数えずの井戸

著者 : 京極夏彦
  • 中央公論新社 (2010年1月25日発売)
3.75
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  • 199レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (771ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120040900

作品紹介

数えるから、足りなくなる。それは、はかなくも美しい、もうしとつの「皿屋敷」。人口に膾炙し怪談となった江戸の「事件」を独自の解釈で語り直す人気シリーズ第三作。

数えずの井戸の感想・レビュー・書評

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  • [再読] 2012年07月11日

    [再々読] 2013年4月17日


    なぜうらめしやとお菊さんがお皿を数え続けると言う怪談のお話になってしまったのか、そこを現実の出来事として怪異などとしてではなく書き綴られていて、すごくすごく切ないけどとってもステキなお話。

    「数え」「数えず」の交互の繰り替えしが催眠のようにじわりじわりとココロに深く重く、静かにどんどんと深い井戸に潜っていくような静かな狂気に時にぞっとしたり、時にココロを乱されたり。最初から最後までしっかりと京極さんの用意した仕掛けが施されていて、内容はもちろんだけど、京極さんの構成のすごさに改めて感動した1冊。

    人間の心の崩壊を切なく美しく昇華はさせない。死は死。罪は罪。崩壊は崩壊。一見殺伐としていて冷たいような思える事柄も、ちゃんとしたブレない論点で間違った正義をかざすことなく、しっかりと真理とたくさんのことを教えてくれたり、コトバにできなかった整理のつかない気持ちの収まりどころがみつかるというか。

    それぞれに抱える闇はそれぞれのカタチで。執着する、執着しない、数える、数えない。それぞれにまったく違う思考だけど。虚無感や焦燥感、恐怖を感じているその書き表しが少しずつ少しずつ沸点を上げていくような、じわじわと吹き零れていく展開が絶妙でラストは読んでいるというよりその場にいる、という感覚。

    映画の「ジョゼと虎と魚たち」で衝撃を受けたように、文章で初めてガラガラと音を立ててすべてが壊れていく有様を見てしまったというような、とても痛くするどく刺さるラストへの疾走。

    とてもとても切なくて苦しくて深く重い現実と、でもやっぱり人の業や愚かさ、残酷さとともにあったかさが存在していて、とても好きな1冊に。裏返しの空の星は3人にとって満ちた世界だといいな。

  • 読んだか読んでなかったか分からなくなって読んでみたら読んでた。
    何が悪いということもないのだけれども、結末は惨劇へ。
    ままならないな~
    吉羅のツンデレっぽいキャラと主膳のやり過ぎな執着っぷりが素敵でした。

  • このストーリーも“欠けている”けど、そこがいい 

  • 番町皿屋敷が京極夏彦によって、書きかえられた。
    「一枚、二枚、・・・」

    数えなければ有るのに、数えてしまうと足りなくなってしまう。

    数に対して様々な考え方をもつそれぞれ。

    それが悲しい結末につながる。

  • いわゆる皿屋敷、お菊さんの井戸のお話。

    章ごとが登場人物たちの一人称で描かれていて、それぞれの章扉の○や●が印象的でした。

    自分は身分の低いバカな娘だと自覚しているお菊さんの純粋な生き方は、他からみたら悲劇かもしれないけれど、本人は案外数えられない空を見ながら一瞬で死ねて良かったのかも…。

    自分の人生には何かが欠けているとずっと思いながら生きた来た青山の殿さまや、手に入れられるものはすべて手に入れる努力を惜しまずに生きてきた大久保吉羅姫とか、いろんな人生を読めました。

    それぞれ共感できるところがある。
    人ってたぶん複雑なんだ。
    このお話に出てくる登場人物たちは、ある意味シンプルに突き抜けていて、それはそれでうらやましい。

    この作家さんのお話にしては読みやすかったし、文章や内容も簡潔である意味すがすがしくて、とても良かったと思います。

    脇役2人による後日談でお家断絶の結末を知るラストはちょっと微妙だったけど、まぁこの形しかなかったのかな…。

  • 読了日2011/09
    辞書かと思うほど、気が遠くなるほど、分厚い本。しかも、登場人物の独特なべらんめい口調で、読みにくい・・・
    けど、思った以上に早々と読み終わった。

    日本人なら誰もが知ってる怪談「番町皿屋敷」を下敷きに書かれた本。
    でも、こちらは怪談話ではありません。
    怪談ではないけど、終始ドヨ~ンとした鬱鬱感が京極氏独特のいい雰囲気です。
    京極氏の本は、「暗いけど美しい」が特徴だなぁと感じます。
    しかし、おかげで2日続けて怖い夢を見てうなされました(笑)
    最後は、やりきれない結末で、読後感までドヨ~ン。
    でも、面白かった。

  • 厚い本ですが、行間が広くテンポよく読めます。

    番町皿屋敷の物語。
    夜ごと数を数える声のする屋敷では何が起こったのか。憶測ばかりが飛び交う中、一つの真実を提示する。

    しかし、主膳はなにがそんなに気に食わなかったのだろう?自分の身分に対してか?上手くいかない現実に対してか?そこに謎が残る。最後多くの人間を斬り殺す彼の中の闇は深い。

    そして、どこか足りない菊。
    彼女がもっとしっかりして、真実を語っていたならこんな悲劇は起きなかった気がする。返す返す残念でならない。

  • 番町皿屋敷に住む人と、それを取り巻く人々と過去。
    いつも何がが足りない、十全ではないと感じて生きてきた当主。
    褒められるために生きてきた家来。
    考えすぎるがゆえに愚鈍にみえ、自分でも馬鹿だと思って生きてきた下働きの菊。
    己の才覚で手に入るものは必ず手に入れる出世頭大久保の娘。
    米をつくこと、数を数えることが生きる全てと思って生きてきた菊の幼なじみの男。
    生い立ちに不満がくすぶる当主の友。

    おもしろかった!
    額を真っ二つに斬られた吉羅はどっちに殺されたのだろう。

  • なんといってもページ数がかなりあるから読み始めるまでは時間がかかる。でもそこは京極ワールド、読み始めたら一気でした。何回数えても足りない。数えるから足りなくなる。そもそも数えられない。限界を知りたくないから数えない。私も数えるのやめようかな。

  • まあ、私、あの畳み掛けるように丁寧に丁寧に構築されるワールドの虜、とびきりの雰囲気を持つ厳選された語感の羅列がもう法悦・・・・ってな固定ファンの一人なんで。

    しかしまあ、いやあ、もう。これは。
    直球ど真ん中、京極節の正統派では。

    番町皿屋敷の焼き直し、なんですが。人物造詣がよくって。

    何でも持ってるのに強欲で得ても得ても足りないお姫様。
    罪人の娘で愚図で鈍間で莫迦で何も持たないお菊。
    前者が後者を妬み嫉み。
    後者が前者を哀れむ。

    京極初めての方でも、シリーズものより展開がシンプルなので、比較的読み易いかもしれません。

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