SOSの猿

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 6510
レビュー : 896
  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120040801

作品紹介・あらすじ

ひきこもり青年の「悪魔祓い」を頼まれた男と、一瞬にして三〇〇億円の損失を出した株誤発注事故の原因を調査する男。そして、斉天大聖・孫悟空-救いの物語をつくるのは、彼ら。

感想・レビュー・書評

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  • ・「何がですか?」と眞人君が訊ねる。
    「何かだよ。大事な石みたいなものだよ。目に見えない、石」
    「隕石じゃなくて?」
    「それでもいいよ」雁子さんは歯を見せた。「で、私たちが歌をね、このメロディをハーモニーを発すると、あそこの石が、聴いてる相手に落ちてくるのよ」


    ・「分かんなくてもいいけど、とにかく、わたしたちは、聴いてる人に自分たちの歌を届けようとは思ってないわけ。ましてやメッセージを押しつけようとも思わないし。絵描きの絵とかも一緒じゃない?テーマとか意味とか質問するのに意味はないのよ。かと言って伝えたいことがないわけじゃなくてね。隕石としか言いようがないけど、わたしたちの歌はね、空からでっかい石を導くのよ。聴いてる人の胸にその隕石をぶつけるの」


    ・「いっそのこと」母が真面目な顔で「『妻と子供は遠い宇宙に置いてきているんだ。僕は、地球に単身赴任で来ているだけだから、そのうち孫に会わせてあげられるよ』とか言ってみたらどうなの」などと提案してくる。


    ・さて、人間の中には相反する二つのものが存在している。正義と悪であったり、「愛されたい」という思いと、「束縛されたくない」という感情であったり、もしくは、特定の人物に対する尊敬とライバル心であったり、だ。その相反するものが心の中でバランスを取り合い、自我を支えている。


    ・「人の無意識は、世の中の出来事や空気のようなものの影響を受けることがあるんだと、私はそう思うんです。作家や漫画家、画家や音楽家の生み出した作品が、意図したわけでもないのに、近い未来の世相を表現していたということはよくあります。それは、人の無意識が、何か社会の事柄から影響を受けている証拠に思えます」


    ・「物語を考えることは、救いになるんですよ」とわたしは言う。言わされているのだろうか。という疑念は依然としてある。「たとえば、二度と会えない誰かが今どうしているのか、最後まで見届けられなかった現実がその後どうなったのか、そういった物語を想像してみると、救われることはあるんです」

  •  子どもの頃憧れていた、一回り年上の「辺見のお姉さん」に呼び出された遠藤二郎。しかし、彼女はすでに40を過ぎ、くたびれた様子でかつての面影はなかった。そのはず、聞けば彼女の息子は20代で「ひきこもり」状態だという。家電量販店に勤める二郎が副業でカウンセラー的なことをやっていると聞き、力になってほしいのだという。しかし、二郎の仕事はカウンセラーではなく、悪霊を追い払うエクソシストなのだった…。 

     ↑ここまで読むと変な話。でも伊坂さんとなると、わくわくして、さくさく読書が進むから不思議です。物語は遠藤二郎が語る悪魔祓いの話と、孫悟空なる「猿」が語る品質管理部の五十嵐真(証券会社のトラブルの原因調査をしている)の話と交互に進んでいきます。そして、2つの話が1つになったとき、今までのあれこれが、ストンストンと落ち着いていき(ある程度察しがつきますが)あとは一気にラストへ…

     伊坂さん初心者には、あまり薦められないけど、ファンは一読あれ。個人的には「母」対「息子」のシチュエイションに感じる部分がありました。

  • 伊坂ワールドらしい、ぐいぐい引っ張る展開。
    あちこちちらかしたと思ったら、今度はどんどんつながってゆく。
    おもしろいなぁと思っている間に読み終わってしまう。
    今回も例外にならず・・・。

