優しいおとな

著者 :
  • 中央公論新社
3.36
  • (52)
  • (115)
  • (188)
  • (38)
  • (17)
本棚登録 : 1056
感想 : 177
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120041501

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 魅力的な設定を生かせてない。

  • 眠れないので読み始めたけど、イオンの暮らすシブヤはホームレスだらけで年端もいかない子供たちまでもホームレス、配給の食事にありつけなければ餓えて凍えて淘汰されていく世界。

    重い…。おとなは優しいおとな 優しくないおとな どっちつかず、この三種類のみ。どっちつかずのおとなと、センターの子供たちにいじめられ児童センターを脱走してきたイオンは群れず独りで生きる。

    やがてきょうだいを求め、アンダーグラウンドに下り…。
    何が起きてこんな世界になったのかも分からずひたすら暗い。
    後半ようやく光が差すまで…疲労感が大きいです。

  • 平等というのは難しい言葉だと思った。全てが平等だなんてそんなのは不可能だ。私には何が正しいのかわからなかった。優しいおとながいなければ子供は生きていく事ができない。愛する人がいてこそ生き続ける事ができる。イオンはそれを見つけることに、気が付くのに、時間がかかりすぎてしまったのかもしれない。それでも最期まで隣にきょうだいがいてくれた彼を不幸せだとは思わなかった。

  • 小学生や中学生ぐらいの子供のホームレスはストリートチルドレンと呼ばれています。
    親の保護がなく家もなくお金もない彼らは、犯罪にも走りやすく、
    児童買春といった行為にも及ぶために社会問題となっているようです。
    その存在がなぜできたのか。
    背景には幼児虐待やネグレストなどの問題もあるようです。

    桐野さんもこの本の中でそれとなく書かれていました。
    近未来(?)の東京。渋谷界隈をねぐらとするホームレスに混じって、若干15歳のストリートチルドレンのイオンは、たった一人で毎日の食を調達しながら生きていました。自分の両親も家庭のぬくもりも知らず、ただ生きていくだけの毎日です。そんな中、彼は、施設に暮らしていた頃、兄のように慕っていた「鉄」がいたことを思い出します。
    「鉄」の教えである言葉「大人は三種類だ。優しいか、優しくないか、どっちつかずか」を胸に一匹狼を誇りとしていたのですが・・・。
    「鉄」を求めて、イオンは渋谷の地下で生活する闇人の国へ行きます。そこで出会った人々と普通の外界で生きている人々との不思議な繋がり。そして最後の方で分かるイオンの生立ちとその生活の謎…。

    家族の愛を知らないイオンには、
    全てがどっちつかずの大人に見えることでしょう。
    だから大人には近づかない。一番苦しめられるから。
    そんな思想がイオンを孤独なストリートチルドレンに
    せきたてているのかもしれません。

    イオン以外にも社会からはみ出された子供たちというのは、
    こんな思想をもっているのでしょう。
    おとなは信用できない。だから逃げる。
    果たして「優しいおとな」って誰が決めるのでしょう。
    ストリートチルドレンをかくまって施設にいれるだけであとは知らん顔。
    それが「優しいおとな」のハズがありません。

    小説だけでなく、本物のストリートチルドレンの存在は、
    私たち「おとな」への無言の抗議かもしれません。

  • 東京のストリートチルドレンの話ですね。 フィクションですが、本当の話のように思えてしまいました。 ストリートチルドレンの生活は幸せではないことが、伝わります。 文字も読めない。食べ物もない。家族もいない。寝床もない。 マンホールの地下水の魚を食べて、魚は家庭洗剤の泡の味。


    作者が伝えたいことは、優しさや愛情なんだと思いますが、自分の場合は、この本を読んで、過酷なストリートチルドレンの生活をみて、愛情も含めて、自分自身はたくさんのものを与えてもらって生きてるんだなぁと思った。そんなふうに受け取りました。

    みじかにいる家族や友達は大切な存在です。

  • ちょっと漫画っぽいというか、子供向けな感じがしてしまった。装丁のせいかもしれない。
    誰かと誰かが、実は知り合いで……という部分が、ちょっと多すぎて嘘っぽい気がした。そこが残念と言えば、残念。

    でも人物設定や描写等は、かなり好き~! イオンがすごくカッコイイ子のように思えたからかな?
    総合評価は、高めです。

  • 装丁と帯に惹かれてずっと買いたかったハードカバー。

    想像以上に良かった。

    桐野さんの最後の望みさえ叩き潰されてもうどうすんの…!!
    って感じからちょっとだけ浮上して、でもどうしようもなく終わるのね。

    ラストは泣きました。
    久々に本読んで泣いた。

    いい話だった…
    桐野さんの癖のある話のかんじが良い。他も読みたいな…。

    モガミ…錫…

    いい買い物した!!

  • 少し新聞で読んで、その時は入り込めなかったが、本を読むと印象が変わった。図書館でYAコーナーにあるだけあって、桐野夏生にしては優しく読みやすい。ストリートチルドレンの話。松本大洋のような世界が広がる。切なく暗いが、最後に少し救われる。

  • なかなか読み進まなかった。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    家族をもたず、信じることを知らない少年イオンの孤独な魂はどこへ行くのか―。

    家族を持たず、大人に敵意を抱く主人公の少年が、児童相談所の世話になることを良しとせず、アンダーグラウンドで生活している少年達とかかわりあいになり、かつての兄貴分だった少年を捜すストーリー。

全177件中 61 - 70件を表示

著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

桐野夏生の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有川 浩
村上 春樹
湊 かなえ
池井戸 潤
湊 かなえ
角田 光代
伊坂 幸太郎
有川 浩
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×