- Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120041594
感想・レビュー・書評
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高校の文芸部に属する主人公矢渡利悠人は小説執筆に打ち込む同学年の風祭飛鳥に惹かれていく。飛鳥は文芸誌の新人賞に輝き一躍時の人になるが、第3作発表の前に無残にも包丁で刺され家も放火されてしまう。これを引きずったまま20数年後、独身のまま評論家となった主人公の前に写真の中の幽霊として飛鳥は姿を現す。悠人と悠人の後輩でミステリー作家となった生浦蔵之介と編集者の3人で飛鳥の死の真相を論じ合う。ああでもないこうでもないと何人かで論じ合うのは西澤保彦の小説の得意とするところだ。この中で、悠人の死んだ母の未発表の小説が鍵を握っていることが分かり、驚愕の結論を導き出す。うーん、飛鳥の行動には納得できないところもないでもない。しかし、こうなると何というか、悠人の人生は悲しい。これからどうやって生きていくのか。
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りまのさん悲しい話なの?goya626さん、いいね!たくさんありがとうございました。まだ未読なのに…悲しい話なの?goya626さん、いいね!たくさんありがとうございました。まだ未読なのに…2020/08/03
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前半の学園生活はメリハリがなく淡々としているので何も起こらなそうな穏やかな展開でした。そんな中での『不可思議』の提示だったので、なんだかつまらない方向に逸れて期待が萎みそうな気がしましたが、そこはきっちりと裏返してくれました。
後半は著者らしいお決まりの推理合戦でしたが、推論も解決も納得のいく内容でした。ピタリとピースがハマって綺麗に落ちた感じで良かったと思います。 -
久々に西澤保彦の爽快感がありいい作品ですね。
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真相究明は酒を飲みながらのディスカッション!!タックシリーズっぽくて、これでこそ西澤氏ミステリな気がする。内容は無難でベタかな。せっかくの心霊写真の真相に捻りがほしかった。「せっかくのこのクライマックスを、いったいどのように盛り上げればよいものか、編集者としてわたくし、真剣に悩んでしまいます」と登場人物に言わせるオチは、クスリとさせてもらった。秀逸かと。逆にそのあとのエピローグは、普通すぎたような。
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シンプルで端整。これはいいミステリ。
ただ「心霊写真」のオチはだいぶ拍子抜け。 -
表紙は恐いわ、あらすじからファンタジーな匂いはするわで読むまでは不安だったけど、最後まで読んだらちゃんとしたミステリーだった。起こった事件について登場人物らが飲み食いしながら真相を探っていく、いつもの西澤保彦風のミステリー。変なフェチを持った人物がおらず割と真っ当な感じなので読みやすい。
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同じ部にいた同級生が死んだ。
他殺らしい、というその死後から20年以上も経った頃
不思議な写真を見た事によって、事の真相を思考し始めた3人。
まさか、というよりは、なるほど、という所にすんなりと。
それまで色々と考えた後を見たから、だとは思いますが。
プライドが高すぎる、という突っ込みもありますが
やはり道徳的に駄目な事は、いつかばれるものです。
というよりむしろ、己の良心の呵責によってばれるのですが。
悪い事はしてはいけません、です。 -
作家としてのスランプは、あまり理解は出来ないが、切迫詰まったら人の物でも真似したり、盗みそうな強迫観念は理解できる。物語としては、展開も意表を突き、楽しかった。
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★あらすじ
故郷鵜久森に仕事で帰省した悠人は、地元写真家の回顧展に立ち寄る。そこに悠人が写った22年前の写真があると聞いたからだ。
鵜久森を襲った大地震の際のワンシーンを撮ったその写真には、悠人と共に高校時代の恩師で文芸部顧問の白州が写っていた……が、それだけではなく、その4年前に亡くなったはずの、文芸部の同期で高校生作家の風祭飛鳥の姿が!?
★感想
舞台は高校の文芸部。青春物、だと思います。
しかしそこは西澤作品、思春期ならではの妙なプライドとか潔癖さが甘酸っぺー! と思いながら読んでいくと、それが大きな事件につながってしまうという。
真相は段々見えてはくるんだけど、やはり最後まで読まないとスッキリしない!