    でも、ちょっとわからなかったなぁ。
    この人、登場する必要ある??とか。
    西遊記もざっとしか知らないから、いまひとつ???のところも・・。

    相変わらず、世の中がっちりつかんでいます。
    そんな話題豊富さに感動します。

  • 「エアコンは、誰かを救う。分かりやすいよね。それを僕は売る」(遠藤二郎)

    周りのSOSがほっとけない悪霊払いを副業にしてる主人公と会社の損失の原因を調査する男、2つの話が交互に進む。後半2つの話が1つに交わる時に面白くなった。
    登場人物はどれも個性的で好き。

  • この分類難しい。
    どれかと言えば、アヒルと鴨系かな。
    一体この話はなんなんだ?とよく分からない話を挟めながら進むカットバック方式。
    最後まで読んでも、全ての謎が明かされたわけではなく、終わる。

    ただ、いくら気になるからって息子の事ばかり考えるべきじゃない、というセリフは良かったな。

  • 「SOSの猿」伊坂幸太郎◆引きこもりの青年の悪魔祓いを頼まれた男と、多額の損失を出した株誤発注事故の原因を調査する男、そこに孫悟空が登場し物語は救いへと向かう?無関係に思える話が一つに収束するところは伊坂さんらしくて好きですが、西遊記を知らないせいか、いまひとつ入り込めず…。

  • そうくるかー!!というかんじで、私の話と猿の話の関係が面白かった。
    内容は難しくもあるけど、やはり登場人物の魅力があるので、最後まで読むことができた。

  • 「私の話」と「猿の話」が交互に語られる謎解きファンタジーっぽいお話。

    家電量販店の店員・遠藤二郎は「悪魔祓い」の技術で知人の息子・眞人のひきこもりを改善しようとするが、少年は奇怪な反応を示し・・・
    一方、真面目すぎる調査員・五十嵐真は20分間で300億円の損失を出した株誤発注事件の原因を探るうち、幻覚に翻弄され始め・・・。

    伊坂さんらしい時間トリック的なものが仕掛けられてます。
    確か、漫画のSARUとの共作になっているらしい。漫画の方を読んでいないのでイマイチな部分もありますが、この話の一部である「本当の答えを見つけず自分の中で理由をつけて納得させて安心させる」という人間の心理については非常に納得しました。

    ★「恐ろしい結果」から目を逸らし、安心したいがために、「勝手に理由を想像し、納得する」のだ。

  • 大まかに二つの話が交互に進行していくんで、忘れないように振り返り振り返り、そして夢中でこの物語の一つ一つを組み合わせていくようなパズルが完成を待ちきれない感じで読み進めましたが、終わりがふにゃんとしてしまった^^;;;ま、これはこれで面白いんでしょう。

  • 久しぶりの伊坂幸太郎作品。
    これは発売当初に図書館で借りて途中まで読んだんだけど、多分読み終わらないで返却した覚えが・・・。
    ということで、今回リベンジです。

    久々の伊坂幸太郎ワールドはやっぱり吸い込まれます。
    点が線になっていく感じ・・・たまらないですね~。
    伏線がさすが!
    そして最後の回収の仕方もさすが!
    まとめ方が絶品ですね。
    今回絶対にダンボールは伏線だなと思っていたので予想的中!
    時間軸の違いは途中で気づきました。

    それにしても伊坂さんってどうしてこんなに知識があるんだろう・・・。
    毎回参考文献の多さに脱帽します。
    今回は証券と西遊記と悪魔祓いがキーワードかな。
    西遊記ちょっと調べてみたいなーと思いました。

    これは伊坂幸太郎第二期作品なのかな?
    レビュー見てたらわりと評判よくないですね。
    私もわりと初期作品に好きな作品が多いですが、これもこれで好きかな~。
    ただ、伊坂幸太郎ワールドになれてない人は苦手意識持つのかなと思いました。
    今回は心理学の事が多かったし、哲学っぽいところとかね。
    初めて読む人は初期作品をオススメします。

    早く新作も読みたいです。


    2011.009

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。
2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。
上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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