ヒマラヤのドン・キホーテ: ネパール人になった日本人・宮原巍の挑戦

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120041716

作品紹介・あらすじ

三十歳代で壮大な夢をヒマラヤに懸け、山奥に三ツ星クラスのホテルをつくり、七十歳代でネパール国土開発党の党首になり、人生そのものを冒険的に生きる山男。登山作家がネパールの政治、歴史、探検史も含めて描いた、夢を追い続ける男の物語。同時に、ヒマラヤ五十年の物語でもある。

感想・レビュー・書評

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  • ネパール人になった日本人・宮原巍たかし
    この本はヒマラヤとネパールのシェルパ村の人々に魅せられ
    彼らの暮らしを憂いた宮原という冒険家の生き様を通して
    当時の登山家と言われた人々の世界を浮き彫りにしている
    著者も登山家として主人公の古い友人であり
    長い付き合いと取材によって書かれたドキュメントである
    宮原はネパールの社会で役に立つために
    機械などの技術を身に付けて単身ネパールに飛び込み
    職業訓練所の職員として貢献しようとすることから始まり
    標高3,500mの地に馴染む形のホテルと飛行場を造り
    トレッキング観光産業による雇用を生み出す
    大阪万博で世界中にネパールの文化を紹介していくが
    中国の影響で暴動革命が起こり利己的暴力で政治が腐敗し
    荒んでいく中で74歳になった宮原は
    国籍を替えて政党を立ち上げ政治にのめり込んでいく

    著者による後書きで曰く
    自然と人事からなるこの世界が相互依存関係にあるのと同様に
    人間社会も相互の理解によって成り立つ
    自らのできる範囲で他者への協力を惜しまなければ
    私達の社会は明日にまだまだ発展する可能性を秘めている
    老若男女の区別や年齢や性別や立場の違いが
    多彩であればあるほどその社会は息を吹き返す
    と言う

    そんな彼を山男や南極越冬隊の仲間がしっかりと応援して
    彼を支えていく
    なんともヒトリヨガリの独走で
    良かれと思うことを実践し続ける怖いもの知らずの冒険家である

  • p.35
    社会が便利になればなるほど忙しくなるというのはどういうことかな。

    p.140
     シェルパの文化を保存するということは、彼らの生活を博物館の陳列物のようにそのまま維持することではないはずだ。文化の本質は、その地域の人々の心の中にあるのではないか。シェルパの人たちの心に宿しているあの朗らかさこそが、彼らの文化そのものだと思った。それを失ってもらいたくないし、だからこそ、宮原はシェルパとともに生きていこうとしていたのだった。

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著者プロフィール

根深誠

1947年、青森県弘前市に生まれる。明治大学山岳部OB。日本山岳会会員。日本勤労者山岳連盟顧問。73年以来、ヒマラヤの旅と登山を続ける。84年にはアラスカ・マッキンリー山(現・デナリ)で行方不明になった植村直己さんの捜索に参加。これまでにヒマラヤの未登峰6座に初登頂。故郷津軽の自然を愛し、白神山地を歩き尽くす。ブナ原生林を東西に分断する青秋林道の建設計画が持ち上がった際には、反対運動を立ち上げる。主な著書に『遥かなるチベット』、『山の人生』、『いつか見たヒマラヤ』、『ネパール縦断紀行』、『風雪の山ノート』、『世界遺産 白神山地』、『ブナの息吹、森の記憶』『白神山地マタギ伝 鈴木忠勝の生涯』など多数。

「2019年 『渓流釣り礼讃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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