静子の日常

著者 :
  • 中央公論新社
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レビュー : 134
  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120040467

作品紹介・あらすじ

何かが過剰で、何かが足りないこの世の中今日も出くわす"ばかげた"事象を宇陀川静子・七十五歳は見過ごさない-チャーミングで痛快!直木賞作家の最新長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • まず、さわやかなブルーの装丁に魅せられてしまった
    そして、ようく見ると、中央にすみれ色の水着を着て、バタフライをする静子さん。 別によく見なくても、分かるんだろうけれど、見つけた時は、うれしくなった

    夫十三の死とともに、妻であることをやめる決心をし、下戸の夫に合わせるかのように結婚以来飲まなかった酒を通夜で口にする
    私は、どこへだって行けるのよと

    夫の死を嘆き悲しむ姿も妻として美しいが、静子さんもカッコいい。潔く、凛々しい

    おん年75歳の静子さん
    おっとりしていて、さっぱりしていて、余計なことを言わない
    嫁をいびることも煩わせることもなく、悠々と一人でフィットネスクラブに通い、セカンドライフを楽しんでいる

    しかし、しっかりとアンテナを張り巡らせ、家族の異変やフィットネスクラブの中のザワザワ落ち着かない空気をいち早くキャッチし動く
    何かが過剰で、何かが欠落しているその空気を変えるために
    静かな闘いの決心を胸に秘めてー

    嫁の薫子は、静子さんを評して.「 何だかあの義母は、宇宙人が何かの目的で私たちの元へ遣わした生物みたいな気がする」と言い
    孫のるかは、「 おばあちゃんは、あなどれない。すべてお見通しだ」と言う

    こんなふうに、さりげなく家族のことも見守りながら、自立して
    生きたいものだ

    私が一番気に入った所は、姑の静子さんと同居するようになってからのお正月の迎え方の変化を嫁の薫子さんが語るところ

    松と梅の小枝を綾部の菓子鉢に上手にアレンジし、下駄箱に飾ることとか、家族一人一人の新年の晴れ着を下ろしたての下着と一緒に、きちんとたたんで、大晦日に枕元に置いておくなど

    子供の頃、お正月用の服を新調してもらったことや姑が存命中の新年の準備を思い出して、ホロリとしてしまった








  • 久しぶりの再読。
    やっぱり静子さん、好きだなぁ。

    こういう食えないおばあちゃん、大好き。
    一見穏やかでどんなこともおおらかに受けとめて、でも実は息子の浮気未遂を裏工作で食い止めたり、通っているフィットネスクラブに撒かれる中傷ビラをカゴに変えたり、夫亡き後『妻』であることを止めたり。

    端から見れば正に食えないおばあちゃんなのだが、その実、おばあちゃん視点になると言葉に表せないモヤモヤやハラハラやドキドキとどう向き合えば良いのか悩んだり迷ったりしながら自分らしい答えに行き着いていることが分かる。
    亡くなった夫のかつての浮気も飄々と受け流してきたわけじゃない。
    長く生きてきても迷うことも間違うことも不安を抱くこともある。そうした自分を受け入れる静子さんが素敵だ。

    また息子の嫁の薫子もまた端から見れば食えないタイプかも知れない。だが彼女もまた色々思い悩んでいるし、どうしようもない夫の愛一郎も面白いくらい哀しい。二人の娘るかもまた高校生らしい悩みを抱えつつもがいている。

    何ということのない日常のようで何かは起こり、少しずつ人は家族は変化していく。

    井上さんにはこれからもこの手の作品を書いて欲しい。

  • 75歳の静子さんの日常は一見ありふれているけれど、常に胸の奥がざわざわしている。
    亡き夫は生前、静子さんに言った一言
    「行ってみればいいじゃないか。行ってみれば、それが単なるつまらない道だということが分かるんだから」
    静子さんを見くびってもらっては困る。
    静子さんはそんなつまらない女ではない。
    行きたいところには自分の意思でどこへだって行く女なのだから。
    夫の葬儀の日に「妻」をやめる決意をした静子さんはとても清々しく凛々しい。

    自分で決めたことは最後まで貫くことを信条としている。
    自分はもう若くはないことを自覚し、けれど新しい歌を知ることはまだできる、と前向きな静子さん。
    とても潔くチャーミングで、将来こんな風に歳を重ねていきたいと思った。

    この作品をもし映画化するなら、静子さん役は宮本信子さん以外考えられない!

  • 静子さん素敵。
    あんな風に歳をとりたいものだ。

    宇陀川家のほんとに取るに足らない日常なんだけど、それでも色々あるものなのだ。

    家族だからこそ分かる微妙な空気感の違い。
    だけど、そんなちょっとした噛み合わせの悪さも、家族で過ごしているうちにいつの間にか元に戻ってる。
    なんだか不思議。

    75歳の静子さん、決して平穏な人生を歩んできた訳ではないけれど、彼女のマイペースで芯の強い性格でどんな問題も大した事ないって風に感じてしまう。

    改めてかっこいい。

  • 中年夫婦と子供、そして静子というおばあちゃんがいる
    一家の日常の話。

    おばあちゃんはビシッとしているが、おちゃめでもある。
    息子の浮気も陰に回って防ぎ、孫の問題もじわっと
    立て直す。

    常識論を振り回すのではなく、小さな行動により
    一石を投じながら、周囲に問題点を気付かせる。

    しかも、その一石が、常に可愛いのだ。

    アクティブでおちゃめな可愛いおばあちゃんは
    微笑ましいのだが読んでいると背筋がシャンと
    してしまいます。

  • すごくおもしろかったー!
    正直井上荒野さんの作品でこんなにおもしろいとおもったのは初めてです。
    ユーモアがきいてて、
    穏やかで、
    ほほえましかった。

    大満足の星五つです。

    ゆるーいかんじで映画にしてほしいな。

  • 静子75歳、息子一家と同居。
    こんな設定ならお嫁さんともめるとか…などという感がは甘かった。
    静子さんは、かなりマイペース。
    子育てなんて口出さなーい。
    自分の趣味を持ち、ひとりバスで出かける。
    スポーツクラブの張り紙が気に入らないと、自らコツコツその対策を取る。
    自分の考えをしっかり持ち、はっきりした態度に憧れる。
    あぁ、こんなキリリとしたおばあさんになりたいものだ。

  • 75歳の静子さんがとても可愛らしい、素敵なお話だった。年齢に関係なく、新しいことに挑戦したり、前に進んでいく静子さんのアクティブさは見習わないと…。こんな年の取り方をしていきたいなと思う。

  • 静子さんは素敵。ほんとうにかっこいい。
    力が抜けているのに、背筋がしゃんとしているような。
    静子さんのようなおばあちゃんになりたいなー。

  • おもろい。
    にやにやして読んでしまう。
    こんなおばあちゃんになりたい。

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著者プロフィール

1961年東京都生まれ。1989年「わたしのヌレエフ」でフェミナ賞、2004年『潤一』で島清恋愛文学賞、08年『切羽へ』で直木賞、11年『そこへ行くな』で中央公論文芸賞を受賞。ほかに、『もう切るわ』『だりや荘』『誰よりも美しい妻』『ベーコン』『つやのよる』『キャベツ炒めに捧ぐ』『ほろびぬ姫』『虫娘』『悪い恋人』『リストランテ アモーレ』『ひどい感じ 父・井上光晴』『ママがやった』など著書多数。

「2018年 『100万分の1回のねこ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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