カップヌードルをぶっつぶせ! - 創業者を激怒させた二代目社長のマーケティング流儀

著者 :
  • 中央公論新社
3.80
  • (8)
  • (14)
  • (12)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 119
感想 : 14
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120040658

作品紹介・あらすじ

二代目が創業者を語った例はあまりない。世の中の大半は、二代目にそんな資格はないと思っている。私は逆に、二代目にしか語れないことがあると思っている。それを正直に、しかし謙虚に語ったつもりである。(…)私が一貫してやってきた仕事は、創業者の率いるワンマン経営を、多くの社員が参画して運営するシステム経営にシフトすることだった。創業者がいなくなってから、いつまでも古い企業体質を引きずったために、おかしくなっていった会社をたくさん見てきた。それだけは避けたかった。-「おわりに」より。DVD付。カップヌードルの伝説的CM「hungry?」と「NO BORDER」を収録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 日清食品は数多ある日本企業の中において、群を抜くマーケティング巧者だろう。その根幹を本書では、垣間見ることができる。

    著者は創業者の次男であり二代目である。曰く、創業者は異能の人であり、自分は凡能であると。謙遜も多分にあるかとおもうが、人類の食品の歴史においても大きな意味を持つ即席麺を発明した創業者が異能である事は間違いは無いであろう。

    国内の食品企業の多くは、マーケティング、特にブランディングが下手であるが、日清食品は数少ない例外であり、その中でも断トツのブランド力を持っている企業であると言える。多くの人は、先行者だからという短絡的な見方でそれを説明したがるかもしれないが、決してそうでは無い事が本書からも分かる。同社では、1990年代には既に、海外の消費財企業では当たり前のブランドマネージャー(BM)制を導入している。BMは、製品開発やマーケティングについて強力な権限と責任を与えられ、製造や品質保証を始め他のファンクションはブランドをサポートするためにあるという位置付けになっている。

    それぞれのBM間でも、リソースの獲得や売り上げにおいて競争関係にあり、多くの企業でタブー視される自社製品によるカニバリですら容認されている。その根底にあるのは、カップヌードルやチキンラーメンといった基幹商品を聖域視するあまり機会を逸失せず、むしろ他社に食われるくらいであれば自社で壊す位の考えで運営されているのである。これは、創業家出身のCEOだからこそ可能な戦略であろう

    また、同社はHungry?シリーズなど、多くの記憶に残るTVCMでも知られているが、その根幹はやはり安全運転ではなく挑戦する事を奨励し、失敗を許容する文化が根付いているからであろう。当然、失敗は歓迎されるものでは無いが、失敗をした場合には、解剖会議と言われる、原因の徹底解明と誰がどの割合で責任があるかと数値で評価するという。その文化を意図的に作り上げているのが著者の現CEOである。

    他にも多数、社内制度などで特筆すべきものが多く書かれている。冒頭における著者自身の凡能であるという自己評価はかなりの謙遜であり、日本を代表するトップクラスの経営者である事は疑いが無い。

  • 東2法経図・6F開架:588A/A47k//K

  • 上から目線、相手(社員、取り引き)を尊敬、敬う心がないと思われ部分が随所にある感じた、

  • 創業者の後を継ぐ二代目。

    異能の創業者と、凡人の二代目。


    人事部は人事権を使うな!
    各部門に人材を提供するサービス業に徹せよ。

  • 百福さんのエピソードはめっちゃ面白かった!作り上手で守りベタ。激しい気性。動物的な勘。すごい人だったんだなっていうのが伝わってきます。ライス失敗のときの潔さがいい。
    途中の、二代目の戦略(というよりぼくには「作戦」に思えた)はあまり興味がなく、やはり創業者のほうが圧倒的に偉大だったんだなーと思った。ただ、百福士として50ねんで100の社会貢献活動をという理念はとってもいい。ケニアoishiiプロジェクトなんかはやっぱ大企業すごいなって思う。
    二代目社長に会ってみたいと強く思った。
    うん、会おう!そして自分も百福士(みたいなもの)として働きたい旨伝えよう。日清の今後の社会貢献に期待。

  • 一言で言って面白い!!
    日清食品の二代目(実際には間に2年間お兄さんが社長をされたそうだが)社長、安藤祐基さんの、偉大な父・安藤百福さんの後を継いでの奮闘記。

    まず題名がいい。
    これは、安藤さんが社長に就任された直後、超ロングセラーであり稼ぎ頭のおばけ商品「カップヌードル」に対する「甘え」の体質を断ち切ろうと、「カップヌードルを超えるような画期的な商品の開発に取り組もう!」とハッパをかけるつもりで言葉がややすべってしまったものだという。当然、創業者の父・会長は激怒…

    前半ではそのような「異能の人」である創業者との接し方がエピソードを交えて語られていて面白い。その後は文字通り「打倒カップヌードル」にどのように取り組まれたのかが、実際の商品への取り組みとともにかなり具体的に語られており、有名な日清食品のブランドマネージャー制の雰囲気の一端がリアルに垣間見られてこれまた興味深いことこの上ない。
    超・オススメ。

  • ・無駄なお金は一銭たりとも使うな。本当に必要なお金なら惜しみなく使いなさい
    ・社長とは権限ではない、責任だ。
    ・社員にもできるだけ「何々するな」とは言わないようにしている。すべて「何々せよ」と言う。常に積極的で前向きな行動を促すように気をつけてきたつもりである。
    ・実感したことを、自分の言葉でしゃべれ
    ・逃げるな、立ち向かえ
    ・不可能に挑戦し、ブレークスルーせよ
    ・セクショナリズムと闘え
    ・決断なき上司は無能と思え、社長へ直訴せよ

  • こういう書物はあまり好きではないのですが
    (ほら、自慢だらけだったりつまらないことをつらつらとつづっている場合が多いので)
    2代目(正確には3代目?)は違いました

    日清食品、カップヌードル、イメージが変わりました。
    マーケティングやはり面白そうです。

  • 創業者を常に意識ながら、3代目として経営してきた戦略が記されている。創業期の企業のあり方・経営者の生き様に対して、継続することにシフトするために、安藤さんが取り組まれてきた試みが記されている。

    とても読み甲斐があり、学ぶことの多い良書であった。

  • 創業と守勢どちらが難きや?メガプロダクトに安住する事となく絶えず、新商品を生み出す仕組みづくり。<br />ベクトルの異なる組織を、マトリックスに配置する事で、社内に競争を生み出す。<br />企業理念が最後大事。

全14件中 1 - 10件を表示

安藤宏基の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
デールカーネギ...
堀江 貴文
スペンサー ジョ...
ジェームズ アレ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×