ゼルダ最後のロマンティシスト

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120039874

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  • 『グレート・ギャッツビー』の作者フィッツジェラルドの妻ゼルダの生涯を描いたフィクション。ゼルダは、お父さんは最高栽判事、祖父は上院議員というアラバマ州きっての名家の生まれ、加えて、本人はミス・アラバマに選ばれる程の美人とあっては男が放っておかない。ハイ・スクール時代から女王様のような奔放な生活を送り、男どもを鼻であしらい、お眼がねにかなった男を物色する。そして出会ったのが美貌もあり、知性もあり、ニューヨーカーのフィッツジェラルド。すったもんだのあげくにフィッツジェラルドと結婚するが、自分には家柄と美貌しかないことに気づき(頭は空っぽ)、スコットの才能に嫉妬し、フランス人空軍パイロットと浮気し、自らを崩壊させ、精神を病んでいく。

    まるで、3文オペラの主人公のような人生だ。これをフランスの女流作家が描き、ベスト・セラーになり、07年のゴンクール賞を受賞してしまうから驚きだ。フランスには日本の『女性自身』、『女性セブン』のような雑誌がないので、このような上流社会のスキャンダラスな女性の私生活を暴くというスタイルが好かれたのだろうか?作者自身は、しばしば、デヴィー夫人のように語られるゼルダが、実は下らない男社会の犠牲者だといって一矢報いたかったのだろうか?

    女性の人並みはずれた、権力欲、嫉妬心は醜く、読んでいて気持ちのよくなる小説ではない。唯一、男性社会に並外れた『恨み節』をもった女性が共感できる話かもしれない。また、フィッツジェラルドのファンにとっては、ゼルダがどんな女性だったかを知る愉しみは与えてくれるかもしれない。

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