者は、「日本文化を基本的に同質のものと見る」ことに懐疑的だ。グローバリゼーションが拡大する一方の世界で、伝承的な差異にこだわり、平準化に逆行するような伝統文化を見直すことで、新しいモノづくりの旅が始まるのを期待したい。

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